《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》82 ポレイニア観・2
お久しぶりです!今日からなるべく毎日投稿します!
完結まで書いておりますので、11月16日(土)発売の2巻発売までどうぞよろしくお付き合いお願いいたします!
ポレイニア王國の観の日々は、実に有意義なものだった。
まず、デュラハンは王都の中にある分霊の神社に向かった。參拝の為もあるが、王城にはなかった社務所という場所があり、そこで様々なお守りや神籤(おみくじ)という神様からの託宣の書かれたクジを引いたりすることができるのだ、という文化の説明だった。
それでもまずは天之真子様に參拝を済ませ、社務所で小さな刺繍りの袋狀のものに香木をれたお守りや、神籤を引いてみたりと楽しんでしまった。
神籤の容は細かな項目に分かれて書かれており、それぞれに一言ずつ何か書かれている。
クジの容そのものには貴賤は無いらしく、木箱にった綺麗に結ばれた細長い紙(和紙、というものらしく、獨特のり心地と丈夫な薄い紙だった)を手に取り、自分一人で読むものらしかった。
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が、ポレイニア語が分かるのはデュラハンとイーリャン、私だけである。
私は自分の分を自分で読む事ができたが、アグリア様のはイーリャンが、メリッサとグェンナのものはデュラハンが読んで容を教えていた。ガーシュは鳥居の外で控えているので神籤に興味はなさそうだ。
容にそれぞれ派手に喜んだり肩を落としたりしていたが、私は良い悪いは特に気にしない。書いている文言は、先程の奇跡もあったので真剣に読んでしまったけれど。
私の神籤に書いてあった、旅は波あり、というものと、縁に欠けあり、という言葉が気になった。また、待ち人戻る、という言葉も、言葉は分かったものの意味は理解できなかった。
縁に欠け、というのが気になって、帰りに本屋に寄ると言った所、荷持ちとして自然について來たガーシュと二人きりになった。他の皆は甘味処という、カフェに行くらしい。甘いも気になるが、私は書と、先程の神籤の容が気になったのでちょうどいい。
「ガーシュ、あなた、何か危険なことがあったりする?」
「今の所平和ですねぇ、それが何か?」
私は、し迷ってから先程の神籤の容をガーシュに打ち明けた。
「縁に欠けあり、と書いてあったの。兄上や姉上、妹に何かあった訳じゃないわよね。そうすると、危険なことをしているのはガーシュだから……」
「俺のの回りは何事もないですね。縁……フェイトナム皇帝を、間者の生命の保証と共にお返ししてから見張りをつけちゃあいますが、……あぁ、強いて云えば、しビアンカ皇が調を崩しがちで社の場に出てないとは聞いてますが……」
私は本棚に目を向けたまま、ガーシュは側についた護衛というで周囲を警戒しながら、言葉をわしていた。だから、私が目を見開いて一瞬直したのは、彼には見えていなかったと思う。
姉のビアンカは多の調不良では社を休まない。そういう教育はけていない。高い熱が出ていても、顔には汗一つ滲ませず、顔は化粧で誤魔化し、妖艶な笑みを浮かべて社會で隙を見せる真似はしない。
重篤な病気なのか、或いは、影のネイジアすら欺く何かがあるのか。
「……ガーシュ」
私の聲には、その線がどうにも怪しいというがありありと滲んでいたのだろう。
「分かりました。部下を飛ばしてし探らせます。旅行中に報告できると思いますんで」
旅に出たのはほんの數日前。ビアンカがそれ程の病気ならば、さすがに手紙の一報も寄越さないのはおかしい。
「お願いよ。……何だか嫌な予がするの。私が國を出る時には何の予兆も無いのに、そんなに急に重篤な病気になるとは……考えにくいわ」
「急いだほうがよろしいようですね。――ってことだから頼むぞ」
ここまで、人気のない書店の中での小聲での會話だ。なのに、どこに居たのか客の一人としてついて來ていたらしいガーシュの部下が書店のドアを開けて出て行ったようだった。
影のネイジアの腳が早いのは、極冬の時に知っている。ポレイニア王國を出る頃には調査も済んで私にまで報告があがってくるはずだ。
縁に欠け、というのはどういう意味だろうか。それがビアンカを指すのなら、何故私に連絡がないのか。
私は頭の中でビアンカのことを考えながら、山ほどの本を手あたり次第に買って、ガーシュに重たい紙袋を両手に持たせてアグリア様たちと馬車の前で合流した。
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