《悪役令嬢の中の人【書籍化・コミカライズ】》憧れを抱いていた子
「悪役令嬢の中の人」コミカライズが「次にくるマンガ大賞2022」にノミネートされております!!
7/11まで投票付中ですのでぜひ「次くる」で検索して「悪役令嬢の中の人」に投票お願いします!!
「星の乙がけている嫌がらせの証人になってしいの」
思い詰めたような表を浮かべる友人から頼まれたのは、思いもよらない容だった。
「……私、証言できるような事件についてなんて、何も覚えがないけど……?」
「違うの。あのね、噓をついてって話じゃないの。ただ、困ってるあの方が不利にならないように、味方になってしいだけで」
放課後、タウンハウスへの帰路でわれたカフェの個室。それとなく人払いされたのには気付いていたので「何の話をされるんだろう」と沈黙の中待っていた私は、話を聞いて胃の奧に重く冷たいものを飲み込んだような気分になった。
「別に噓ってわけじゃないのよ。先月の28日、放課後に第一演習場近くの校舎裏でグラウプナー公爵令嬢を見たって、たった一言だけ」
Advertisement
嫌な気持ちをしでも吐き出したかったのか、私は無意識に細くため息を吐いていた。
どんなに言葉を変えてもその意味は同じではないか。私に偽証をするよう頼みたいという事でしょう?
実家の領地が隣接している上に、読書という趣味が同じだった事もあってただの馴染以上に仲は良かったと思う。けど、この子が……シシリーがそんなとんでもない事を言い出す人だなんて思っていなかった。
斷られそうだと思ったのか、さっきまでの沈黙からガラリと変わって途端に彼は饒舌になった。
「だって、ジェシカも知ってるでしょう?! グラウプナー公爵令嬢がどんなに非道な振る舞いをしているか。良き友人だとおっしゃっているのに、王子殿下と星の乙の関係を邪推して!」
「……噂はね」
そう、噂話だけは聞いていた。聞きたくなくてもどうしても耳にってきてしまうものはある。わざと破損させた形跡がある彼の持ちが発見されたとか、提出したはずの課題が紛失していたとか。本好きの子爵令嬢という取り立てて目立つところのない私はゴシップを積極的に聞き回るような格でもなく、何かの弾みにそうやって「噂」として伝え聞くだけだったが。
Advertisement
だから彼が言うような、「食堂の給仕を買収して、星の乙の食事に蟲をれた」や、「制服で見えない位置に火傷を負わせた」なんて過激な話は知らなかった。
「そう! 酷いでしょう?! 婚約者の殿下の寵が星の乙に向けられたからと言って……」
「それでシシリー、あなたはそれを見たの? グラウプナー公爵令嬢が、噂されているような犯罪行為を行った所を」
「私は見てないけど……でも見たって人が大勢いるのよ!」
「じゃあその人達が見た通り証言すれば良いじゃない。私に噓を吐かせるんじゃなくて」
「証拠もあるのよ! 公爵家の紋章のかしのった便箋で送られた呼び出し狀や、かの令嬢のご友人が『確かにレミリア様の持ちだ』って証言したハンカチが現場に落ちていたし……」
「でも、偽証は犯罪よ」
「嫌がらせだって犯罪よ! 私、おかしいと思ってたのよ。あんなに何でも出來て誰にも評判が良いなんて、絶対変よね。きっと今までも目立たないところで分からないように鬱憤を発散してたんだわ。だから評判……外面だけ良かったのね」
いつからこんな不確かな報で人を罪人と決めつけるような人になってしまったのだろう。しかも、グラウプナー公爵令嬢を。相手は私達何かより分の高い公爵家の方で、我が國の王子の婚約者なのに。どうやってこの場を早めに切り上げてタウンハウスに帰ろうか、それだけが私の頭を占領していた。
だって、むしろし前までは私よりもシシリーの方がグラウプナー公爵令嬢の熱心な信者のようなじだったのに。
「星の乙はとってもかわいそうな方なのよ。貧しい家庭に生まれて不遇な期を過ごして、この學園にってきてからは王子殿下と側近の皆様にされたが故に嫉妬されて苛烈な嫌がらせをけてしまって。でも健気に『レミリア様とも仲良くなりたい』ておっしゃってるの。めにくじけずいつも親しみやすい笑顔を絶やさないでいて、でも時々うっかりしたところがあってとても可らしいのよ。それにいつも甘い花のような芳しい香りがするの」
なのに今は同じ目を星の乙に向けている。彼の中で何が変わってしまったのだろう。
去年、選択授業で一緒だった時に一度だけ。授業が終わった後にグラウプナー公爵令嬢に褒められたのだとシシリーは何度も嬉しそうに話してくれたのに。授業で提出した詩が素晴らしかったと、未來の王妃が目を止めてわざわざ聲をかけてくれたのだ。その喜びがどれほどか私にも想像できる。
私はその時の話をされるたびにシシリーに「すごい事よね」と聲をかけつつも、心羨んでもいたのに。その後グラウプナー公爵令嬢が、音楽や魔、錬金など々な科目で績優秀者や目立った活躍をした人を稱賛していると聞いて「なんだ他にもたくさんいるのね」と思いつつも、私も聲をかけられたかったと思っていた。
學年が違うから選択授業のクラス分けが運良く重ならないと目に止まるきっかけすらなくて、シシリーの事がずっと羨ましかった。軽い調子で「私もそんな素敵な経験がしたいわ」なんて言っていたが、心の底からの本音だった。だってただの未來の王妃という肩書きではない、平民まで普及するような様々な商品を開発してる天才発明家で、學試験も魔試験もトップ、武試験も學年のでは一位だった。まだ學園に通う歳になる前から福祉でも活していて、グラウプナー公爵令嬢が関わったおかげで平民の識字率が向上して、おかげで彼らの暮らしにも変化があったと知っている。そんな素晴らしい方に褒めてもらえる機會なんて、きっと在學中にしかない。
いつか目を止めてもらえる時のためにって頑張りつつ、でも恥ずかしくてその目標は誰にも言っていなかった。一番得意な刺繍なら、と決意して大作に取り掛かりながら「學園祭で見てもらえますように」とお祈りした。「こうやって未來の臣下の心を摑んでくれるのなら素晴らしい王妃様になるだろうな」って未來のことを勝手に妄想してみたりもしていたけど。
殘念ながらそんなささやかな私の願を込めた、幸せな學園祭は訪れなかった。
星の乙について、私は良く知らない。けど気が付いたら、星の乙がげられているという噂が、グラウプナー公爵令嬢の悪評と一緒に聞こえてくるようになってしまった。
王族の方が世話役になるような方と私が関わりを持つことなんてなく、學年も違うので直接會話をしたという人の話を聞く機會すらない。
そこで初めて聞いた「星の乙」の話題が憧れている方の悪口だったので、正直星の乙……ピナさんへの個人的な好度はとても低いものになった。今でもそれは変わらない。いや、むしろ最初より下がっていると思う。
いつかお褒めの言葉をかけてもらいたい、と憧れを含んだ目で追いかけ続けていた私は、グラウプナー公爵令嬢がそんな事をする方ではないと思っている。
けど今の學園でそう主張するのがどんなに危険な事か、自分のと天秤にかけてしまった私は聲を上げられなかった。シシリーの言う証人の「レミリア様のご友人」……レミリア様のご學友としてふさわしい分の方なのだろう。そんな方までそう言っているのなら、「そんな事をする方ではないと思う」というだけの私の主張が通るとは思えない。
しかし今回こうして話をされたせいで、星の乙が嫌がらせをけているという話は一気に信用のならないものになった。だって、他の証人もこうして偽証を頼まれていないかと言う保証はない。
しかし「グラウプナー公爵令嬢は無実なのでは」という訴えにも、またそれを裏付けできる証拠はないのだ。
私に出來るのは、真実を口にするだけ。
「こんな事頼むなんて……困るわ。偽証に手を貸すなんて絶対に出來ない。私の家が司法の仕事をしているのは知っているでしょう?」
「……」
シシリーは不機嫌そうな顔をして、返事をしようとしない。この場を切り上げるために、私は話を終わらせにかかった。
「もちろん、星の乙様に限らず。何らかの犯罪現場に出くわしたら、それがどんなに些細なことでも必ず真実を証言すると約束するから。竊盜でも、誹謗中傷でも」
「……誓ってくれる?」
「ええ、誓うわ。必ず見たまま、聞いたままを証言するって誓う」
偽証に協力すると思われるような言質を取らないように注意深く答えた私は席を立とうと店員を呼ぶベルを鳴らした。
私はここでつい、馴染のシシリーに、変な行を起こすのはいけないと、聲をかけてしまった。
「……でも、もうこんな事やめた方がいいわ。……ねぇ、シシリー、私あなたが心配よ。他の証人の方達って……本なの?」
「!! 私が勝手にしている事よ!! ピナ様を悪く言わないで!!」
偽証した人が一人いたら、他の人もそうかもしれないと言う目で見られてしまう、と言う忠告の意味で口にした言葉は彼の逆鱗にれてしまったようだった。
まるで親兄弟を侮辱されたかのような激しい怒りを向けられて、別れの挨拶もする事なく、私はカフェを逃げるみたいに出てきてしまった。
「失敗したな……」
友人を一人失ってしまった、と寂しく思った私はタウンハウスの私室で獨り言を呟いた。
しかし、星の乙の力になりたいと純粋に思っているようだったシシリーには申し訳ないと思うけど、事実は事実として父に今日された話をしないとならない。司法の仕事をしている家の子息令嬢として言いつけられた義務を果たすために、ハウススチュワート経由でお父様に渡してもらう手紙を書くと自分の侍に預けた。
まさかこの日の行が、グラウプナー……いえ、「救世の聖レミリア」様が凱旋された後、直接お禮を言われるどころか表彰されるような出來事に発展するとは、この時の私はかけらほども考えていなかったのだった。
【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔術師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔術の探求をしたいだけなのに~
---------- 書籍化決定!第1巻【10月8日(土)】発売! TOブックス公式HP他にて予約受付中です。 詳しくは作者マイページから『活動報告』をご確認下さい。 ---------- 【あらすじ】 剣術や弓術が重要視されるシルベ村に住む主人公エインズは、ただ一人魔法の可能性に心を惹かれていた。しかしシルベ村には魔法に関する豊富な知識や文化がなく、「こんな魔法があったらいいのに」と想像する毎日だった。 そんな中、シルベ村を襲撃される。その時に初めて見た敵の『魔法』は、自らの上に崩れ落ちる瓦礫の中でエインズを魅了し、心を奪った。焼野原にされたシルベ村から、隣のタス村の住民にただ一人の生き殘りとして救い出された。瓦礫から引き上げられたエインズは右腕に左腳を失い、加えて右目も失明してしまっていた。しかし身體欠陥を持ったエインズの興味関心は魔法だけだった。 タス村で2年過ごした時、村である事件が起き魔獣が跋扈する森に入ることとなった。そんな森の中でエインズの知らない魔術的要素を多く含んだ小屋を見つける。事件を無事解決し、小屋で魔術の探求を初めて2000年。魔術の探求に行き詰まり、外の世界に觸れるため森を出ると、魔神として崇められる存在になっていた。そんなことに気づかずエインズは自分の好きなままに外の世界で魔術の探求に勤しむのであった。 2021.12.22現在 月間総合ランキング2位 2021.12.24現在 月間総合ランキング1位
8 111剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】
※書籍版全五巻発売中(完結しました) シリーズ累計15萬部ありがとうございます! ※コミカライズの原作はMノベルス様から発売されている書籍版となっております。WEB版とは展開が違いますのでお間違えないように。 ※コミカライズ、マンガがうがう様、がうがうモンスター様、ニコニコ靜畫で配信開始いたしました。 ※コミカライズ第3巻モンスターコミックス様より発売中です。 ※本編・外伝完結しました。 ※WEB版と書籍版はけっこう內容が違いますのでよろしくお願いします。 同じ年で一緒に育って、一緒に冒険者になった、戀人で幼馴染であるアルフィーネからのパワハラがつらい。 絶世の美女であり、剣聖の稱號を持つ彼女は剣の女神と言われるほどの有名人であり、その功績が認められ王國から騎士として認められ貴族になったできる女であった。 一方、俺はそのできる女アルフィーネの付屬物として扱われ、彼女から浴びせられる罵詈雑言、パワハラ発言の數々で冒険者として、男として、人としての尊厳を失い、戀人とは名ばかりの世話係の地位に甘んじて日々を過ごしていた。 けれど、そんな日々も変化が訪れる。 王國の騎士として忙しくなったアルフィーネが冒険に出られなくなることが多くなり、俺は一人で依頼を受けることが増え、失っていた尊厳を取り戻していったのだ。 それでやっと自分の置かれている狀況が異常であると自覚できた。 そして、俺は自分を取り戻すため、パワハラを繰り返す彼女を捨てる決意をした。 それまでにもらった裝備一式のほか、冒険者になった時にお互いに贈った剣を彼女に突き返すと別れを告げ、足早にその場を立ち去った 俺の人生これからは辺境で名も容姿も変え自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の人々から賞賛を浴びて、辺境一の大冒険者になっていた。 しかも、辺境伯の令嬢で冒険者をしていた女の人からの求婚もされる始末。 ※カクヨム様、ハーメルン様にも転載してます。 ※舊題 剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で出直すことにした。
8 123星の家族:シャルダンによるΩ點―あるいは親友の子を引き取ったら大事件の連続で、困惑する外科醫の愉快な日々ー
東大醫學部卒。今は港區の大病院に外科醫として勤める主人公。 親友夫婦が突然の事故で亡くなった。主人公は遺された四人の子どもたちを引き取り、一緒に暮らすことになった。 資産は十分にある。 子どもたちは、主人公に懐いてくれる。 しかし、何の因果か、驚天動地の事件ばかりが起きる。 幼く美しい巨大財閥令嬢 ⇒ 主人公にベタベタです。 暗殺拳の美しい跡取り ⇒ 昔から主人公にベタ惚れです。 元レディースの超美しいナース ⇒ 主人公にいろんな意味でベタベタです。 大精霊 ⇒ お花を咲かせる類人猿です。 主人公の美しい長女 ⇒ もちろん主人公にベタベタですが、最強です。 主人公の長男 ⇒ 主人公を神の如く尊敬します。 主人公の雙子の娘 ⇒ 主人公が大好きですが、大事件ばかり起こします。 その他美しい女たちと美しいゲイの青年 ⇒ みんなベタベタです。 伝説のヤクザ ⇒ 主人公の舎弟になります。 大妖怪 ⇒ 舎弟になります。 守り神ヘビ ⇒ 主人公が大好きです。 おおきな貓 ⇒ 主人公が超好きです。 女子會 ⇒ 無事に終わったことはありません。 理解不能な方は、是非本編へ。 決して後悔させません! 捧腹絶倒、涙流しまくりの世界へようこそ。 ちょっと過激な暴力描寫もあります。 苦手な方は読み飛ばして下さい。 性描寫は控えめなつもりです。 どんなに読んでもゼロカロリーです。
8 121骸骨魔術師のプレイ日記
全感覚沒入型VRデバイスが一般的に普及した未來。このデバイスはあらゆる分野で利用されており、それはゲーム業界でも同じである。人々はまるで異世界に迷いこんだか、あるいは近未來にタイムトラベルしたかのような経験が可能ということもあって、全世界であらゆるジャンルのVRゲームが飛ぶように売れていた。 そんな好調なVRゲーム市場に、一本の新作タイトルが舞い降りる。その名は『Free Species World』。煽り文句は『あらゆる種族に成れるファンタジー』であった。人間にも、獣にも、はたまた魔物にも成れるのだという。人型以外の姿を取ることが可能なVRゲームは世界初であったので、βテストの抽選は數千倍、製品版の予約は開始一秒で売り切れ狀態となっていた。 これは後に社會現象を起こす程に大人気となったVRゲームで悪役ロールプレイに撤し、一つの大陸を支配して名を轟かせたとある社會人のプレイ日記である。 ◆◇◆◇◆◇ GCノベルス様から書籍化致しました。書籍版のタイトルは『悪役希望の骸骨魔術師』です!
8 92神眼使いの異世界生活
鳴神創真は女神様の間違いで死んでしまった。 女神様はお詫びとして異世界に転生させてくれるらしい。女神様からもらったスキルは7種類の神眼だった。 超王道のファンタジー物語! 題名はまだ安定しません! 書いているのがただの高校生で初めての作品なので下手くそで読みずらいかと思いますがよろしくお願いします!
8 78虐められていた僕はクラスごと転移した異世界で最強の能力を手に入れたので復讐することにした
高校二年の桜木 優希はクラス中で虐められていた。 誰の助けも得られず、ひたすら耐える日々を送っていた。 そんなとき、突然現れた神エンスベルによって、クラスごと異世界に転生されてしまった。 他の生徒に比べて地味な恩恵を授かってしまった優希は、クラスメイトに見捨てられ命の危機にさらされる。気が付くと広がる純白の世界。そこで出會ったのはパンドラと言われる元女神だった。元の世界へ帰るため、彼女と契約を結ぶ。 「元の世界に帰るのは僕だけで十分だ!」 感情や感覚の一部を代償に、最強の力を手に入れた優希は、虐めてきたクラスメイトに復讐を決意するのだった。 *この物語の主人公は正義の味方のような善人ではありません。 クズで最低でサイコパスな主人公を書くつもりです。 小説家になろう、アルファポリスでも連載しています。
8 134