《サモナーさんが行く》3

そういえば他のスキルの説明は確認してなかったな。

別窓で呼び出して見る。

【魔法スキル】風魔法Lv.1(New!サモナーランダムボーナス初期取得スキル)

風屬の呪文(スペル)を使いこなす為の魔法スキル。

Lv向上に従いより高度な風屬の呪文(スペル)の使用が可能となる。

※魔法の呪文詠唱はデフォルトで自扱いです。設定によりマニュアル化が可能です。

※金屬製の武・防の裝備によりペナルティがあります。

※呪文(スペル)を使用するのに魔法の発を補助する裝備についてはM・APに+表示が付記されます。

【生産スキル】錬金Lv1(New!サモナー初期取得スキル)

素材アイテムを加工して様々なアイテムを作する生産スキル。

理法則に則るもの、理法則に反するもの、魔法による加工を介在するもの、その全てを作する。

Lv向上に従いより高度なアイテムの作が可能となる。

※作業には別途道が必要な場合があります。

※一部のアイテム作には魔法スキルの習得が必要です。

【補助スキル】連攜Lv1(New!サモナーランダムボーナス初期取得スキル)

の切替えや同時並行での行をアシストする補助スキル。

手際がよくなる、用に事をこなすのに有効。

Lv向上に従い、より用な行が可能となる。

【補助スキル】鑑定Lv2(New!サモナー初期取得スキル)

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アイテムの価値を見抜く補助スキル。

Lv向上に従いレア度の高いアイテムの価値を見抜けるようになる。

【補助スキル】識別Lv2(New!種族ランダムボーナス初期スキル)

視認範囲の報収集をアシストする補助スキル。

Lv向上に従い報収集能力は向上する。主にモンスター報の収集に有効。

さくっと全部に目を通して見た。

概ね、読めば理解できるのだが【連攜】だけが謎スキルだな。

アクティブなんだかパッシブなんだかも分からんし。

補助っていうのはまあ言葉通り補助とけ取ればいいんだろうか。

ランダムボーナスとあるのだしオマケと考えておこうか。

目を凝らすだけで【鑑定】と【識別】を自然と使っていたというのはごか。

おっと。

また沈思黙考にふけってしまいそうになっている。

先に行こうか。

森が近に見えるまでにワイルドドッグとホーンラビットを1匹ずつ狩っていった。

道はさほど深くはない森の中を続いていて、目印になる櫓も遠目に見えている。

森にると同時に死角も増える。

出てくるモンスターへの警戒は必須だろう。

ヴォルフにもう1つポーションを與え、いくらかHPを回復させておく。

「ヴォルフ、不意討ちには気をつけろよ」

その言葉に対して、ヴォルフはやや勢を低くして警戒の構えをとった。

おお、なんかカッコイイぞ。

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道を進んでいくと両脇の森の中のそこかしこで気配をじる。

派手な音も時折聞こえていた。

森の中で狩りをやっているパーティはそこそこ多いようだ。

一度は道を橫斷して逃げる傷だらけのワイルドドッグ二匹を追いかける五人パーティを見かける事があった。

まあ邪魔しちゃいけないよな、と思って見ていただけだが。

向こうも一瞥をくれるものの、こっちを無視していく。

いや。

一人だけ、足を止めてオレとヴォルフをジロジロと見回してきた。

「何だ、召喚モンスターかよ。サモナーとかクズめが」

それだけ言い放つと彼は仲間を追いかけていった。

うん。

分かってはいたがし傷つくな、これは。

結局、櫓のある場所には魔に遭遇することなく到著した。

櫓の上には弓を持った兵士が2名見える。

櫓の下には槍と盾で武裝した兵士が4名が固めていた。

「待て!」

誰何の聲が飛ぶ。

歩みを止めて周囲を見回してみる。

櫓の奧には小さな詰所らしき建が見え、その周囲は石塁で囲まれていた。

兵士達の頭上に浮かぶマーカーは全て黃、NPC(ノンプレイヤー・キャラクター)だ。

「そいつは狼?いや犬か?」

「私の相棒ですよ」

ヴォルフを警戒しているようだ。これはしょうがない。

NPCから見たら初見でヴォルフをプレイヤーに準じる存在と思わないだろう。

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今後は首でも用意しておいたほうがいいかもしれない。

ヴォルフはオレの左橫で「待て」の態勢のまま尾を振っている。

オレは左手で頭をやさしくで続けた。

「一人なのか?」

おお、貴方もそれを言いますか。

「いえ、相棒がいますので」

「それにしても森の周囲に來るには軽裝すぎるぞ?」

あきれられてしまいました。

「用件が済んだらすぐに退散しますよ」

兵士はそれ以上聲をかけてこなかった。

興味を失っているようだ。

他の兵士も視線を合わせようとしない。

まあこんなものか。

地図をもう一度確認してみる。

櫓のある場所から道なりに進めば小さな集落がある。

その途上の中間あたりに大きな巖があり、そこから細い道を進めばいいようだ。

後ろに櫓が小さくなったその時、ヴォルフが急に低く唸り始めた。

ロッドを構え直す。魔か?

森から出てきた影は今までに遭遇したモンスターの中では最大級であった。

馬だった。

はぐれ馬 Lv.3

 討伐対象 アクティブ・激昂狀態

【識別】でも魔扱いで間違っていない。

マーカーも赤で魔なのだろうが、馬が相手か。

しかも微妙にレベルが高い。

ロッドを構えきる前に突っ込んで來た。速い。

蹄が地面を叩く音をすごく近くで聞いたような気がしたが、まだ生きていた。

ヴォルフがオレのごと転がり馬の突を回避したようだ。

助かった。ナイスだヴォルフ!

馬はどうなった?

はぐれ馬は距離を置いて、再び突撃してくる様子を見せている。

どうする?

道で戦っていては馬のほうが有利だ。

「ヴォルフ、來い!」

森に一旦、退避するしかない。

それでも地の利はこちらに有利とは言えないだろうが、路上よりはマシだろう。

マーカーは點滅しているままで、こちらを狙ってきている。急げ、俺の足!

だがそこはさすがに馬だ、森にってすぐオレの後ろで荒い息が聞こえていたりするのだった。

こいつの足を止めねば。

ほんのしでいい、攻撃魔法を撃ち込む時間がしい。

木の幹の裏手にを隠すと、その脇を馬が突っ切っていく。

あ、危ねえ。

更に別の木の幹にを隠す。ヴォルフも傍に付いてきていた。

馬は?

幹の影から僅かに顔を出して周囲を窺う。

馬のが見えていた。こっちに気がついている様子はない。

頭上のマーカーはまだ點滅している。

いくか?

いや。

ヴォルフがを起こそうとするのを手で押し留めた。

ここは去るのを待とう。

音をたてないようを低く、気配を消すのだ。

ヴォルフもおとなしくオレの行に忠実に従ってくれた。

馬はこっちを振り向くことなく、程なくマーカーの點滅は止まった。

そのまま去っていく。

「まあ無理することはないさ」

ヴォルフにそう言い訳してみせる。

ちゃんとパーティが組めていればなんとかなっていただろうに。

とか思ってたらインフォがあった。

《只今の戦闘勝利で取得が可能な補助スキルに【隠蔽】【気配察知】が追加されます》

えっと。

今の戦闘は回避しただけなんだけど。

を隠す、気配を探るといった行結果に対して補助スキルの取得権が與えられる、と解釈していいのだろうか?

果たして合理的と言っていいのか、よく分からんな。

考え込むのは放棄して元の道に戻り、先を急ぐことにした。

目印はすぐに分かった。

大きい巖、とあったが確かに大きい。

要石と表現するのにふさわしい威容だった。よじ登る気になれない。

街道を道なりに進むのはここまでだ。

メモによれば僅かに判別できる獣道のような細道へと進まねばならない。

の不意打ちに警戒が必要だろう。

「行くぞ」

ヴォルフがついてくる。

いや、先行して進んでくれるようだ。

確かに周囲の気配を探りながら進むのであれば狼のほうが人間よりも優れているのは當然か。

任せていいのだろう。

草叢になにかいる。

とか思ってたら討伐対象外の蛙や蛇だったり。

ビビり過ぎなオレに対して、相棒のヴォルフは悠然としたものだ。

そんなヴォルフが足を止めた。

姿勢を低くしたままかなくなる。

「?」

鳥だ。ニワトリ?

長は50cmほど、尾の羽まで含めたら80cmといった所か。

マーカーは討伐対象を示す赤だ。

暴れギンケイ(メス) Lv.2

 討伐対象 パッシブ

目を凝らすと自で【識別】が働いたようで報をもたらしてくれる。

程、パッシブということは魔相手に気付かれずに接近できることもあるって訳か。

括弧付でメスとあるのならオスもいるってことなのだろう。

の足元にはヘビがいて時々啄ばまれているようだ。

食事中か。

さて、どうする。

狩るのが最もましいが、Lv.2のこいつがどの程度強いのかは不明だ。

とは言えオレが持ち合わせの攻撃手段はたかが知れている。

呪文リストを呼び出してみる。

サモン・モンスター(召喚魔法)

リターン・モンスター(召喚魔法)

フォース・バレット(共通攻撃魔法)

センス・マジック(共通知覚魔法)

エアカレント・コントロール(風魔法)

フィジカルエンチャント・ウィンド(風魔法)

ある程度の距離を置いて使えそうなのはフォース・バレットだけか。

エアカレント・コントロール、って直訳で気流作ってことだろう。

フィジカルエンチャント・ウィンドって何?

フィジカルエンチャント・ウィンドの項目に視線を合わせて『効果』と念じてみる。

【フィジカルエンチャント・ウィンド】呪文:風魔法

に風の力を付與して一時的に敏捷値を向上させる。

自己付與には制限なし。他者付與には接もしくは5mの範囲で可能。レジスト判定あり。

効果時間は約15分。

敏捷値向上か。

使えるかどうかは試してみたら分かることだ。

小聲で呪文詠唱、と念じてから呪文リストのフィジカルエンチャント・ウィンドを選択する。

(フィジカルエンチャント・ウィンド!)

呪文を掛ける相手はヴォルフだ。

首元に手を置いてスペルが完する。

頭上のマーカーの上に小さなマーカーが重なって表示された。

これで識別する仕様らしい。

(オレが攻撃したら追撃してくれ)

ヴォルフに呟く。

次にフォース・バレットを呪文リストから選択して実行する。

小聲で呪文詠唱が終了した。

狙う魔はまだ食事中だ。いける。

(フォース・バレット!)

魔法を放つと同時にヴォルフがダッシュした。

速い。

オレもその後を追う。

魔法は命中し、魔勢を崩し、HPバーもいくらかは削れていた。

こっちを向く鳥の首元をヴォルフが噛み付く。

のほうも腳で反撃を試みるが、絶妙の角度で噛み付かれていて攻撃は屆いていない。

ヴォルフはやや苦労しながらも魔を地面に押し付けることに功していた。

オレが駆け寄った頃には勝負はついていた。

既に蟲の息である。

なんとあっけない。

《只今の戦闘経験で取得が可能な補助スキルに【奇襲】が追加されます》

ついでに取得できる補助スキルが増えたようだ。重畳である。

スキル取得するかどうかは保留だけどな!

剝ぎ取りナイフを突き立てるとドロップ品一つを殘して死は消えていく。

翼だ。

【素材アイテム】銀鶏の翼 原料 品質D+ レア度1 重量1

暴れギンケイ(メス)の翼。一般的には矢羽に加工されている素材。

分かりやすいヒントだ。

弓矢をメインウェポンとするプレイヤーならしがることだろう。加工する必要はあるけど。

オレだと売る以外に使い道がない。さっさと背負袋に放り込んでおく。

ヴォルフはオレの回収作業中も周囲を警戒してくれている。いい仔だ。

そういえば召喚モンスターのスキルってあるんだろうか。

見てみるか。

ヴォルフのステータスとスキル、と念じてみる。

召喚モンスター ヴォルフ ウルフLv2 警戒中

各ステータス

用値 8

敏捷値 25(+2)

知力値 12

筋力値 11

生命力 15

神力 10

スキル

噛付き 疾駆 威嚇 聞耳

改めてみると敏捷値凄いな。

括弧付でプラス2と表示されているのは先刻のフィジカルエンチャント・ウィンドの効果だろう。

冒険者駆け出しとしては良いのか悪いのか、よう分からん。

オレも気休め程度ではあるが、周囲に魔がいる雰囲気がないのを確かめてその場を去った。

まだ目的地は見えない。

細道は獣道に近いが辿る事は難しくない。

一度、遠目に暴れギンケイが十匹ほど群れている場所があった。

三匹ほどが銀・白・黒で彩られた派手な格好をしている。

派手な個は一回り大きいようだ。

暴れギンケイ(オス) Lv.5

 討伐対象 パッシブ

一匹だけ【識別】してみた。

なにこいつ怖い。

他の個も【識別】してみると、他のオスはLv.4、Lv.3だった。

メスはLv.1からLv.3といった所だ。

距離を置いていたためか、魔の群れはこっちに気がつく様子はなくそのまま去っていく。

危なかった。森の中は油斷ならんな。

あんなのと偶発的に遭遇したらヤバイ。

暫くは警戒しながらゆっくりと細い道を辿っていくと、ようやく目的の場所に著いたようだ。

その家は石塁で囲まれていた。

の一部しか見えないが、隨分と古ぼけているように見える。

煙突かられる僅かな煙が、人が住んでいる気配を伝えていた。

門構えは地味ではあるが重厚であり堅い守りをじさせる。

もちろん門は閉ざされたままだ。

どうっていいものやら。インターホンなんてないんだし。

《何者かね?》

まるでインフォのような聲が脳に響いた。

どこから話しかけられているんだ?

「えっと、冒険者ギルドからこちらを紹介して頂いたのですが、私は駆け出しの冒険者でキースっていいます」

とりあえず大きな聲で答えてみる。

《証明できるものはあるかね?》

「メモ程度ですがあります」

ヴォルフがを寄せてきた。小さく低い唸り聲を上げている。

何かに怯えているのか?

ふとヴォルフが頭をもたげると門扉を見た。

オレもつられてその視線の先を見る。

門扉のさらに上、侵者を阻むように數多くの突起が備わっているのだが、その一つに鳥が佇んでいた。

白いフクロウだ。しかもかなりデカい。

頭上のマーカーは黃。NPC扱いってことか。

マギフクロウ Lv.???

召喚モンスター 警戒中

うわ、なんか強そう。

【識別】ではそれ以上のことは見えない。

ヴォルフもなんか怯えた様子のままだ。

《地面に見えるように置いてくれるかね?》

「はい」

言われるがままにメモの羊皮紙を地面に置いた。

フクロウが地面に舞い降りる。

拡げた翼は大きく、まさに猛禽であることを誇るかのようだ。

その羽もまたしかった。瞳のもブルーで実に綺麗だ。

《まあええじゃろ》

フクロウはメモをで拾うと石塁の向こうへと飛んでいってしまった。

《門を開けるから中にってくるがいい》

どういった仕掛けなのかは分からないが、重低音を響かせて門扉は開いていく。

しかも跳ね上げ式だ。

まるで回廊のような通路を抜けると、やけに開けた敷地の中に不似合いなほど小さな家が一つ。

なんか不思議な空間がそこにあった。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv2

職業 サモナー(召喚師)Lv2

ボーナスポイント殘21

スキル

杖Lv2 召喚魔法Lv2 風魔法Lv1 錬金Lv1

連攜Lv1 鑑定Lv2 識別Lv2

裝備 初心者のロッド 簡素な服 布の靴 背負袋

所持アイテム 剝ぎ取りナイフ

召喚モンスター

ヴォルフ ウルフLv2

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