《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》63 やかなる神事
間が空いてしまって申し訳ありません!別の作業と調の関係で遅れました。
活報告にありますように5月からは毎週月曜日の更新ができるよう頑張りますので、またよろしくお願いいたします。
『深海』を手袋をはめた手で両手で捧げ持つように持ち上げたイーリャンは、目を伏せて自らの額にその石を寄せる。
私の目には最初、何が起きているのか良く分からなかった。イーリャンは何か不思議な言葉を唱えた訳でもなく、石に語り掛けたわけでもない。けれど、やがてそれは訪れた。
暫くそうして額に石を寄せていたイーリャンと石の間に、青白いようなが現れて、それが石とイーリャンを包んでいく。イーリャンの長い髪は風もないのに水中の中に居るように浮いてうねり、そこで初めて、イーリャンはシンフェ國の言葉を発した。
「『神経回路接続、鉱石言語解読の承認開始……承認確認。意思確認開始、……意思確認完了』」
私がシンフェ語が理解できるとは言っても、これは呪文というよりも、何か別のもののように聞こえる。
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もっと、敬うような言葉や何かがあるのかと思ったけれど、対話というのには余りにも無駄がなく、どちらかと言えば機を扱う暗號のような呪文だ。
シンフェ國の神事とはこういうなのかしら、と思って眺めていると、しの間沈黙している間にが収まり、イーリャンは石を元の箱に戻した。ひどく疲れた顔をしていて、ランディ様が立ち上がって手ずから水差しの水をイーリャンに差し出した。
それをけ取るイーリャンは丁寧に手袋を外して微かに震える手でコップをけ取り、水を一息に煽る。
「……ねぇ、イーリャン? もしかして、とってもそれはに負擔がかかることなのかしら?」
「そうですね……疲れないと言えば噓になります。が、どう言えばよいのでしょう……馬には乗られますか?」
「いいえ、乗らないわ」
「では想像してください。馬の意思と自分の意思を通わせる……それも、今回は初対面の石で、別の國の産出ですし、奉られていた訳でもないので野生馬とします。その野生馬に、蹴られないように近付いて、どうしたいのかを聞いたうえで、野生馬が許せば背に乗せてくれる。……というようなことを、無理矢理行います。弾かれればそれまでですが、ドラグネイト王國は信心の厚い國ですので、野生馬程暴れたりはしませんが」
想像してみて、と言われて想像してみるものの、あの神的な景を暴れ馬を馴らすじです、と言われてもいまいちピンと來ない。ただ、イーリャンが唱えた言葉の意味は理解できたので、神経回路を接続……というのが蹴られないように野生馬に近付くことで、意思確認、というのが乗せてくれるかどうか、なのかは分かった。
るまでに間があったのは、石とイーリャンの間で警戒されるかどうか、のようなやり取りがあったのだろう。
「私は神事としてこのようなことを行う技能を持っていますが、シナプス國の職人も無意識にやっていることだと思います。いえ、他にも一流の人間ならば、無意識に。どうなりたいのか、どういう形になりたいか、聲の無いものから聲を聞くというのはそういう覚です」
私は一流の何かでは無いが、料理人が食材の聲を聞く、というのは聞いたことがある。そういう時に作った料理は特に味しくできるのだと。
イーリャンは何かを極めた人間ではない……のかしら? 司祭としての能力を有したまま他國の文になるというのはかなり優秀だけれど……けれど、それを神事として行うことができる、と。
私が納得したような顔で考え込んでいると、イーリャンがようやく私に対して微笑んだ。
「貴は……今の不思議を見ても、そこには何も言わないのですね」
「った事? でも、宗教というのは神の言葉を聞いて神の意志を広く伝えるものではないの?」
「それはそうなんですが……、バラトニア王國に宗教はありませんし、フェイトナム帝國は……」
言葉を濁した理由は分かっている。フェイトナム帝國の宗教関係者は、汚職に塗れて本來の司祭の役目を果たせない、ある意味市井からり上がるための権力爭いの場になっている。
私に信心が無いのもそのせいだ。だけれど、フェイトナム帝國の宗教が腐っているからと言って、他國の宗教まで腐っているという積りは頭ない。
ドラグネイト王國では石を奉るというし、石には力が宿るという話もある。パワーストーンという、お守りのようなものだけれど。
「それとこれとは話が別だわ。フェイトナム帝國は他國の宗教に手をれないことを不文律にしていたもの。シンフェ國の宗教は尊重されるべきだし、もちろん、ドラグネイト王國の宗教もよ」
「そうですか。……では、『深海』の意思をお伝えしても?」
これは、信じてくれますか? という確認だろう。
私は真剣な顔で頷いた。
「『深海』は『火炎』と離れることをみません。必然、『春』と『永遠の初夏』になりますが、どうなさいますか?」
つまり、『深海』を持っていくには『火炎』と組み合わせなければならないようだ。
何度も確認させるのも申し訳ないし、離れがたい、というのも兄弟石と聞いていれば納得できる。
『春』と『永遠の初夏』についてはどうなのかは分からないが、兄弟石を引き離すよりかはいくらかマシだろう。
「では『春』と『永遠の初夏』を頂いていきましょう。代金はここにお支払いすればよろしいのよね?」
「……シンフェ國の司祭様の奇跡だけでなく、我が國の司祭と同じ答えに辿り著いてくださったことを謝します。代金は後程こちらに持って來てくだされば、所有者に正當に払います。最初から予算をいただいていたので、その中で用意した特級の石ですので」
本當に手離せないはここには無い、という意味だろう。
「もし、いずれ許していただけるならば、ドラグネイト王國の神社に參ってみたいものです。私には石の聲を聞いたりは出來ませんが、本日はランディ様とイーリャンのおで不思議な験もできました。とてもきれいな石を用意してくださってありがとうございます」
微笑んでランディ様に告げ、イーリャンにもありがとうと小さくお禮を言うと、引き取る石を持ち帰るために梱包するというので、今度は紅茶でのんびりともてなされた。
イーリャンの疲労に配慮してのことだろう。お茶を飲んでいる間にゆっくり休めたので、今日の宿としてとっておいたドラグネイト王國の街中にある高級ホテルへと石を持って移した。
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【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
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