《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》71 新婚旅行の行き先についてお勉強

新婚旅行に行くのはいいけれど、あと3日の間にもうし知っておかなければいけない。

バラトニア王國には書籍がない。今はしずつってきているけれど、知識の斷絶は免れなかった。

「で、俺が呼ばれるんだなぁ」

「影のネイジアはあらゆる國に潛していたのでしょう? 一通りの禮儀作法は易をしていたから弁えているけれど……私が知りたいのは別のことなの」

今日は私の部屋の窓を挾んで、仕事終わりのガーシュを人をやって呼び出して、2人で話し合いだ。

まだ午後のは燦々と輝いているが、木の枝は日差しを遮り、私もその恩恵に預かっている。木のがいい合に暗くなり過ぎないよう日差しを遮ってくれているのだ。

ガーシュがネイジアの要職にある事は、ある程度城の中では知れ渡っている。國中にネイジア國との同盟のおれも出してあるが、ガーシュはお偉いさん扱いというのを斷固拒否した。

で未だに城の下働きをしている。ガーシュ自分を笠に著ることもなく、さらには、口が上手いといえばいいのか、さすが影のネイジアというべきか、あっという間に職場の仲間とも元通りの関係を築いている。

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変わったのは、私からの呼び出しがあっても不審がられない程度だろうか。一どんな風に口を回せばそんな狀況に持っていけるのか、私には不思議で仕方がない。が、今はそれを考える時ではない。

「で、何が知りたいので?」

「新婚旅行で行くのは、バラトニアの北にあるポレイニア王國とウェグレイン王國。――その2國の宗教について」

私がし聲を潛めて告げると、ガーシュは何か思い當たったのか、それとも予測済みだったけれど聞かれたくなかったのか、目元を片手で覆った。

「……だから俺たちがこっそり護衛について行くんだけどな」

「やっぱり、何かあるのね?」

私の問いかけには、答えなきゃダメですかね? というような困った笑いが帰って來た。

至極真顔でじっとその目を見詰める私と、なんとかその話題を避けたいガーシュの睨めっこは、私の勝ちで終わった。

「はぁ……バラトニア王國には宗教はありません。フェイトナム帝國の宗教……リーナ教。唯一神リーナという神によって全てが創生され、リーナは海に還り、今もこの世界の全てを支えている。これがリーナ教の概要で合ってますね?」

「えぇ、そうよ。分厚い経典は何度も改変されているけれど、その本のところは変わらない」

「ポレイニア王國はいいんです、あそこはどちらかと言えばドラグネイト王國に近い、太神を祀っている別の宗教だ。問題はウェグレイン王國。リーナ教を國教にしています」

それの何が問題なのか、と私は不思議に思って首を傾げた。

「このバラトニアという大きな國を挾んでいるせいで、ウェグレイン王國ではリーナ教がフェイトナム帝國からって來た時から経典が変わっていません。バラトニア王國は數代前に一回屬國に下ってるのもあって、総本山であるフェイトナム帝國からウェグレイン王國に改定された経典がらなかったんですよ。で、今となってはリーナ教フェイトナム派と、リーナ教ウェグレイン派に分かれているわけです」

ここまで聞いても私は一何が問題なのかが分からない。不審そうに眉を顰める私に、ガーシュは至極嫌そうに頭をかいて不愉快そうな顔をした。

「まぁ、宗教の自由ってのはもちろんありますけどね。最初期のリーナ教には……生贄の儀式があったんですよ。で、もちろん宗教と王室って言うのは接に絡んでますからね。リーナ教がフェイトナム帝國からウェグレイン王國に渡った時にも、フェイトナム帝國からの輿れと共にでした。もうずっと昔のことなんですけど、その辺は資料で知ってらっしゃるでしょう?」

「え、えぇ……たしかに、一度フェイトナム帝國からウェグレイン王國に皇が嫁いでいるわ」

「リーナ教は一神教、神を祀っている。神のを引く人間を……その、ものすごく言いたくないんですがね」

「なに? はっきり言ってちょうだい」

私がし苛立って窓枠に手を著くと、ガーシュは枝にだらしなく座っていた姿を起こして、まっすぐに私に向き合った。

「『我らが神を信じています、その証拠に神のをお返しします』って、フェイトナム帝國ではとっくにすたれた糞悪い儀式を、未だに続けているんですよ」

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