《【書籍発売中】【完結】生贄第二皇の困〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜》98 クレアとミリー
昔からそう。誰の目から見てもされ、大事にされ、フェイトナム帝國の中では上にいたビアンカは、私につっかかる隙を見つけてはいちいちつっかかってくる。
私からすれば、そんなことをしなくてもビアンカの地位は安泰である。私が元屬國に嫁いだのだから、放っておいてくれればいい。
それほどフェイトナム帝國の経済事が悪くなっているという話も聞いていない。
ウェグレイン國王に嫁ぐなんて……それもガーシュたちがその向を摑めなかった程にかに……原力はどう考えても、この私への的外れな憎しみのような何かだ。
私はさっぱり意味が分からない。社でビアンカに勝てるとは思っていない。今はバラトニア王國で幸せに暮らせているし、守りたいと思うし、守ってくれると信じている。
そういう心地いい場所に収まれたけれど、最初は殺されても何であっても、戦爭だけは起こさないように、ということばかり考えていた。
私でさえ、私を惜しんで守ろうとしていなかった程、私は自分に存在価値を見出せていなかったのに。
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「……ビアンカお姉様は、フェイトナム帝國に居場所があったのに。私は居場所なんてなかった、だから、最初バラトニア王國にいつ殺されるか分からない人質として……自分の命を諦めて嫁いだのに」
「そうよ。その通りよ、大人しくお父様が開戦を示した時に反抗しなければ、私はこんなところに嫁がなくて済んだのに! あぁ、イライラするわ、教皇は私よりあなたに価値を見出している。生贄だろうが、人質だろうが、私よりあなたが評価される場所があることが私は嫌で仕方ないのよ!」
私がどのみち死ぬことを確信しているからか、ビアンカに初めてまっすぐ気持ちを向けられた気がする。
つまり、私の存在が気にらないのだ。淑教育の方が私に敗北した程私は不用だっただけで、ビアンカはそれを努力を怠って知恵をつける方に逃げたと思っている。
だから、自分はこれだけ頑張ったのに、気に食わない、と思っているらしい。
そんな子供の癇癪のようなで、私を殺して戦爭を起こそうとしている。
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國と、そこに住まう人の生活と命を巻き込んで、憂さ晴らしをしようとしている。
「ビアンカお姉様……いいえ、ごめんなさい。もうあなたをお姉様と形だけでも呼べそうにないわ。ビアンカ……、あなた、馬鹿なのね?」
「…………は?」
「私と自分を比べてどうする気? 髪と瞳のはこのがよかった、生贄としてよりリーナ神に近しい見た目がよかった? レディとして完されたあなたより、どれだけ頑張っても淑としての嗜みは一つもに付かなかった私の方がよかった? それほど、あなたは慘めに生きてきたとでもいうつもり?」
私は心底から、こうまで言葉にしないと分からないのかと不思議で仕方なかった。
「あなたはあなたの為に生きていればよかったの。フェイトナム帝國では確実にあなたの方が大事にされ、され、重寶され、好きに生きる事ができたのに。戦爭をむ理由がそれ? 私が幸せに生きている事が、評価されていることが気にらない、それが戦爭をむ理由?」
「そうよ! いいえ、戦爭もどうでもいい、とにかく貴が生きていることが、存在が気にらないのよ!」
私はきっと、心から憐れむ顔をしてしまっていたのだろう。
怒りに顔を歪めたビアンカが、連れていた騎士に命じて、もう目の前に私が居るのが耐えられないというばかりに、殺そうと剣を抜かせた。
私はもう放心してしまっていて、やたら広いこの布団の上に乗り上げてくる騎士を黙ってみていた。外側からこの布団に登る時には炎は上がらないらしいが、私を殺したこの騎士はこの臺を降りる時にきっと鉄の鎧ごと火だるまになることだろう。
その仕組みまではビアンカも知らなかったのか、それとも、ビアンカがその仕掛けを切ってあるのかは知らないけれど。
天井のから落っこちても怪我一つしなかった程のふかふかの布団の上に、重たい鎧姿の騎士が乗り上げ、足を取られないように近付いてくる。
そして、切っ先を向けられ、あぁ結局死んでしまうのか、と、時間稼ぎにも失敗した無能な自分をふがいなく、この先起こる戦爭を思って切っ先を映した瞳から涙があふれて來た時、ビアンカの後ろに控えていたミリーが飛ぶようにして一気に距離を詰め、後ろから騎士の剣を弾いて私との間に割ってった。
「……クレア様。私を、生かしてくださったのは、貴だと私は知っています。私は、貴を生かすために生きる事に決めました。なので、信じなくてもいいです。お願いですから、今だけ私に護らせてください」
諦めた所に、まさかの味方が現れて、私はぽかんとしてしまった。
バラトニア側からフェイトナム帝國に間者の扱いを伝えはしたが、それがミリー本人に知られているとは思わなかった。
それこそ、ガーシュたちが約束の履行を見守ってくれてはいたけれど、だからミリーは生きていると思ってはいたけれど、私を憎んでいると思っていた。
それが、私を守るという。小さなで、細い剣と暗を武に、鎧の騎士たちとビアンカから私を守ると。
「ミ、ミリー……! あ、貴、だましたわね……?!」
「はい、申し訳ございませんビアンカ王妃。私は元より、クレア様を騙してお側付きになったです。そのような裏切者を、ご自分を過信して信じるのは如何なものかと思います」
いよいよ頭の管でも切れそうな形相になったビアンカが、さらに騎士を送り込もうとしたので、私は急いで先程ミリーが弾いた剣に飛びついて布団の外に全力で投げた。
剣、思った以上に重い。
しかし、その剣を投げた効果は絶大だった。
剣が布団の外に出た瞬間に、青い炎が立ち上って金屬の剣をどろりと溶かし、変形させ、床の石を焼く音をたてて転がったのを見て、騎士たちがこの布団に乗り込むのをためらった。
「そうなの、ここから出るなら、黒焦げになる覚悟が必要よ。あなた達、鎧を著こんでるものね。解けた金屬がに張り付くのは……どれほど痛いものなのかしら? 水場があったとしても、溶けた金屬がはりついたから、どうやって金屬を剝がすのかしらね」
私は々恐ろしさを煽るように、殘酷な容を軽く首を傾げながら淡々と告げてやった。
これで、布団の上に居る騎士は帯剣して戦い方を心得ているミリーと、私に対して手を出す事もできず、かといって外にも出られない。周りの騎士たちも、そこまでビアンカに執心している人間ではなさそうだ。
それなら時間を待って、私を生贄のためにここから連れ出す手順を知っている教皇を待った方がいいと思ったのだろう。
(ミリー、聞いて。この布団はこれ自が防火布だわ。じゃなきゃ炎の影響で焦げてもおかしくない。だから、お願い。今はあなたが、私を守る剣になって。ここから安全に出られるから)
小聲でミリーに囁くと、ミリーは一瞬私を見てから、一つ頷いて、剣を構えて騎士をけん制していた。
しかし、これでは膠著狀態でもある。ビアンカは自分の言う事を聞かない騎士たちに怒っているが、騎士たちはリーナ教に殉じる覚悟はあるだろうけれど、目の前の危険に態々命を賭してとびこまなくても私が運び出され生贄の儀式で殺される事を知っている。
ビアンカの苛立ちは伝わってくるが、私はもう一度だけ、元の石を握って強く願った。
(お願い、天之真子様……、どうか、どうか……、助けて……)
それは、私を、ではなかった。
この狀況が悪い方向に進むことで引きおこる、全ての不幸から。目の前のミリーに始まり、私が大事に思うバラトニア王國も、嫌いなフェイトナム帝國も、こんな窮地に追いやられているけれどウェグレイン王國も。
戦爭は全てを臺無しにする。その未來から、助けてしいと願った。
薄く白い寢間著の隙間から、金のが溢れる。
「な、なに……?!」
ビアンカが癇癪を止めて一瞬そのに目を奪われる。
熱くった石は、一條の金のとなって、天井の一部に真っ直ぐにびていった。
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