《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》64 イーリャンとの帰り道
「ねぇ、四神の青龍の司祭が、ドラグネイト王國の太の神と同一視されているのはどういうことなの?」
「今、その話をするんですか……」
一晩ぐっすりと高級ホテルのそれぞれの部屋で休んだ私とイーリャンは、大事な石と一緒に馬車に揺られながらもうすぐドラグネイト王國を出ようという所だった。つまり、馬車に乗り込んで朝一の會話である。
行きと同じように護衛が2人、馬車と並走している。といってもそんなに速度を出しているわけではないので(行きはともかく、帰りは壊してはいけない石を持っているからだ)並足で付いてきている。
イーリャンとはだいぶ打ち解けた、と思ったけれど、やはりどこか主義のようでもあり、それが宗教に関することならば、一番伏せておくべき不思議を私の前で見せたのだから、もういいような気がする。
それとも、朝が弱いのか、昨日の疲れが殘っているのか、あまり気乗りしないようだった。
「正直、今お話しても理解していただける気がしませんので、予備知識の確認だけでもよろしいですか?」
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「えぇ、いいわよ。私が知りたいのはイーリャンのことなの、一緒に仕事をする相手だもの。だから、宗教の事にれてほしくなければ、どうしてバラトニア王國で働いているのか、私のことが苦手なのかを教えてくれるのでもいいわ」
本當は宗教のことも詳しく掘り葉掘り聞きたいが(大の宗教については各國で聖典として纏められていて、フェイトナム帝國にも聖典はってこないのだ)、言った通り一番興味があるのはイーリャン自についてだ。
この先もバルク卿がついてこれない場合には、イーリャンが代理でついてくるのだろうと思う。今回は大事な商取引だったのに、バルク卿がついて來ないということは、そういうことのはずだ。
今後シナプス國に使節として向かうのもきっとイーリャンになるだろう。買い付けも、私よりイーリャンの方が向いているはずだ。
「私のこと……を、話すよりは、四神の話のほうがマシですね」
「そんなに私が苦手なの……?」
し傷付いたように言うと、イーリャンは気まずそうに顔を逸らした。
「苦手というか……、いえ、大分苦手意識は薄れたのですが、どうか未な心をご理解ください」
し詰まったような聲で言われては、無理に踏み込むこともできない。元は宗主國の皇だし、私が苦手というのは仕方ないだろうとも思う。けれど、そこが主な気はしない。何か別の所で、イーリャンには距離をおかれているようにじる。
「分かったわ、じゃあ、予備知識の確認とやらをしてくれるかしら」
これ以上踏み込むのは、権力を笠に著た行いのようにじたので、私は話を戻した。
「まず……天についてはどれ程ご存知ですか」
「てんたい?」
「夜に空でっている、無數の星のことです。我々が立っているこの大地も、星というもので、天の中の一つです」
私は、そこら辺の知識に関しては実はあまり手をばしていなかった。理由は、それらについての『正確だと確信できる資料』が無いことが原因だ。
星の位置から方角を割り出すとか、太の位置や影の落ち方から時間を見るという本や知識は蓄えた。が、星座や星の並びには意味があるだとか、星はいているとか、見えないけれどこういう並びで星がある、とか、そういったに関して、裏付ける資料は見つからなかったので、早々に放り出した。
もしかしたら、各國の聖典とやらを読むことが出來ていれば、何かしら納得のいく理由が書いてあったのかもしれない。しかし、不確かな知識に時間を割くには、もっと他に検証し、確実な結論が出ている書や資料が溢れていた。
なので、天、という言葉自は一度や二度は見たかもしれないが、改めて耳から聞くのは初めてのことだし、口にしたのも初めてだ。
「……やはり、今ご説明するのは無理です。書きが無いとお話できません。理解が追い付かないというより、時間の無駄です」
「……そうなると、やっぱり、行きと同じように……」
「我が祖國では、沈黙は金、とも申します。靜かに帰りましょう」
イーリャンとのお喋りで長い道中を過ごすのはどうやら無理なようだ。
それにしても、宗教の無い國に嫁いできて、宗教についてこんなところでれることになるとは、人生は中々面白いものだと思う。
仕方が無いので、馬車の窓の延々と続く畑や遠くの稜線を見ながら、私は王都まで黙って過ごした。
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