《サモナーさんが行く》29

「で、今日は時間は大丈夫なのか?」

「あ、はい。夜の狩りも行きたいです」

「大丈夫です」

いいのか。

夜更かしは々と天敵を作るものなんだが。

ま、本人がいいと言うのだしいいか。

「じゃあここから夕刻までは森の中で狩りを行う。夕方にレギアスの村に戻って夜の森で狩りにするか」

「「はい」」

「泊まる場所はどうする?」

「出來ればレギアスがいいです」

「狩り場所も近いですから」

程。

弓使いであればこの周辺はいい場所だ。

草原ではを隠す場所がないが、森の中では數多くあるからな。

「では森の中へ狩りに行くぞ。危険と判斷したら『ウィスパー』で連絡するように」

「「はい」」

《アイテム・ボックス》から作して貰った矢を取り出す。

黒曜石の矢だけは選り分けて他の矢を渡しておく。

「これも使っていいよ」

「はい!」

「ありがとうございます」

暫くは暴れギンケイ(メス)を相手にして戦って貰おう。

オレの方は殘月とヘリックスを帰還させる。

ヴォルフと黒曜を召喚して森の中での狩りに備えた。

嬉しい事にMPバーは思ったほど削れなかった。

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レベルアップした恩恵だろう。

最初の頃とは大きな差だ。

「キースさん、それって」

れ替えだな。森の中ではこっちの方が都合がいい」

「モフモフしていいですか?」

「ほどほどにしておいてくれよ」

アデルは早速ヴォルフの首元に手をばして抱きつくと皮に顔を押し付けた。

すまないな、ヴォルフ。

しばし我慢だ。

だが意外にもヴォルフは悪い気がしないようだ。

させるがままにしている。

さすがにモフモフ帝國を目指すだけの事はあるな。

「お楽しみはその辺にしてくれよ?」

「はあい」

アデルを急かして森での狩りに向かった。

狩りは順調に進んでいった。

やはり弓使いであれば森の中は相がいいようだ。

が良いのは弓だけではなく、彼達の召喚モンスターもそうだ。

草原でじた印象はより強くなってきている。

虎のみーちゃん。

名前はアレだが戦果は十分だ。

狼のヴォルフと比べても攻撃力で遜がないどころか上回るであろう。

索敵といった方面では不安が殘るが、オレはいつもヴォルフといるからそうじるだけだ。

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実に強い。

前衛として考えると十分な強さがあると思う。

ダメージも喰らうんだが、それを大きく上回る勢いで魔のHPバーを削っている。

暴れギンケイ(メス)が可哀想になるなあ。

蛇のトグロ。

明らかに森の中に向いている。

何回かパッシブ狀態の魔に襲い掛かっているのだが奇襲功率は非常に高い。

暴れギンケイ(メス)の元に噛み付いてそのままをグルグル絡ませている様はちょっと怖かった。

ほぼ無音で襲われるとか怖い、怖すぎる。

つまりはこういったヘビの魔も先々にいる可能もあるって事か。

油斷ならん。

総合戦力が上がっている分、魔を狩る速度が上がっていた。

それだけに魔を探す時間が増えてくる。

こういった狀況で一番頼りになるのはやはりヴォルフだった。

を見つけ、追いかけて狩る。

まあ基本だと思うのだが、平原ではヘリックスの視覚頼りなのがヴォルフの場合は嗅覚になるのだ。

森の中とは思えない速度で移しながら獲を見つけていく。

こういった所は人間では真似出來ないな。

ある程度、狩りが進んだ所で呪文の効果も確かめておこう。

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新たに得た呪文、コール・モンスターだ。

仮想ウィンドウの呪文リストから選択して実行。

呪文詠唱が終了する。

「コール・モンスター!」

呪文名を唱えると大きな円形の仮想ウィンドウが目の前に現れた。

その円の中にいくつかのマーカーが表示されている。

お馴染みの逆三角形の赤のマーカーの上に小さな逆三角形が乗っていた。

そのマーカーに意識を凝らしてみると簡単な報が表示されていた。

暴れギンケイ(メス) Lv.2

 討伐対象 パッシブ

ほう。

こんなじになるのか。

試しにこいつを呼んでみるか。

ただ『來い』と念じてみたら本當にこっちに向かってくるようだ。

マーカーを見直してみる。

暴れギンケイ(メス) Lv.2

 討伐対象 アクティブ・

上手くいったみたいだ。

これ、凄く利用価値が高いんじゃないかな?

MPは消費するが、魔と戦って適當に経験値を稼ぎたいなら手っ取り早い方法になる。

向かってくる暴れギンケイ(メス)を迎撃して屠ってやりながらそう確信した。

もう一回、コール・モンスターを使ってみる。

今度はいくつもあるマーカーの報を選別できないか試すためだ。

暴れギンケイ(メス)、と念じてみる。

殆どが対象のようだが、僅かに違う魔もいるようだ。

一旦表示を戻して復活したマーカーを見てみる。

暴れギンケイ(オス) Lv.3

 討伐対象 パッシブ

オスの方か。

導できるなら戦ってみたい相手だ。まだ狩った事がないし。

こいつを呼ぼう。

『來い』と念じてこっちに向かってくるのを確認する。

マーカーが迫って來る方向は十時の方向だ。

ウィスパーで警告を出しておく。

し強いのが左から來るぞ!』

『『はい!』』

強い、という聲に張したようだ。

二人とも聲が裏返っていた。

の位置からはオレが一番近い。

初見の相手だし迎撃はオレがやるべきだろう。

それは確かに見たことのある暴れギンケイ(オス)なのだが、羽が膨れていて太っているようにも見えた。

頭の周囲の羽し逆立っているようである。

ここは先手を取ろう。

用意してあったフィジカルエンチャント・ファイアを自分に掛けて接敵する。

ロッドで突く。

それを余裕で避けた魔に向けて蹴りを放った。

直撃したんだがHPバーは大して減っていない。

あれ?

この、覚えがあるんだが。

最初にホーン『ド』ラビットと戦った時。

スノーエイプと戦った時。

ワイルドドッグ・リーダーにボス、そしてミュータント。

あいつらと一緒だ。

こいつは強い。

『無闇に近寄るなよ!』

ウィスパーで重ねて警告しておいて魔と正対する。

と思ったら視界から消えていた。

どこだ?

頭上で大きな音が生じていた。

いや、強風がいきなり頭上から吹き付けられていた。

を付けてはいるものの、のあちこちに傷が生じているであろう痛みが走っていた。

こいつ、風屬の特殊攻撃持ちなのか。

オレのHPバーは7割を多越える程度にまで減っていた。

アクア・ヒールを選択して実行しながら頭上の魔に向けてロッドを突き出す。

直撃。

そして黒曜の追撃で魔は地に落ちた。

ヴォルフが薄するのをまたもジャンプした所で援護があった。

に矢が突き刺さっている。

「アクア・ヒール!」

HPを全快近くまで回復させて魔に迫る。

ロッドで地面に叩き付けて蹴り飛ばす。

その魔の頭にヴォルフが噛み付いて引き摺っていく。

そのままを抑え付けた。

ガラ空きの魔の首にみーちゃんが噛み付いた。

そのまま2頭が咀嚼するような音が聞こえ始めていた。

これはいけない。

2頭が共に野生の領域に踏み込んでいる。

いけません、口の周りが真っ赤です。

ちゃんと拭きなさい!

はそのままあっけなく息絶えていた。

最初の覚では強そうなじがしていたんだが。

數の暴力の前では無力のようだ。

「大丈夫ですか?」

イリーナが聲をかけてくるのを手で制しながら暴れギンケイ(オス)の死を見る。

無殘。

こんな狀態でアイテムが剝ぎ取れるものなんだろうか?

いや、剝ぎ取りナイフを突き立てるとちゃんとアイテムは取れたんだが。

ダメージの與え合って関係ないのかね?

念のため【鑑定】も行っておく。

【素材アイテム】銀鶏の極彩翼 原料 品質D+ レア度2 重量1

暴れギンケイ(オス)の翼。一般的には矢羽に加工されている素材。

彩も鮮やかなので飾りとして使われることも多い。

品質がやや低くなっているようだ。

まあ見た目でも翼の一部が荒れているように見えるしこれは仕方がない。

《アイテム・ボックス》に放り込んで二人に聲を掛けた。

「今のはいい援護だった。その調子で」

「「はい!」」

このまま狩りを続けていいだろう。

今の所、この周辺で一番の脅威ははぐれ馬だな。

あとは夜の脅威となる蟻玉とコウモリの奇襲だ。

アリの方は集られない様に攻勢でなんとかするしかない。

奇襲対策となると召喚モンスターの危険察知能力に期待だが、それも完全ではないのだ。

は早めにどうにかしたい所だ。

はぐれ馬を安定して狩り続けるのは苦しい。

草原に戻ってウサギを狩るのがいいかもしれない。

安定して皮を確保して防を作依頼すべきだ。

達は後衛を目指すのだろうが、防を軽視していいって訳じゃないだろう。

オレもこれまでに何度か奇襲をけている。

どれもあまりいい思い出じゃない。

だがせっかく森でいいじで狩りを続けているのだ、この流れを斷ち切りたくない。

狩りは続行する事にした。

その後も狩りは順調であった。

パラレルラクーンにも遭遇したが問題はなかった。

火の玉攻撃も奇襲でなければ怖くない。

そしてブラッディウッド。

森の奧深くだと暗いせいかこいつにも遭遇できたのだ。

ところがこいつが難関だった。

なにしろ矢による攻撃で大したダメージがないのだ。

蛇のトグロもこいつにはあまり効果的なダメージが與えられない。

虎のみーちゃんだが攻撃が通じるものの攻撃に気をとられてに絡めとられそうになってしまう。

ヴォルフと黒曜に任せても効率が悪いのは分かっている。

そんな訳でこいつはオレが一人で相手をした。

投げ技を中心にしてなんとか片付けておく。

「あの、キースさん。なんでプロレス技を?」

「裏投げだよ」

「いえ、バックドロップですよね?さっきの投げって」

「裏投げですから」

「いや、魔の上半が地面に叩き付けられてますから間違いなくバックドロップに見えますけど?」

「裏投げなんです」

大切な事なので全否定してみました。

他者から見てどう見えるかは問題ではない。

自分の心の持ち方次第だ。

うん、自分を偽る立派な逃避行だな。

分かってはいるんだけどな。

それにしてもイリーナはツッコミ質のようだ。

覚えておこう。

森を更に西へと進んでいく。

さすがに村から遠くなるに従って他のプレイヤーを見かける事もなくなってきている。

有難いことに魔に不足はなかった。

いいじで魔を狩り続けていた。

オレの最初の頃と比べてもそのペースは明らかに早い。

パーティメンバーが多く『ユニオン』狀態である事も勘案してもそう遠くない時點でレベルアップできるだろう。

それはより早い依頼達に繋がる筈だ。

達には是非がんばって頂きたい。

西の森、その西の端にはどうしても進めなくなる場所があるのだと言う。

そんな場所に到達していた。

かつて師匠の家から北へと進むと斷崖のようになっていて進めなかったが、ここは違う。

真っ直ぐ進んでいくとなぜか戻ってしまう場所なのだと聞いた。

そこは緑の回廊だった。

明らかに通路の様相であり、ここを通れと言わんばかりである。

でも通れない。

元に戻ってしまうようなのだ。

そして何度かトライしてみた結果、頭上に人魂のようなものが浮かんでいた。

《汝はまだここを通過する資格なし、早々に立ち去るべし》

インフォのような形で聲が聞こえてきていた。

何かが足りない。

資格を得てから出直せって事か。

「ここは通れそうもないですね」

「戻りますか?」

「まあ仕方がないな」

ここは素直に戻っておこう。

レギアスの村の方向に戻りながら狩りを続行する。

途中、獲が途切れそうになる場面があったのでコール・モンスターも2度使っている。

土魔法呪文のダウジングで黒曜石はさほど拾えなかった。

だが傷塞草はそこそこ見つけてある。

しHPバーが削れる場面も多々あったが、それもポーションでカバー出來る範囲に収まっている。

収支で言えば大きく黒字と見るべきだろう。

大きく遠回りをしながら狩りを続けたので、レギアスの村に著いたのは夕刻となっていた。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv5

職業 サモナー(召喚師)Lv4

ボーナスポイント殘17

セットスキル

杖Lv4 打撃Lv2 蹴りLv2 関節技Lv3 投げ技Lv3

回避Lv3 けLv2 召喚魔法Lv5

魔法Lv2 風魔法Lv3 土魔法Lv2 水魔法Lv3

火魔法Lv1 闇魔法Lv1

錬金Lv3 薬師Lv2 ガラス工Lv3

連攜Lv5 鑑定Lv4 識別Lv4 耐寒Lv2 摑みLv3

Lv4 作Lv3 跳躍Lv1 耐暑Lv3

裝備 カヤのロッド 野兎の當て+シリーズ 雪猿の腕カバー

野生馬のブーツ+ 雪猿の革兜 背負袋

アイテムボックス×2

所持アイテム 剝ぎ取りナイフ

稱號 老召喚師の弟子(仮)、家畜の守護者

召喚モンスター

ヴォルフ ウルフLv4

殘月 ホースLv3 お休み

ヘリックス ホークLv3 お休み

黒曜 フクロウLv3

同行者

アデル&みーちゃん

イリーナ&トグロ

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