《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》35 責正爵位書の完

シンボルの理由を説明して仮のデザインを仕上げ、文に草案を詰めたものを回してさらに案が追加されたものを検討し、下書きをまた文に回す。

その間に印章のデザインも職人と相談して仕上げた。麥と米の細かな違いが一目でわかり、天秤も凝ったデザインにしてある。この國のシンボルである大鷲が両翼を広げて天秤の上に載っている。

王室が神の代行であるこの國の、國が保障する爵位に相応しい印章だ。偽造もし難い。もう一工夫加えるつもりではあるけれど。

2〜3回それを繰り返してあがってきた、文が清書した、責正爵位書の完原稿がここにある。

私とアグリア殿下、バルク卿は、最後にこの本に関わった人の名前を最後に記し、これの寫しを作ってお義父様に提出した。

苦節約2ヶ月……いや、國の一大プロジェクトとしては頑張った方だ。

私はバルク卿とアグリア殿下をって、こっそりサロンでお茶で祝杯をあげた。この後も二人は仕事があるし、私もガーシュにお禮をするためにリュートを探さなければいけない。

私はお気にりのミルクティーを、2人は無糖の紅茶を飲んだ。無糖の紅茶は香りが強くて、味はさっぱりと口の中を洗ってくれるらしく、男はそちらを好むようだ。

私も飲んでみたけれど、かぼちゃや芋のようなこくのある香りと、それでいて口の中をあっさりと通り抜けていくのは、甘さで癒されるミルクティーよりサッパリする。

「……落ち著いたら、福利厚生の中に織り込もうかしら」

「福利厚生? って何だい?」

アグリア殿下に尋ねられて、あぁ、と思い至った。

手當や希日の休み、調不良の時の急な休みもそうだが、それらを纏めて、働く人のための権利としてまとめたものを福利厚生と祖國では言っていたと説明した。

「いいかもしれないね。みんな今は水か白湯を飲んでいるし、仕事の時にお茶を淹れて飲めれば気分の切り替えにもなる」

「そうですね。我々は侍や使用人が淹れてくれますが、さすがに役所全てにお茶を淹れるだけの人材は派遣できませんので、何か形を考えなければなりませんが」

お茶を淹れるだけの人材……、確かに、それだけだと國中の役所で働く人全員に行き渡らないし、王宮勤めだけずるい、不公平だ、という聲が上がるかもしれない。

今は役人の給與や手當て、出退勤の管理も総務部に任せている。役所から申告されたものを検討して、給與と手當を払っている狀態だ。総務部も忙しい。

「なら、部署を増やしましょう。責正爵の事もまとめて管理して、働く人の一切を手掛ける部署。紅茶は置いておくにしても、いずれ必要だとは思っていたんです」

ミルクティーのったカップを両手で包みながら、私は興味深そうなアグリア殿下とバルク卿に微笑みかけていた。

「もうし落ち著いて、責正爵の資格試験が浸してから……、そしたら読み書きと計算が出來ても暗記が苦手だとかいう、偏った能力の方でも王宮に働き口が用意できます。學び舎も作りたいですが、余りに一気にやりすぎてもいけないので、まずはここから……。人事部、という新部門を開設しましょう」

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