《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》56 バラトニア王國の売り

「……という訳でね、なるべく國庫を圧迫しないけれど喜ばれるお土産を考えているんだけれど、相手の國を知らなければ何が喜ばれるか分からないでしょう? 節約は大事だけれど、喜ばれるのが一番大切だから、ガーシュが知っている事を教えてしいの」

「あー、そうか。結婚したら新婚旅行……まぁそうなりますよね。護衛は俺らもこっそり著いていくからし削ってもいいですよ、クレア様は最優先順位者なんでね。ネイジアとしても守る義務がある」

「あら、それは助かるわ。……それで、一応この國で今余剰になっているを考えてみたんだけど、ちょっと見てみてくれる?」

「ふんふん……なるほど、へぇ、……あぁ、見落としてますね」

窓の外の木の枝にいつも通り寛いで座るガーシュに、私が書き出したリストを見せると、ガーシュは悪くはないけど、という顔で目を通して笑みを零して呟いた。

「み、見落とし?! 何か、喜ばれそうで我が國で今余っている、ある?!」

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「ありますよ。――寶飾品です」

私は目を丸くして窓枠に手をついたままを乗り出した。危ないから戻りなさい、とガーシュに苦笑して促されては引っ込めたものの、それは想定外だった。

「今、この國は獨立したばかりだ。だからクレア様も見落としたんでしょうけどね。バラトニア王國だけですから、鉱山の國ともシナプス國とも易を行っているのは。というか橋渡しをしているのが、ですかね? 今は極冬に食糧を渡しているし、食べは喜ばれませんけど、蕓品は喜ばれますから。王族が著けるような寶飾品っていうのはどの國でも喜ばれると思いますよ。特に石が嵌った白金(プラチナ)のブラシと手鏡のセットとか、展示して國の行事に使うならネックレスとイヤリングのセットとか」

私はじっと考え込んだ。そういえばその通りだ。

今迄は易して得た寶飾品は、最優良品質のものをフェイトナム帝國に渡していた。あくまでバラトニア王國は屬國で、フェイトナム帝國に何もかもが優先されていた。

が、立地として易で得た寶飾品は全てバラトニア王國が選別し、流すべきものをフェイトナム帝國にも正規の値段で売っている。関稅も掛けているが、それでもシナプス國と鉱山の國との関係を続けるためにそこの予算はずっと使われている。

もういい、とはならないのだ。定期的に易を続ける事で、友好な関係でいられる。鉱山の國とはインクの事もあったので石炭を卸してもらう量が増えていたが、これまでのように半貴石等も買い付けてシナプス國で加工している。

そして、今の國庫の予算のうち、それは『國と國との関係を保つため』の予算である。誰だって食い扶持が急に消えては困るのだ。シナプス國も、鉱山の國も、フェイトナム帝國が間に挾まっていた時のようにバラトニア王國は買い付けを行い易を行う必要がある。

それを思えば、確かに余っている。特別注文をすれば、平素から頼んでいる分よりない資源で同じ金額で特別なものは造ってくれる。

「どちらも、王國、なのかしら?」

「ですよ。で、王族っていうのは國で一番きんきらきんに飾り付けるのがお仕事ですからね。寶飾品やら高価な蕓品のような日用品っていうのは、どの國でも喜ばれるでしょうね」

「ありがとう! さっそくその方向で話をまとめるわ! シナプス國の職人にも特別手當を払って特急で造ってもらわなくちゃ……」

「いや、その必要は無いと思いますがね」

私がどの位時間が必要かしら、と思っていると、ガーシュは首を傾げてその思考を止めた。

「職人の國でしょう? どの職人も虎の子の蕓品を日常の易に乗せたりしませんよ。もう出來上がってるを買い付ける、その買い付けを鉱石の國のこれまた虎の子の寶石で買い付ければいいと思いますよ。職人だとかってのは、大そういうもんをしまい込んでますからね」

「そういうものなの?」

「そういうもんです」

ネイジア國も、練り絹という最高級品はウェディングドレスの時にだけ出してくれた。職人の國、という意味ではネイジアも一緒だ。

それなら、とガーシュの言葉を全面的にけ止めて、アグリア殿下に話してみる事にしよう。

「ありがとうガーシュ、とっても助かったわ」

「いえいえ。護衛の方も話しといてください、そういうのは得意なんでね」

それだけ言うと、じゃあ、と言ってガーシュは枝を蹴って音もなく地面に著地するとのんびり歩いて遠ざかって行った。

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