《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》59 護衛と渉役

近衛騎士団の中でも特にの大きな2人を選びました、というバルク卿が連れて來たのは、3人の男だった。護衛が2人に、渉役に1人だそう。

見上げる程大きな禿頭に顔から鎧の下まで傷跡の殘る三白眼の中年男と、頬に一筋傷跡があるだけの茶の髪をした大型犬のような想のいい男の2人が護衛。眼鏡をかけて、知らない民族裝のような飾り紐で留める長を著た黒髪に白いの男が一人だ。長い黒髪を後ろに綺麗に結って流している。

「一番の年上がゴードン、こちらの落ち著きが無いのがジョン、渉役は私が育てた総務部のイーリャン。元は外國人ですので、ドラグネイト王國の言語も分かっています」

ドラグネイト王國は地理的な條件でどの國の下にもくだらなかった。易があったのでフェイトナム帝國語とバラトニア王國語の両方は理解しているが、獨自言語がある。私も聞きとり、片言で話す位ならばできるが、イーリャンと紹介された青年はバルク卿が選ぶくらいだから語學堪能なのだろう。

「ゴードン、ジョン、護衛をよろしくね。イーリャン、私は渉とかは苦手なの。任せてもいいかしら?」

「はっ!」

「了解っす!」

という護衛二人の気合のった返事に対し、イーリャンは私を冷めた目で見た。

見下されている、または、品定めされている、とわかる目だ。態とだな、と分かった。

「……盡力いたします」

聲は全く盡力する気が無さそうだ。

もしかしたら、バルク卿に対して私が預けたプロジェクトから外された事が腹立たしいのかもしれない。私のような小娘の新婚旅行のために國の予算をかしたり、バルク卿のような有能な人を連れ回したりこき使ったり。どうにもバルク卿に対して心酔しているようにも見える。

舐められるのには慣れているけれど、ここで代、と言えばイーリャンの思うつぼだ。

私は彼の全で嫌がっているのを無視して、じゃあ行きましょう、と馬車に促した。

し面食らった顔をしている。バルク卿は分かっていて彼を寄越したようで、イーリャンの後ろで笑いをかみ殺していた。帰ってきたら仕事の進捗にめちゃくちゃ言ってやろう……、いや、言うこと無しで上がってくるだろうけれど。

護衛はやる気満々でついてきて、馬車の隣を自分たちの馬で並走するという。馬車の中には私とイーリャン、グェンナとメリッサが乗り込んだ。私の隣にグェンナ、向かいにイーリャンでその隣にメリッサだ。

「『仕事をサボって果が出ないようなら、バルク卿に報告しますから』」

グェンナとメリッサは、私が何を言ったのか理解できなかっただろう。イーリャンだけが、目を見開いて私を見ていた。

イーリャンの祖國……フェイトナム帝國の屬國にあたるシンフェ國の出なのは、彼の著から簡単に推測できる。帝國の第二皇だったことを、彼は忘れていたようだ。

……というより、第二皇が外國語を話すということに、驚いたのだと言うのは後で聞いた事だけれど。

馬車は俄かに出発し、車は沈黙を保ったまま、1泊2日の買い付け旅行が始まった。

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