《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》79 お勉強?観?その前に

「いやなに、そんなに特別に思われることはありません。神に祈るときというのは、だれしも何かしらの求を持っておられます。ですが、あなた方には神に何かを要求する『期待』がなかった。神は利己的にすれば聞き流されることもありますが……そうでなければなんでも願いが葉ってしまいます……そうではなかったから、聞き屆けられた。その結果、ちょうどよくお二人のに付けている石に護りを施すという結果になったのでしょう」

応接間に戻ってポレイニア國王と向かい合って座ったアグリア様と私は、素晴らしいことですよ、と言われるものの、どういう表をしていいかわからなかった。

イーリャンは通訳する以外は沈黙を貫いている。もっとポレイニア王國の神様について知るべきだと思ったものの、國王の説明で充分な気もする。せっかく外國に來ているのに、宗教の勉強で時間を潰すのもどうかという気持ちもある。

「では、まぁ……そういうもの、としてけ止めることにします」

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「アグリア様と私も同じ意見です。そういうものとしてけ止め、この後は観を楽しんでもよろしいでしょうか?」

これに驚いたのはポレイニア國王の方で、目を丸くしてから大きなおなかを揺すって聲を上げてわらった。豪快な笑いが似合う、なんとなく印象は可らしい人だが、やはり王は王なのだなと実する、なんとも腹の底が見えない笑いでもあった。

「もちろんですとも。いやぁ、バラトニア王國……本音を言えば、戦爭を起こす國の王族とは一どんな人か、と思っていたのですが……えぇ、理由は民からの噂や易の際に耳にして存じています。私がもし、バラトニアの國王であったとしても同じことをしたでしょう。それはそれとして……、大きな量をお持ちのようだ。案の者を付けますので、どうぞ、國は好きに見て回ってください」

「ありがとうございます。見分を広げさせていただきます」

「よろしくおねがいします、ポレイニア國王陛下」

私とアグリア様が立ち上がって禮をいうと、鷹揚に頷いた國王陛下を見て、ドア近くの使用人がどうぞと聲を掛けてきた。案人の所まで案してくれるらしい。

木造の廊下には厚手の絨毯が敷かれていて、靴で歩く風習はここも同じのようで、多踵のある靴でも歩きやすい。

されたのは橫開きの扉の前で、ここに案人がいるのかと思ったら、その使用人が開けた先は広い裳部屋になっていた。

「國を見て回られる時に、バラトニア王國の服ではきにくいかもしれません。よろしければ、こちらでお好きな服にお著換えください。何がよいか分からない時には侍がお応えします。通訳の方も、どうぞ」

「まぁ、ご配慮ありがとうございます。せっかくだから著替えてみましょう、アグリア様」

「そうだね。その土地を歩くのに一番適した格好で歩くのはいろんな意味でいいことだ。イーリャンも著替えよう」

「そうですね、私だけシンフェの格好では浮きそうですので。お言葉に甘えさせていただきます」

をしてくれた使用人に律儀にシンフェの禮をしたイーリャンは、一緒に裳部屋の中にった。

右手がの服で、左手が男服のようだ。靴もあるようで、サイズも富にそろっている。

バラトニア王國は常にフェイトナム帝國の方を向いていたから知らなかっただけで、北の方の國はお互い深い國があるのかもしれない、と思う。王家の方の服を貸し出すという事はないだろうし、明らかに外國人の、それも賓客をもてなす為だけの服だろう。

サイズも富、柄も富だが、どれもフェイトナム帝國やバラトニア王國のドレスとは形も模様も違う。

私は側の裝を侍に案されるままに見ていたが、意匠や形に目はいくものの、自分に似合う服だとか、だとかにはとんと疎い。メリッサとグェンナは國王との會談の場には來ていなかったし、その間にここの侍のような服裝に著替えているのかもしれない。

なんというか、使用人からしても服の形が大分と違うのだ。使用人だと分かるように揃いの形のものを著てはいるが、彩は華やかで、口元をヴェールで覆っているのが上品だと思う。

「あの、ごめんなさい。私は全くお灑落というのに疎くて、できればアグリア様に恥をかかせないような格好がしたいのだけれど、おすすめでコーディネートしてくれるかしら?」

私がポレイニア語を流暢に話したことで、案の侍が驚いて私を見た。そして、しほっとしたように元に手を置く。

「よかった、言葉が通じるのですね。案がしやすくなります。申し遅れました、この部屋の擔當を仰せつかりました、ナイジェルと申します」

「バラトニア王國の王太子妃、クレアです。お願いね、ナイジェル。私はいいのだけれど、アグリア様には恥ずかしい思いをしてしくないの」

「本當に新婚なのですね。そのお気持ちがとてもお可らしい。クレア様はが白く、髪や瞳も白に近いので……全が真珠のようですね、とても素晴らしい、縁起の良いです。今日のお召しの青のドレスもとてもお似合いです。ポレイニアでは、太と山が男、月と川や水辺がを象徴するものとされています。ですが、せっかくですのでしイメージを変えましょう」

「あ、青の他に私に似合うがあるかしら?」

「何事も冒険ですよ。とはいえ、奇抜なものは選びませんからご安心を。――そうですねぇ、こちらと、こちらを帯に、これを肩から下げて、ショールと靴は同でそろえて……」

私には全く理解できないが、同じような布を見比べてどちらにしようかな、と悩むナイジェルの姿には微笑ましさをじてしまった。

ここでも普通には細かな差で悩むものらしい。私には違いはよく分からないが、自分で選ぶよりは斷然マシな格好になることは確信できる。

大人しく頃に宛がわれる布を前に、姿見の前に立つことに専念することにした。

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