《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》26 アグリア殿下の考え

「要するに、問題をシンプルにすればいい。平民も王侯貴族も関係なく、今後結婚に関しては一律の様式に揃える」

翌日、本當に総務部……バルク卿の元に、アグリア殿下と私は揃って來ていた。

一律の様式に揃える、のに便利なのが宗教だが、それはこの國にはない。王族が神の代行だ。

「別に宗教である必要は無い。ほら、フェイトナム帝國ではあらゆる契約の際、契約の更新の際に資格を持った立ち合い人がいたろう?」

「! 資格……資格と、有資格者を作るんですね?!」

「そう。読み書きが出來て、この契約に関するあらゆる法律を網羅できる、資格者を作る。王族がいちいち立ち會えないからね、必ず街や集落に一人は行き渡るようにしたい。だから、資格者が覚えるべき法律を作る。バルク卿、どう思う?」

「異論はありません。商人が兼ねてもいい事ですからね、ある程度の人數は確保できます」

「各地の役所の者にも試験をけさせよう。最初の5年は試験料は無料、その間に資格者とそれに関する本を整えて、後進を育てさせる。立會料も5年間は補助金を出して浸させよう。分が上がるごとにその立會料は高くなるように、平民も無理なくお金を払えるように……その辺は稅務部とも相談だ」

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アグリア殿下のおで、やっと道が見えてきた。

私は當たり前に思っていた仕組みは、アグリア殿下にとっては目新しいものだった。それを『契約』というに汎用が効くように、資格者を作る。

お金は自分たちで出させる事で繋がりが強くなる。もちろん、理不盡な結婚で辛い思いをする位ならば離婚するべきだし、その時に立會料は離婚の有責側に払わせるように、そこも立會人がくようにすればいい。

馴染むまでの期間もそうだし、この立會人には國から毎月資格者である手當を出せば離職率もないだろう。

各地を回ってそれだけで食べて行ってもいいし、副業として資格を持っておいてもいい。役所の人間が有資格者の方が給金がよくなると分かれば、こぞって資格を取ろうとするかもしれない。

「私も賛です。これ、草案を作ってしまいましょう……1週間くらいで。私がやりますから、そのあと殿下とバルク卿の意見を聞かせてください」

私は外國人だったから気付かなかったけど、一番近で見てきたのは外國人の私だ。祖國の法律をもっとこの國に合わせて、資格試験や資格の名前も馴染みやすいに変えて。

私の頭の中で考えがき出す。薄らと、笑みを浮かべている自覚がある。

「じゃあ、全ての下敷きの準備の完了は1月後を目指して、そこから、資格者証、試験容、勉強する為の本の印刷と進めよう。1年掛かりになるかと思ったけど、うまくいきそうだね。クレアのおかげだ」

「クレア様は優秀ですからね」

……本気で褒めているのが分かるので、私は何も言えず赤くなってしまった。

私の知識も、この國の知識も合わせて、やってみよう。民の聲は聞いて、試用期間である5年のうちに改良していこう。

何よりも、私とアグリア殿下を結ぶを作る。

こんなに、ドキドキする仕事はこの先もなかなかないだろう。

私は総務部を辭して、私に與えられた執務室に向かった。

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