《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》85 策謀の予

ポレイニアの王宮を出る時、わざわざ國王陛下が王妃殿下と共に見送りに來てくれた。デュラハンもだ。

その際、何故かポレイニア王國で私たちの馬車の者に収まっていたガーシュが、今度は移の馬車の者に収まっているのには、し笑いを堪えるのが大変だったけれど。

素知らぬふりで(行きの時の者はどうしたのかというのは聞かなかった)馬車に乗り込み、荷を積んだ馬車と共に発つと、まずはバラトニア王國を目指す予定だった。

しかし、王都を出た所で馬車は急に停止し、どうしたのかと外を見ると、道を塞ぐように馬上の人がいた。

服裝からしてポレイニア王國の人ではない。

アグリア様とイーリャンが降りて、危険が無いとわかると私を外に呼び寄せた。

馬から降りて道の真ん中で跪いた若い男は、ポレイニア王國と隣接しているウェグレイン王國からの親書を屆ける伝令だという。

「私がご案しますので、どうぞこのままウェグレイン王國に向っていただければと思います」

お邪魔する側として、ここまでされて斷るのは失禮にあたる。しかし、移の関係でいつに行きます、ともちゃんと連絡してあったのに、急なことで私もアグリア様も戸って顔を見合わせた。

ガーシュの方をちらりと見ると、こればかりは、とばかりに肩を竦めている。面白くなさそうな顔をしていたが、このイレギュラーばかりはどうしようもない。

本來ならば一度バラトニアを経由し、そこで數日『馬車の故障で足止めさせる』予定だったのに、これでは逆に予定の繰り上げだ。

ウェグレイン國王の玉璽の押してある親書付きでこう言われて斷るのは、宗教面での心配以上に政治的によろしくない。

「分かった。すまないが、案を頼むよ。滯在日數もびてしまうが……」

「は! 一切の費用はこちらでもたせていただきますので、どうぞごゆるりとウェグレイン王國にご滯在なさってしいというのが陛下の心です」

「……分かった。では、お言葉に甘えさせてもらうよ」

ウェグレイン王國の伝令は、綺麗なバラトニア王國語で話した。國賓への伝令ということで、それなりに地位の高い人間が寄越されたのかもしれない。

彼の先導によって、私たちは馬車と護衛の騎兵と共にポレイニア王國をそのまま抜けて、ウェグレイン王國に向かうことになった。

私はに言いようのない不安を覚える。數日前にフェイトナム帝國に飛んだはずの、影のネイジアからの報告はまだきていない。

バラトニアの國土は広い。それでも、ウェグレイン王國に予定通りにるならばポレイニアからバラトニアに向かう途中で報告がるような口ぶりだった。

、何が起きているのか。宗教、というものに対して淺學なままでいた自分が恨めしい。これで不安にならない程、私は鈍ではない。……と、思う。

ゆっくりと先導する伝令に従って、馬車はポレイニア王國の平和な風景の中を進んでいった。

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