《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》83 ポレイニアの『貴人』

翌日からは、馬車で足を延ばしてポレイニア王國の名産だという染料の材料にある植を育てている農村やら、材木の加工をする家職人の工房、木造だというのに百年以上の歴史がある建造と、面白く観して回った。

「不思議ね、木造だとしても釘は劣化したりしないのでしょうか……」

私の呟きに、デュラハンがしだけ誇りを滲ませて微笑んだ。

「釘は使いません。ポレイニア王國の木造建築では、獨特の方法で木材のみで建を建造しています」

「えぇ?!」

それは、もしかして凄い技なのではないだろうか。

ポレイニア王國の高い建築技が伺えるが、先日本屋に寄った時にも建築についての本は何もなかった。本屋があるというだけでも識字率の高さが伺えるものだが、それにしてもこれだけの技を書に殘さないというのは、私には勿ないことのように思える。

「この國の大工は大変重寶されています。い頃からカンナの掛け方から指導をけ、平屋建てとは言え屋が高いですから、高所の作業のためにの扱い方も、もちろん建築技も現場で學んでいきます。それに、植も変質します。木材の年代、材質、そういったものは経験によって口伝で學び、一流の大工が育つのです。測量に関しては……一応、ポレイニア王國の機という事で今回はご案しませんでした」

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デュラハンに聞いたら、このような回答を貰った。それだけポレイニア王國では大工とは大事な仕事であり、人々の生活に付いたものらしい。口伝で途絶えず技の伝達があるというのもまた、私には新鮮な刺激だった。

「ポレイニア王國の技力には服しました。王宮もですが、この建造の欄間飾りも素晴らしい。柱の彫り込みもしい。木造建築というのは我が國ではあまり進んでおりません。いずれ、我が國との國が進めば技者としてポレイニア王國に移住したいという者が出てくるかもしれませんね」

アグリア様の言葉をイーリャンが通訳してデュラハンに伝えると、彼はここまでの旅程でほとんど初めて嬉しそうに笑った。

「えぇ、その時は喜んでれるでしょう。バラトニア王國から學ぶこともまだまだ多いと、今回の旅で思うことはたびたびありました。私は何の権限もございませんが、陛下のお耳にはいれておきます」

鍛えてある軀に、帯剣もしていながら、デュラハンは髪と同じ程が白い。そして眥の朱。

笑うと、なんだか神聖なものでも見ているような気分になる。

今日でポレイニア王國の観も終わり、最後に晩餐でもてなされ、明日の朝にはポレイニア王國を発つ。

なので、王宮への帰りの馬車でデュラハンに聞いてみた。

「不躾な質問をしてごめんなさい、デュラハン。貴方の形からして、貴族ではないのよね? でも、街中の方々や私たちの案役を務めるというのは、何か意味があってのことなの?」

「いえ、実は……真っ先に聞かれるかと構えていたのですが、ご配慮痛みります。私はこの國ではめでたいとされている、先天的に素の欠けた人間です。白、というのは太としてありがたがられるのですが、私は神社の生まれですので余計に。そして、瞳も本來は赤いはずなのですが、どうにも瞳だけは何の因果か素が殘り金で生まれました。なので、眥に朱をれております。顔や手が白いのは、何も化粧をしている訳ではないのです」

なるほど、ポレイニア王國ではアルビニズムの人が尊重されるのか、と私は一人得心したが、アルビニズムは素の欠けのせいでに弱かったはずだ。

中には、一生を屋で暮らす人もいる程に。

「その、私の生まれた國……フェイトナム帝國では、それをアルビニズムの人と呼びます。生まれつき日に弱い、ともされていますが……」

「えぇ、小さな頃はちょっとに當たるだけで真っ赤に火傷したものです。実家の神社に併設されている道場の中で父や兄と武道に勵みましたし、神社の生まれなこともあって読み書きにも苦労しませんでした。長と共に、この目が金……淡褐のように、多は耐がありましたので、このように長袖を著て移する程度ならば何も問題なく行えるようになりました。常に外に居るのは困難ですので文として王宮で仕えています。知識もあったので、今は外を目指しております。この見た目だけでも大分話のとっかかりには有利ですからね」

デュラハンとの楽しいお喋りは、もちろんイーリャンが通訳してアグリア様も聞いていた。だが、あえて口を出さなかったらしい。

自分の知らないことの話を、まずは聞いて自分の中に落とし込む。そういう姿勢でにこやかに聞いていたようだった。

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