《サモナーさんが行く》6

オレの師匠は召喚師、サモナーの筈だ。

【識別】で見てもそれは確実である。

オレニュー Lv.???

サモナー 作業中

さっきまで【識別】できなかったのに僅かだが報が読み取れた。

でも間違いなくサモナーらしい。

副業でポーション作をしているんでしょうか、師匠。

それにしても凄い量のポーションがあっという間に出來上がっていく。

薬草である傷塞草1本につきポーション2本、鍋にして一回あたり10本のポーションが出來上がっていく。

1ロットで10本、鍋にして20回分、都合200本のポーションが機上にある。

薬草にして100本分、麻袋2つ分が消えてしまっていた。

を瓶に詰める作業のほうが手間がかかってますが何か?

町でポーションの売値が30ディネだったから、6,000ディネ分のポーションが目の前にあるって事になる。

本當にポーションだよね?

【回復アイテム】ポーション HP+8%回復 品質C レア度1 重量1

一般的なポーション。僅かにだがHPが回復する。

飲むとやや苦みが舌先に殘ってしまう。

※連続使用不可。クーリングタイムは概ね10分。

間違いない。

【鑑定】で見ても確かにポーションだ。

「まさに魔法ですね」

「うん?そうでもないがの」

師匠は薬草の殘骸をれた鍋に何かと水と油をれていた。

何を?

再び何かに集中するかのように目を閉じる。

「短再現!」

すると今度は鍋の中に丸くて緑がいくつも転がっていた。

數えてみると20個ある。

【回復アイテム】回復丸 継続回復[微] 品質C レア度3 重量0+

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飲めば継続的にHPを回復する丸薬。継続時間は概ね10分。

呪文のリジェネレートと同様の効果となる。

※連続使用不可。クーリングタイムは概ね1時間。

おお、これは便利そうだ。

確かレムトの町でも売っていたけど高くて手が出なかった奴だ。

「興味がありそうじゃな?」

もちろんだ。

思わず頷いていた。

「ワシのやり方は邪道じゃよ。だが今は冒険者ギルドも邪道であっても頼らざるを得ないと見える」

ん?どういう事だろう。

「薬師が廃業しかねないからの」

ああ、そうか。

薬師が苦労して作するポーションがこんなに簡単に作れるとなると確かに問題だ。

一気に値崩れしてしまうことだろう。

デフレって怖いよね。

「錬金はお主も持っておるじゃろ。短再現は錬金のうちの一つじゃよ」

「短再現ってさっき使ってた奴ですね?」

「うむ。材料さえあれば作業工程を全て省いて結果を即座にもたらすメイキング技能じゃな」

メイキング?

ヘルプで検索してみると、生産職にとっては武技(アーツ)や呪文(スペル)に相當するもののようだ。

そんな便利なのがあるのか。

後で錬金のヘルプは読み込んでおこう。

「だがちゃんと條件もある。必ず一度は自分自の手で作業しておらんと使えんのじゃ」

「なるほど」

理に適ってはいるな。

「では最初から、基本通りに作ってみるんじゃな」

え?

「私が、ですか?」

「當たり前じゃ。お主は既にワシの弟子なんじゃからの」

どうやら師匠はスパルタ気質らしい。

息が抜けそうもないな。

でも答えは決まっていた。

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「やります。やらせて下さい」

ポーション作の手順は実に簡単なものだった。

1.傷塞草を鉢で擂り潰す。

2.水で溶いて出する。

3.固形を濾紙で濾し取る。

4.を熱して5分ほど沸騰させる。

5.常溫に冷やす。

6.をギルド指定の瓶にれる。

鍋を熱するのには簡単な火鉢を使って炭に火を熾した。

素材の草の量と水の量は指定された配合でやればいいだけなのだが。

最初の試作は何故か失敗してるし。

どうやら薬効分が足りなかったようだ。

最初から大鍋でやらなくて良かった。

「擂り方がいかんな」

師匠がバッサリと切り捨てた。

ちなみに水は師匠が水魔法で作したものを使っている。

できるだけ純水に近いほど良いらしい。

2回目にチャレンジする。

今度はちゃんとポーションが出來たようだ。

2本のポーション瓶が目の前に。

【回復アイテム】ポーション HP+6%回復 品質D+ レア度1 重量1

一般的なポーション。僅かにだがHPが回復する。

飲むとやや苦みが舌先に殘ってしまう。

※連続使用不可。クーリングタイムは概ね15分。

品質がD+か。出來たはいいが能的には足りない。

「もうし挑戦させて下さい」

「うむ」

師匠は師匠でポーション作を進めている。

うん、早くああなりたいものだ。

6回目の試作でようやく品質C-のものが出來上がっていた。

そこでんでいたインフォが來た。

《これまでの経験で取得が可能な生産スキルに【薬師】が追加されます》

必要なボーナスポイントは2だった。

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否はない。早速取得して有効化する。

よし。

再度挑戦してみる。

【回復アイテム】ポーション HP+8%回復 品質C レア度1 重量1

一般的なポーション。僅かにだがHPが回復する。

飲むとやや苦みが舌先に殘ってしまう。

※連続使用不可。クーリングタイムは概ね10分。

2本とも品質Cで作できた。

「どうでしょうか?」

師匠に見せてみた。

「ふむ、普通に使えそうじゃな」

一応は2本とも合格らしい。

次は錬金に挑戦してみるか。

師匠が使った短再現ができるのだろうか?

メイキング技能、と脳で念じると別枠で仮想ウィンドウが開いた。

錬金関連、薬師関連と二択表示だ。

なんか今までと表示形態が違っているな。

錬金関連に目を凝らすと更に新しい仮想ウィンドウが開いた。

リストが表示されるんだが、なんか長い。

 質を全く異なる質へと変すること。理常識は無視される。

 質を化學反応に従って異なる資に変質させること。理常識に従う。

出 混合であるから特定の質のみを取り出すこと。

希釈 水溶濃度を溶で薄める。

 水溶濃度を高める。

破砕 々にする。

濾過 中の固を濾し取る。

分析 質の持つ効能・特を見極める。

酸化 酸化反応を起こす。

還元 還元反応を起こす。

恒溫 溫度を一定に保つ。

 気度を作して一定に保つ。

化 気に凝させる。

気化 を気に蒸発させる。

化 を固に凝固させる。

溶融化 固に融解させる。

昇華 固から気へと一気に変化させる。

反復 一定の工程を繰り返す。

反応促進 反応速度を加速する。

作業記憶 一連の工程を記憶する。一度自分自の手で全工程を実施する必要がある。

再現 作業記憶した工程を再現する。

なんだってこんなに長いんだよって話だが。

簡単な説明が付記されているのがせめてもの救いだ。

ヘルプで『メイキング技能』『新規』で調べてみる。

すると生産系スキルのメイキング技能は、スキル取得したら全部習得してる事になるらしい。

但し生産の出來栄えは完全にスキルレベルに依存するようだ。

それに作業工程で自的に効いている技能もあるそうだ。

まあ試してみたら分かる、よな?

作業記憶を選択する。

《最新のポーション作作業を記憶できます》

《Yes》《No》

當然《Yes》を選択する。

次に短再現を選択。

リストにはポーション作作業だけがある。

材料となる水と傷塞草を手に持って準備した。

選択して実行する。

再現、と小さな聲で呟いた。

すると掌に載せた薬草がボロボロと崩れた。

鍋の中にはポーションのが殘っている筈だ。

「ほほう」

師匠が面白そうな聲で興味深くオレの作業を見ていた。

瓶に注いで2本完である。

出來栄えはどうだ?

【回復アイテム】ポーション HP+7%回復 品質C- レア度1 重量1

一般的なポーション。僅かにだがHPが回復する。

飲むとやや苦みが舌先に殘ってしまう。

※連続使用不可。クーリングタイムは概ね12分。

2本ともなんか微妙に劣化しているようだ。

それにオレのMPバーは7割程度まで回復していたのが4割近くにまで減っている。

「駆け出しにしては筋が良い方じゃろ」

「はあ」

正直、出來については意気消沈なんですが。

「ま、お主が自分で作したポーションじゃがな、出來のいい分はお前さんからギルドに納品してもええじゃろ」

そういうと品質Cのポーションを示す。

つまりは品質C-以下のポーションは納品不可ってことだ。

「納品します。ではこっちは?」

ダメ出しされた方のポーションに視線を移す。

「お主が使うなりするとええじゃろ」

うん、ちょっとだけラッキーかもしれない。

「瓶はちゃんと返すように、な」

しっかり釘は刺されました。

そこからは錬金は使わずにポーションを作していく。

但し數量は増やしてみた。

師匠は薬草5本を使ってポーション10本作を1ロットでやっている。

さっきまでオレは薬草1本でポーション2本を1ロットでやっていた。

一気にそこまでやれる自信はない。

そこで倍の薬草2本にしてみました。

出來上がったポーション4本の品質はいずれもC。

問題なさそうだ。

さらにもう1回。

今度は4本中にC-が1本混じっていた。

さらに繰り返す。

次は4本とも品質Cだ。

好調好調。

錬金のメイキング技能リストから作業記憶を選択して、今の作業工程を保存しておく。

次は回復丸だ。

師匠の作している所を見ていたから、ポーション20本分の傷塞草(出済)で2つが作れる勘定だ。

「おお、そっちもやっておいて損はないのう」

師匠に教わった基本的な作り方は以下のようなものだった。

1.傷塞草(出済)に同量の小麥(薄力)と量のオリーブオイルを混ぜる。

2.しづつ水を加えながら火を掛けて炒める。

3.らかになった狀態で3分以上炒め続ける。

4.粘り気が生じ、指で押しても付かない程度に水気がなくなったら火を止めて冷やす。

5.丸薬狀態に整形する。

まるで料理だ。

実際に作ってみると草の持つ獨特の匂いが鼻についたが、我慢できる範囲である。

狼であるヴォルフにはちょっと匂いがきつかったようで、作業臺の機からは一定の距離を置いていた。

すまぬ。

すまぬ。

すぐに終わらせるからな。

【回復アイテム】回復丸 継続回復[微] 品質C レア度3 重量0+

飲めば継続的にHPを回復する丸薬。継続時間は概ね10分。

呪文のリジェネレートと同様の効果となる。

※連続使用不可。クーリングタイムは概ね1時間。

一発で品質Cが出來上がった。

まあ失敗がなそうな作り方だったから當然なのかも知れない。

「傷塞草の分で副作用を生むものは熱を加えることでなくなっていくのじゃよ」

「はい」

「だが熱を加え続けると肝心の力回復効果も低下してしまうのでな、程々を見切るのがコツなんじゃよ」

程ね。でも質問したいことが出來た。

「錬金なりで分を分離できないものでしょうか?」

「確かに出できればいいのじゃがな。あれは対象分の正を見極めきらねば使えんのじゃ」

そうなのか。

錬金もそこまで萬能ではないってことなのか。

その師匠はと言えば、オレの相手もしながらポーション瓶を機上に大量に並べている。

そしてそれだけの數のポーションが師匠の《アイテム・ボックス》に一瞬に消えてしまう。

いや本當に無限に収納できるんじゃないの?

回復丸も同様に消えていく。

「ワシの方は明日にでも冒険者ギルドに納品に行くが、お主はどうする?」

「自分で納品します」

「では明日の朝にでも一緒に行くとしようかの」

今日のポーション作作業はこんな所か。

師匠と手分けして作業場を片付けたら地下を出た。

本日の果をまとめるとこんなじだ。

ポーション 品質C 15個(冒険者ギルド納品はok)

ポーション 品質C- 4個

ポーション 品質D+ 9個

回復丸 品質C 2個

背負い袋にれても余裕があった。

ただ數が數だけに重たくて背負うとズシリと肩に食い込んだ。

だがそれも苦になるまい。

低品質とはいえ自由に使えるポーションが確保できているのは安心がある。

それに道さえあればいつでも作れそうだし。

いや。

何から何まで師匠に頼るようでは、いつでも作れるというのは言いすぎだ。

の鍋やら濾紙、それに瓶はともかく、水は自分でも調達出來るようにした方がいい。

水魔法をボーナスポイント2を支払い取得し、有効化した。

呪文リストを呼び出してみる。

サモン・モンスター(召喚魔法)

リターン・モンスター(召喚魔法)

フォース・バレット(共通攻撃魔法)

センス・マジック(共通知覚魔法)

フラッシュ・ライト(魔法)

メンタルエンチャント・ライト(魔法)

エアカレント・コントロール(風魔法)

フィジカルエンチャント・ウィンド(風魔法)

ダウジング(土魔法)

フィジカルエンチャント・アース(土魔法)

リキッド・ウォーター(水魔法)

フィジカルエンチャント・アクア(水魔法)

リキッド・ウォーターはちゃんとあった。

通り。

町に行ったら鍋を買おう。

あとは濾紙、なければ茶濾しみたいな奴を探そうかね。

瓶は使い終わったものを再利用したらいいし。

冒険先でもポーション作が出來ればかなり大きな助けに出來るだろう。

「では明日朝、早めにまた來ます」

「ん?なんじゃ、泊まる所はあるのか?」

「町の宿を使うつもりです」

「阿呆めが」

あれ、師匠ってば怒ってます?

「この家に泊まれ。弟子ってやつじゃな」

《老サモナー宅をプレイヤー・キースさんの中継ポータルに設定しました!》

え?

いきなりインフォ、しかもYesかNoかの選択肢なしですか。

まあ願ったり葉ったりなんですが。

「上の家部分は好きに使っていいぞ。地下も3階層までは自由に出りして宜しい」

お墨付き頂きました。

「お世話になります」

「うむ。ワシはこれから地下の塔にこもる。夕食まで自由にしとってええ」

「はい」

地下の塔?

ああ、確かに地上に建てた塔を地下に作ってるような構造ではある。

なんか納得した。

まずは拠點となる家の中を一通り確認しておこう。

地上部分の家は簡素ながらも最低限の設備は整っていた。

トイレもちゃんとある。手桶に水がっていてこれで流すのだろう。

臺所もちゃんとあった。何気に立派。

天板を手でって【鑑定】したら影石みたいだ。

傷を付けたらヤバイな。

包丁も刃が欠ける可能もあるから雑な作業は厳だ。

寢床は天井裏になるようだ。

フカフカとらかいベッド、かと思ったが乾燥した牧草に麻袋と布を敷いたものだった。

一応寢てみる。

十分に使えそうである。つか寢心地はらかくて気持ちいい。

ヴォルフも簡易ベッドに登ってきた。

添い寢添い寢。

抱き枕抱き枕。

おっといけない。

一応、借りの《アイテム・ボックス》と背負い袋にドロップ品とポーション類を確認しながら分けてれていく。

夕食時にはまだ早い。

近場の森の中でも狩りに行こう。

MPバーは全快には程遠いが半分近くは殘っている。

HPに関してはポーションがある分、心強いのも大きい。

門番代わりであろうマギフクロウに手を上げて挨拶して門を出た。

來たときと同様、門は自で開閉する。

謎だ。

「よし、行こうか」

ヴォルフも外に出るのがうれしそうに見えた。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv3

職業 サモナー(召喚師)Lv2

ボーナスポイント殘7

セットスキル

杖Lv2 打撃Lv1 蹴りLv1 召喚魔法Lv2

魔法Lv1 風魔法Lv2 土魔法Lv1 水魔法Lv1(New!)

錬金Lv1 薬師Lv1(New!)

連攜Lv2 鑑定Lv3 識別Lv2 耐寒Lv1 摑みLv1

裝備 初心者のロッド 簡素な服 布の靴 背負袋 アイテムボックス

所持アイテム 剝ぎ取りナイフ

召喚モンスター

ヴォルフ ウルフLv2

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