《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》33 異國文化+異國文化
「何暗い顔してんだ? お嬢……じゃないな、クレア様」
「ガーシュ! 今日も仕事は終わったの?」
「あぁ。だからお許しも出たしのんびりしてた。考え事があるなら退くよ」
私の部屋の窓の外、木の枝に気怠そうに座って背中を幹に預けた彼は、今日も果を齧っていた。
皮ごとたべられるものらしく、らかそうな南國のをしたそれを食べながら軽く首を傾げて見せる。
「ねぇ、し相談に乗ってくれない?」
「いいぜ。あ、俺が出した話とか言うなよ、面倒だから」
「いいの? でも、そういう事なら相談しやすいわ」
そして私は、公正と責任を一目で誰もが理解するモチーフは無いか、と相談した。
「なんだ、天秤でいいと思うぜ? そこに何かたしゃいいだろうよ。……そうだな、この國だと麥と米が同じ価値みたいだから、それとか」
「え……? 麥と米が、同じ価値なの?」
「あぁ、そうだぜ。麥の病気が流行ったらしいが、そりゃ古い麥だったからなぁ、なんてみんな笑ってる。今も食えないやつは食えないらしいが、外に輸出する分が増えて米が國消費だろ。だから麥の価値は落ちてないし、米の農家は増えて、まぁ儲けはトントンってとこみたいだぜ。俺の祖國もここから麥を買ってるし」
私はてっきり、米の生産に力をれて麥はあまり作らなくなったとばかり思っていた。
言われてみればそうだ。他の國では麥がメインなのは変わらない。外に高く売れるものを作らなくなるはずがない。
盲點だった。この國は、易も監視下でもこなす大國。態々売れるものを、自分たちが食べないからとノウハウごと捨てるはずもない。
「とっても參考になったわ、ガーシュ。ありがとう!」
「どういたしまして。輸出品と國消費の、別の穀。どっちが欠けてもこの國は困るからな、俺から見たらそうって所の話をしただけだ」
ガーシュは異國の人だ。こういう時何でお禮をしたらいいのだろう。
「あなた、何かしいものはない? 簡単なものだけど、できるだけ用意するわ」
「しいもの? うーん……あぁ、楽かねぇ。この國は祭りの時位しか楽も踴りもやらないからな。俺の國は、ちょっとしたことで酒の席で楽も歌も踴りもやるんだ。みんなで祝う」
どんな楽だろう? ピアノ……は、ちがうだろうし、弦楽かしら?
「何という名前の楽? 私もまだこの國にきて日が淺いけど、見つかるようなら用意するわ」
「リュートって弦楽だよ。バイオリンみたいな弦で弾くやつじゃなく、手で爪弾くんだ。手にったらクレア様に一曲捧げるよ」
リュート、と聞いて先日の宴會の様子を思い出してみる。本の中で見たことのある名前だけれど、実は知らない。グェンナにでも聞いてみよう。
「分かったわ。用意できなかった時にはごめんなさい、別なものを用意することになるけど」
「いいよ。とにかく仲間とワイワイやれればそれでいいからさ。っと、人が來るな。またな、クレア様」
そう言ってひょいひょいと木の枝を降りてあっという間に歩き始めたガーシュを見送ると、本當に部屋のドアがノックされた。
「クレア様、お茶をお持ちしました」
グェンナがお茶を持ってきた。一ガーシュは何でそれが分かったのだろう?
不思議に思いながら、気持ちいい風を部屋の中にれたまま、私はソファでミルクティーを飲んで頭を休めた。
剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】
※書籍版全五巻発売中(完結しました) シリーズ累計15萬部ありがとうございます! ※コミカライズの原作はMノベルス様から発売されている書籍版となっております。WEB版とは展開が違いますのでお間違えないように。 ※コミカライズ、マンガがうがう様、がうがうモンスター様、ニコニコ靜畫で配信開始いたしました。 ※コミカライズ第3巻モンスターコミックス様より発売中です。 ※本編・外伝完結しました。 ※WEB版と書籍版はけっこう內容が違いますのでよろしくお願いします。 同じ年で一緒に育って、一緒に冒険者になった、戀人で幼馴染であるアルフィーネからのパワハラがつらい。 絶世の美女であり、剣聖の稱號を持つ彼女は剣の女神と言われるほどの有名人であり、その功績が認められ王國から騎士として認められ貴族になったできる女であった。 一方、俺はそのできる女アルフィーネの付屬物として扱われ、彼女から浴びせられる罵詈雑言、パワハラ発言の數々で冒険者として、男として、人としての尊厳を失い、戀人とは名ばかりの世話係の地位に甘んじて日々を過ごしていた。 けれど、そんな日々も変化が訪れる。 王國の騎士として忙しくなったアルフィーネが冒険に出られなくなることが多くなり、俺は一人で依頼を受けることが増え、失っていた尊厳を取り戻していったのだ。 それでやっと自分の置かれている狀況が異常であると自覚できた。 そして、俺は自分を取り戻すため、パワハラを繰り返す彼女を捨てる決意をした。 それまでにもらった裝備一式のほか、冒険者になった時にお互いに贈った剣を彼女に突き返すと別れを告げ、足早にその場を立ち去った 俺の人生これからは辺境で名も容姿も変え自由気ままに生きよう。 そう決意した途端、何もかも上手くいくようになり、気づけば俺は周囲の人々から賞賛を浴びて、辺境一の大冒険者になっていた。 しかも、辺境伯の令嬢で冒険者をしていた女の人からの求婚もされる始末。 ※カクヨム様、ハーメルン様にも転載してます。 ※舊題 剣聖の幼馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で出直すことにした。
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