《サモナーさんが行く》18

新しい朝が來た。

の朝だ。

何かが違う。

いや、ある意味間違ってはいない。

本日の野は新しいモンスターを召喚する事なのである。

フクロウにする事だけは決めてある。

名前もいくつか考えてあったし、今日はサクサクとゲームを進めていこうか。

ちょっと師匠の向が気にはなるんだが。

やや早めのログインだったので、背負い袋と《アイテム・ボックス》の中を整理して時間を潰す。

納品できないポーションも數が多くなってきているので部屋に半分ほどは置いておく。

整理もすぐに終わったので仕方がなく作業場に降りてみると、師匠もいないしいつものメタルスキンもいなかった。

手が開いたな。

先に新しい召喚を済ませておくか。

早速、召喚を行う。

召喚モンスターのリスト4行目の空欄を指定して召喚。

候補が並ぶ中、躊躇せずにフクロウを選択する。

「サモン・モンスター!」

地面に描かれた魔方陣の中にフクロウが出現する。

しは長した果なのか、オレのMPバーの減りはこれまでよりもない。

それでも2割以上は減っているようだ。

それにしてもこのフクロウ、近くで見ると鷹のヘリックスと同様に獰猛な顔付きである。

腳はヘリックスよりも太く大きいし、腳爪も太めで長い。

鋭さは鷹に軍配が上がるかな?

どっちにしても兇悪な武に見える。

そして最も特徴的なのはその目だ。

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真っ黒で大きい。まるで底が見えないのようだ。

名前もとっさに別のものを思い付いた。

召喚モンスター

黒曜 フクロウLv1

用値 11

敏捷値 16

知力値 19

筋力値 12

生命力 10

神力 15

スキル

撃 無音飛翔 遠視 夜目 奇襲 危険察知

名前を付け終えると早速飛びたってオレの肩口に収まった。

は灰に白か。

ステータスで見ると鷹に比べたら敏捷値で劣るようだが他のステータスが高めなのか。

ヘリックスのステータスも呼び出して並べてみる。

召喚モンスター

ヘリックス ホークLv2

用値 10

敏捷値 22

知力値 18

筋力値 11

生命力 10

神力 12

スキル

撃 飛翔 遠視 広域探査 奇襲 危険察知

うん、同じ鳥な訳だし被るよね。

晝はヘリックス、夜は黒曜と使い分けるようにして被らせなければ問題ない。

黒曜とし戯れていたら師匠がメタルスキンを引き連れて作業場に現れた。

「ほう、新しい召喚じゃな」

「はい」

「結構、結構」

昨日はややおかしな様子も見えていたのだが、今日は普段どおりに見える。

気のせいだったのかね?

食事はスタンダードな朝食で普通に旨かった。

さすがに熊はもうなくなったようだ。

食事を終えるといつものようにレムトへ向かう。

師匠はバトルホース、オレも殘月を召喚して騎乗の人となった。

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そしていつものサーチ・アンド・デストロイである。

今日は晴れているから狩りをするにはいい日だ。

で、新たに召喚した黒曜なのだが。

どうもフクロウだと鷹と比べたら高度をとって獲を探すのは不得手なようだ。

その代わりに森の中で行するのはまるで苦にしない。

暴れ銀鶏(メス)が相手だとオレの出番なしで仕留めるケースもあって、攻撃力も申し分ない。

いや、この場合は奇襲だ。

油斷している所を音を立てずに後方から一撃である。

全て一撃で仕留める訳ではないのだが、それでも大きなダメージを與えているようだ。

流石、森の狩人は違うな。

草原でもオレの肩に摑まって周囲を見回すだけで獲を見付けたりする。

例え飛んでいなくても索敵能力はなかなか優秀である。

ウサギも問題なく狩れた。

オレは馬上からホーンラビットをロッドで毆るだけの簡単なお仕事で済んでいる。

ヘリックスと比べてしまうと狩りの獲ないじはするが、十分だろう。

昨日はちょっと消化不良だったから気持ちいい。

《これまでの行経験で【馬】レベルがアップしました!》

《これまでの行経験で【作】レベルがアップしました!》

レムトの町に到達する寸前に々とレベルアップしていたようだ。

えっと。

作って馬上で手綱をっていただけだったのに効いていたのかね?

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それに変わらずフィジカルエンチャント・アクアで用値を上乗せしている。

乗馬技も向上するのと併せて馬上戦闘はもっと上手くいくのだろうか。

後で検証したいな。

いつものように冒険者ギルドでポーションの納品に臨んだ。

昨日とはし雰囲気が違っていた。

スルー耐が高く鉄面皮な筈の職員さん達が張しているのが分かる。

何があった?

まだギルド長の姿も見えない。

「先にキースさん依頼分を確認しましょう」

「お願いします」

いつもの中年の職員さんに確認して貰う。

ポーション作依頼數が60本に対して87本である。

今回は全品合格であったらしい。

相変わらず計算は早く済んで、小袋で買取り金額を渡された。

中を確認したら100ディネ銀貨が26枚に10ディネ銅貨が1枚だ。

2,610ディネってことは買取価格は1個あたり30ディネか。

また値上がりしている。

プレイヤーへの販売価格は一どうなっているんだ。

《ギルド指名依頼をクリアしました!》

《ボーナスポイントに5點、エクストラ評価で4點が加點され、ボーナスポイントは合計18點になりました!》

「それで次の依頼なんですが」

けます」

「いえ、大変申し訳ないですがポーション作依頼ができないのです」

「は?」

「もう空き瓶の數に余裕がないのです」

これは想定外でした。

「いえ、あることはあるのですが、レムトの薬師の手元にある分だけでして」

「むう。もうそんなに迫したのか?」

「左様です。ガラス工房にも瓶の増産を頼んではいるんですが」

「間に合わんのか」

「はい。オレニュー様にも大変申し訳なく思います」

師匠が會話に割り込んでくる。

職員さんは恐するばかりだ。

依頼をける側からすると、師匠もポーション作が本業ではない訳だが。

仮にポーション作を生業にしていたとなるとこれは大きな失點だろう。

「お前さん方が悪いわけでもあるまい。無いは無いのじゃしな」

師匠の表からは何も読み取れそうも無い。

なんか怖いな。

「キースよ。今日はもうワシに構わず好きにして良いぞ。夕飯の時間までに家に戻って來たらええ」

「はい。今日は採集はなしですか?」

「うむ。瓶がないのではな」

ですよね。

師匠の無茶振りも無いって事になる。

そう思うと嬉しい様な悲しい様な、複雑な気分だ。

さて、今日はこの先どうしようか。

晝までの時間も十分に間があるから食事もないな。

部屋を辭去してギルド長の部屋を出ると、ギルド長であるルグランさんとばったり會った。

目禮して通り過ぎる。

あの部屋で何が起きるのか、なんとなく予想がつくのが怖い。

考えるのは止しておくか。

ギルドり口側の壁にある依頼掲示を見て回った。

羊皮紙のようなもので簡単な依頼容を記したものがってあるだけだが。

仮想ウィンドウで翻訳したものを見てるのは辛いものがある。

一括、ソートと念じて目を凝らすと仮想ウィンドウ1つに纏めて表示してくれる。

概ねどういった依頼が多いのか、傾向を探っていく。

とりあえず手持ち資金は十分にあると思う。

何か切実に困っているような依頼はないものか。

そうでなければ今オレの持っているスキルをばすようなものはないか。

または興味深く付き合えそうな依頼はないか。

ざっと眺めていくと目に付いた依頼があった。

その依頼に相當する羊皮紙らしきメモを手に取るとギルド窓口に向かった。

「この依頼、けたいんですけどいいですか?」

今オレはギルド職員に教えて貰った場所へと殘月の手綱を引きながら歩いている。

目的の場所は冒険者ギルドのある區畫よりも更に古そうな街並みの一角にあった。

周囲はどこも喧騒で溢れている。

職人街なのだ。

鍛冶師、石工、木工などの工房が軒を連ねていて活気がある。

オレはその一角のある工房の扉を叩いた。

そこはガラス工房であった。

「すみません、冒険者ギルドの紹介でこちらの依頼をけに來たんですが」

話しかけた職人らしき中年男は筋骨隆々とした偉丈夫だった。

マーカー持ちでNPCで間違いない。

なんか戦士として通用しそうな雰囲気がある。

「おう!大歓迎って言いたい所だがここは初心者でも見込みが無きゃれられねえ。それでもいいのか?」

「はい」

「そうかい。じゃあ紹介狀を寄越しな」

ギルドで書いて貰った紹介狀を渡す。

その職人は紹介狀をチラ見しただけでオレの様子をしげしげと眺め始めていた。

「ふむ。まあなんとかなるかな。まずは腕試しと行こう」

テキパキとしてるのはいいのだが、々と手順をすっ飛ばしそうな男だ。

職人としてはどうなんだろうか。

工房の中には職人らしき男が何名かいるのだが、こっちに気を取られている人はいない。

いや。

一人だけプレイヤーがいるようだ。

緑のマーカー付がいて作業の手を止めてこっちを見ていた。

オレの視線に気が付いたようで、すぐに作業に戻っていったようだ。

他にもプレイヤーがいるのならば安心だな。

「裏手に馬留めがあるから馬はそこに繋いどけ。その鳥も工房れてくれるな」

「はい」

まあいいか。

殘月と黒曜はセットで待っていて貰うとしよう。

互いに護衛代わりになるだろうし、何かあればオレに伝わるようだし大丈夫だろう。

殘月達には馬留めに待っていて貰って工房にる。

最初に話しかけた職人はこの工房でもベテランになるらしい。

工房主がいない時はこの人が工房を切り盛りする、そういう立場なのだとか。

【識別】で見てみたらこんなじであった。

ガラス屋のニルス Lv.???

グラスワークマスター

おお、なんか凄そうな職業だ。

グラスワーカーの上位職なのだろう。

「じゃあ筋を見させて貰うか。これと同じ事をやってみろ」

そういうとニルスさん、棚から細いガラスパイプを取り出した。

両手には軍手を裝著する。

場所を移してふいごらしきものを作して小さな七のような臺に空気を送り込む。

その一方で七の周囲を囲んである石を狹めてやる。

バーナーのようになって炎が細く力強く燃え上がっていた。

その炎の中でガラスパイプの真ん中を無造作に熱し始める。

し待っていると熱した箇所が赤熱化し始めた。

すると。

両手を引きばしてやる。

ガラスパイプは中央でより細くなってびていく。

そしてある程度びた時點で炎から外した。

空気中で見る見るうちに冷卻されたガラスパイプ、その中央にヤスリをかけて二つに分けた。

先端がエンピツ狀の形態のものが二つ出來上がっていた。

反対側に袋狀のゴムでも付けたらスポイトになりそうだ。

もうちょっと長ければピペットに使えそうなじがする。

「見たか?」

「はい」

「ではもう一度見せる。次はお前さんがやってみろ」

そう言うともう一回、同じ手順を見せてくれた。

手作業でしかも細かな手の覚で調整する必要がある作業だ。

これはハードルが高そうだ。

小聲でフィジカルエンチャント・アクアを自詠唱させる。

呪文名も小聲で唱えてステータスの用値を底上げしておいた。

ステータスを確認すると+2が付與された。

はマシになるだろう。

「よし、じゃあやってみろ」

「はい」

見真似ではあるが一通りやってみた。

形狀は似たような形にはなったが、明らかに歪になった。

念のため【鑑定】してみる。

【工アイテム】スポイト(小) 品質D レア度1

量のを滴定するための

まだ目盛は刻んでいない。空気袋は未裝著。

品質Dか。

ダメだこりゃ。

「ほう、初めてで形になってるじゃねえか」

「はあ」

「ま、確認だ。もう一本いってみろ」

今度はもっとゆっくりと正確に作業を試みる。

やはりやや歪んでいるようだ。

最初のものに比べたら出來はいいみたいだが。

【鑑定】してみると品質D+だった。

無念。

「まあいい方だろうさ。では次に行ってみるか」

ちょっと、早すぎませんか?

自信なんてないし、関連するスキルも得てないんですけどいいんですか?

「まあそんな顔するなって。習うより慣れろだ」

うん。

普段のオレのポリシーもそうなんだけど早すぎますって!

工房の中にはある分かりやすい特徴があった。

暑いのだ。

あちこちに熱源があるのだから仕方が無い。

當然オレも裝備を出來るだけ外しておく。

上半だ。

そして作業臺の傍には水をれた水筒やら鍋やらコップやらが無造作に置いてある。

職人達はまめに水分を補給しているのだ。

そして盛り塩もある。

舐めておかないと汗でミネラルを失い調を崩すからだ。

當然、皆汗を大量にかいている訳であるが、ガラスに付著しないように注意を払っている様子が窺える。

でも熱が篭っているし、思考を正常に保つ自信は無かった。

ヤバイ、ここは意外におっかないぞ。

対策は何か無いか。

思い當たる補助スキルならあった。

オレは既に耐寒を補助スキルに持っている。

ならば耐熱とか耐暑とかあっていい筈だ。

取得可能スキルのリストを呼び出して調べてみたらやはりあった。

耐暑だ。必要となるボーナスポイントは2である。

早速取得して有効化する。

楽になった、のか?

良く分からないがそんな気もする。

ニルスさんが早速ポーション用の空き瓶作工程を見せてくれた。

手本として都合3回である。

そしてすぐに実踐とか。

一応、工程を簡単に説明したら以下の通り。

1.植灰、天然トロナ鉱石、石英鉱石を溶融してガラス種を作る。

2.型に一定量のガラス種をれる。

3.細長いストロー狀の金屬筒で息を吹き込み(ブロー)ながら型を傾けて型する。

4.ある程度冷卻したら型を割って取り出して自然冷卻する。

これだけだ。

これだけなんだけれど。

難しいんだな、これが。

品質D-、品質Dを連続で5つも出して覧なさい。凹みますから。

でもニルスさん優しいんですよ。

使えなくないって言うんですよ。

インフォで生産スキル【ガラス工】が來た時は涙しました。

すぐ取得して有効化しました。

ボーナスポイントを5消費しましたが惜しくないです。

再度挑戦する。

フィジカルエンチャント・アクアも途切れていたのを掛け直してやる。

出來るだけの事はした、あとは結果を出すだけだ。

そして出來上がったのが品質D+ですよ。

ちょっと、いや、かなり凹む結果だ。

「おいおい、なかなか上達が早いじゃねえか」

むしろ褒められました。

このNPCのベテラン職人は褒めて部下をばすタイプのようだ。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv4

職業 サモナー(召喚師)Lv3

ボーナスポイント殘11

セットスキル

杖Lv3 打撃Lv2 蹴りLv2 関節技Lv2 投げ技Lv1

回避Lv2 けLv2 召喚魔法Lv4

魔法Lv2 風魔法Lv2 土魔法Lv2 水魔法Lv2

錬金Lv3 薬師Lv2 ガラス工Lv1(New!)

連攜Lv3 鑑定Lv3 識別Lv3 耐寒Lv2 摑みLv2

Lv2(↑1)作Lv2(↑1)跳躍Lv1 耐暑Lv1(New!)

裝備 初心者のロッド 野兎の當て+シリーズ 雪猿の腕カバー

布の靴 背負袋 アイテムボックス×2

所持アイテム 剝ぎ取りナイフ

召喚モンスター

ヴォルフ ウルフLv3 お休み

殘月 ホースLv2

ヘリックス ホークLv2 お休み

黒曜 フクロウLv1(New!)

用値 11

敏捷値 16

知力値 19

筋力値 12

生命力 10

神力 15

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