《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》75 いよいよ出発

「いってまいります、お義父様、お義母様」

「お土産も持ったし、ちゃんと護衛もついてくるので、々のんびりしてきます」

アグリア様と一緒にお義父様とお義母様に挨拶を済ませ、一緒についてくる侍の中にはもちろんメリッサとグェンナもいる。そして、バルク卿肝りの有能さをもつイーリャンも通訳としてついてくる。

護衛には近衛騎士団の中でも特に王室を守る役目を負った騎士たちがついてきてくれる。寶石を買い付けに行ったときのゴードンとジョンもいて、私はしほっとした。影のネイジアは、私とアグリア様、メリッサとグェンナ以外はついてきていることを知らない。

騎士の中に混ざっている者、荷持ち擔當の使用人に混ざっている者、完全に他人のふりをして後を追ってくる者、々出そうだ。しかし、リーナ教ウェグレイン派のことを知っているので、影のネイジアも鋭ぞろいだと明け方ガーシュが報告しにきた。とりあえず、いるかどうかを気にしないで旅行を楽しんでくれ、とも。

影のネイジアのこと自は大勢に伏せられている。その功績も稱えられることはないが、仕事をした分のお金を払えばそれでいい、という事らしい。忠誠ではご飯は食べられない。

そして、近衛騎士に始まり騎士という者、護衛につく人間というものは、戦うことに特化し、常に自分を鍛えている。その誇りを傷つけるような真似をする気もないと言っていた。

アグリア様は昨夜の話を全て聞いてからし考えると、ガーシュ達の馬車故障の作戦と、イーリャンの存在(彼が祖國での司祭の位にあったことも話した)を聞いてし安心したようだった。

「クレアちゃん、気を付けてね」

「アグリアもだ。旅は何が起こるか分からないのが常、かと言って、自由に易できるようになった今國を持つ意味でも新婚旅行は大切なことだ。くれぐれも、クレアを守るように」

私の心配ばかりされて何だか居心地が悪かったが、アグリア様は今日は朝から笑っている。

そして、大膽なことに、人前で私の肩をぐっと抱き寄せてきた。驚いて顔をあげると、そこには何も心配など無いようなアグリア様の微笑みがあった。

改めて思う。いつでも笑えるように強く、と言った私の言葉は、アグリア様の中でこそ生きている。私はきっと、笑うのが下手だ。アグリア様の腕の中で、やっと肩の力を抜いて微笑むことができた。

「大丈夫です。私の師はバルク卿ですが、鍛錬を怠ったことはありません。まして、クレアを守るためだと思えば剣も冴えるというもの。政治的な意味では私が守ってもらうことになりそうですが……ね、クレア?」

「は、はい! いっぱい外を務めてまいります!」

照れくさいながらも、大きな手、広い腕の中ではっきりと守ると、そして私にも役目があるのだと、心配でいっぱいだった頭の中にアグリア様の言葉は風を通すようだった。

隣にはアグリア様が、背には頼もしい護衛や影のネイジアが、一緒に旅をする侍や使用人がいる。

何も一人で放り込まれる訳では無い。安心して、私は私の務めをはたそう。そして何より、行ったことのない國を楽しもう。アグリア様と一緒に。

続々と馬車に荷が積み込み終わり、使用人たちも乗り込んだ。

私とアグリア様も馬車に乗り込んで、いよいよ出発だ。

まずはし遠いポレイニア王國。こちらには、ダイアモンドとピンクダイアモンドのグラスを渡す予定だ。

ふかふかにクッションを敷き詰められた長旅仕様の馬車に乗り込み、私とアグリア様の新婚旅行は始まった。

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