《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》38 リュート探し

市井のマーケットは圧巻だった。布地から食べまで、さまざまな彩りに溢れている。

し暑い國だからか、マーケットの人は水分補給に竹筒の水を飲み、井戸の水はいつでも誰でも汲めるようにあちこちに設置されていた。

特徴的なのが、屋臺の屋だ。商品まで覆うように骨組みを組んで、厚手の布を濃い染料で染めてある。黒や青はない、明るいオレンジや黃、緑などが多かった。

しで商品が悪くならないように、ただの布ではなく厚布を染料で染めてるんです。黒や青は日を集めやすいので、こんな合いになるんですよ」

「彩りも良くてとても綺麗ね! お店も見たいけれど、マーケットも一通り見てみたいわ」

「逸れないように手を繋ぎましょうか。クレア様がどんな方かは、私たちもわかってきましたので」

同士で手を繋いでもいいのかしら? まぁいいのか、と思って、両側をグェンナとメリッサに挾まれて歩く。

たちの予想通り、私はあちらの店、こちらの店ととてもフラフラして歩いた。放っておいたら楽探しの時間が無くなるのを見越されていたのだろう。程々に店主と話したところで先に引っ張られていく。

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ようやくマーケットを抜けて、私はやっと手を離された。ここまでで大分時間を食ってしまったが、自業自得なので何とも言えない。

マーケットを抜けたら、今度はシックな街並みが見えた。焼いた煉瓦か、表面を黒く炙った木で出來た街並みだ。

木は水を含んでいるから、こうして炙る事で経年劣化を防ぎ、雨にも強くなる。

煉瓦も、しっかり焼いてあるから同じように雨が降っても水を弾く。もしくは、水を含んでもらかくならずに、適度に後で空気を冷やしてくれる。

石造の店は見當たらない。なんだか可らしい街並みに見える。

「石造になると、鉄骨を使います。海が近いので、風に曝されると逆に脆くなりやすいんです」

「城は高い位置にあるのと、鉄骨ではなく石そのものでエントランスの柱を作っているので平気ですよ。城の壁も外側は塗裝されていますが切り出した石を積み、中は何重かの木材で構造されているので丈夫なんです」

石を切り出すよりは煉瓦を焼いた方が安く上がる。

城のように何十年、何百年と保たせる事と火事に注意するべき場所はそうして、街中はなるべく安価でも長持ちするように建てているらしい。

勉強になるわ、と思いながら店を見て歩く。楽店を幾つか巡って、カフェでお茶にした後、また店を見て歩いたがそれらしいは見當たらない。

悩んでいると、ガーシュと似たようなの人が町外れに店を出していた。マーケットは許可制、店を出すにも人頭名簿に登録しなくてはいけないから、この場所に布を敷いて座っているのだろう。

ちょうど木になる位置だ。これなら店を出してる、とは言われないだろう。

メリッサとグェンナはその店に難を示したが、私は楽らしきものを見つけてその店に突撃した。

に長い髭と眉で人相は分からない。ガーシュと同じような服裝に、頭には布を巻いている。

「おじさま、リュートはこの楽?」

子供の遊ぶような手作りの人形や、特産品の民族裝においやられて端にあった、木の皮で出來たような丸い弦楽を指差して私は尋ねた。

驚いたように片眉をあげた老人は、そうじゃよ、と言って頷いた。

「これがしいの。おいくらかしら?」

「そうじゃのう。リュート、という名前を知ってるお前さんになら、銀貨5枚で譲るよ」

因みに、銀貨5枚あれば夫婦2人で一月充分に暮らせる。楽は高いものと思って來ていたので、私は迷いなくお金を払った。グェンナとメリッサは困しているようだったけれど。

「ありがとう。大事にするわ」

「またきとくれ」

私は満足のいく買いだったが、私の手を片手で握り、片手にリュートを抱えたメリッサが店を離れてから困している。

「クレア様、本當によかったのですか? 高い買いですよ」

「実はね、友達へのお禮なの。私に緒の友達がいるのは、殿下たちには緒にしてくれる? 時がきたら話すから。目立つのがとっても嫌いな友達なの」

さらに珍妙な顔を見合わせた二人は、ため息を吐いて渋々了承した。

二人には悪いし、アグリア殿下にも申し訳ないと思っている。けれど、違う國からこの國に一人できた……そして、もとは戦爭をしていた國だ……私には、その因縁と関係のない友人は得難いものだった。

別が男という所と、もっと目立ってもいいと思ってもいい人だったら楽だったのだけど、と思いながら、行きに目をつけていた雑貨屋でグェンナとメリッサにそれぞれ似合う髪留めを買ってプレゼントし、殿下と私にお揃いの、服の下につけておける小さなペンダントを買った。

私の髪と同じ、真珠のペンダントトップと、寶飾品にはならない殿下と同じルビーの屑石のペンダントトップのついただ。

(全部、誰かに喜んでしいと思っての買いは、楽しいわ)

義務として自分を飾るドレスや寶飾品を城で買い付ける買以外はした事がなかった。貨幣価値は知っていても、こうして街で実際に買をするのは初めてだ。

私たちは街の外れの馬車との待ち合わせ場所まで、存分に買いを楽しんでから向かった。

そして、マーケットを抜けて人通りが無くなったところで、うっかりならず者に囲まれてしまった。

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