《サモナーさんが行く》30

レギアスの村のフィーナさんの店でアイテムを売り払って再度森の中へと狩りに向かう。

ここからがまた大変だ。

イビルアントが主な討伐対象になる訳なんだが。

生理的にけ付けるかどうか。

アレに何匹か同時に迫られるとオレも気悪くなる事があるのだ。

大丈夫かね?

結論としては割と大丈夫でした。

なんか空振りがある。

意外といけるものだ。

それなのにの子はGが相手になると過剰に怖がりますよね?

GですよG。

害蟲の中でも悪名高きGですよ。

目の前にいるイビルアントとどう違うのかと。

イビルアントの頭を捻りながらそんな事を考えてました。

無論、アリに集られない様に注意を払いながらである。

一応、手抜きという訳ではないが、アリが仲間を呼び寄せるだけの猶予を與えながら戦っている。

戦闘経験を積むには実に都合のいい相手だ。

コール・モンスターを使わなくても勝手に寄ってきてくれるので楽なのだ。

おっと。

ちょっと數が多くなってきたので倒すペースをし上げておくか。

別に彼達に嫌がらせをしたい訳ではない。

見極めたい所は他にあったのだ。

イビルアント相手に弓矢で戦うには相が悪いんじゃね?と思っていたのが一つ。

これは半分當たっていて半分外れていた。

貫通力の高い邪蟻の矢だとしっかりダメージが通るのだ。

ただ他の矢だと弾かれる事が多々ある。

まあアリの裝甲はなかなか優秀だし仕方がないか。

黒曜石の矢は見た目で効果が分からないが、ちゃんとダメージが通っているようである。

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そしてもう一つ。

長時間の戦闘ともなると矢の數が足りなくなるんじゃね?と思ったのだ。

矢筒に矢がなくなったら彼達がどういう反応を示すだろうか。

そういった狀況を今後も想定してくれたらいいだろうと機會を作ったつもりだったんだが。

ある意味杞憂でした。

アリの死に刺さった矢を引き抜いて使ってました。

そりゃそうだ。

まあそうしますよね。

サブウェポンが必要と判斷するかどうかは彼達自が考える事だ、オレが強制していいものでもあるまい。

おっと。

今度は倒しすぎて全滅しそうになってる。

適當に打撃と蹴りでアリの相手をしてやる。

ところでこのアリなんだががデカい割りに実に軽いのだ。

打撃でも蹴りでも簡単に吹っ飛びはするのだが、大してHPバーは減らないのである。

表面の甲は軽くて丈夫だ。

オレの裝備のあちこちに使ってあるのもそのためなんだが。

従ってこのアリを倒す最も効率のいい戦い方が頭を捻ってから引き抜く作業になる。

なんかそれだけだと蕓がないな、と思い始めていた。

何も考えない作業みたいになっていていけない。

そこで差法を試してみた。

簡単に言えば膝に乗っけた攻撃対象に肘を叩き込むじである。

実際にはほぼ同時のタイミングで肘と膝で挾み込んで攻撃を加える事になるのだ。

差法。

流派によって様々な呼び名がある技だ。

オレの場合は絶道という隠語で覚えた技になる。

うちの爺様曰く、奧義ともなると砕くも折るも自由自在にできるそうな。

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タックルを仕掛けてきた相手に対してカウンターで使うと有効とも聞く。

無論、頭に対して使うのである。

普通に死ねます。

當然だが人間相手に実際に使った事はない。

怖くてとても使えたものではないからだ。

當然オレが覚えているのは型だけになる。

元々、肘打ちも膝蹴りも威力が高く、殺傷能力もそれなりに高いものだ。

それを両方使って互いに威力が増すようにぶつけるのだから破壊力があって當たり前である。

その分、失敗したら恥ずかしい事になりそうだけどね!

このアリが相手なら容赦なく使う事ができる。

で、差法を試してみたらアッサリと功した。

一撃で頭とを分斷していた。

なにこれ、楽でいいじゃん。

最初はそう思ってました。

2度目と3度目は失敗した。

どうも砕くイメージだと上手くいかないのですよ。

そこで折るイメージでやってみる。

肘と膝の打突位置を僅かにずらして當てるのだ。

一瞬の合間に梃子の原理が働くから折れる。

理系脳で理解するならばそういう事になるかな?

次々と試してみた所、徐々に一撃で決まるようになっていった。

なんだか気持ちいい。

超絶気持ちいい。

そして楽しかった。

何しろ他のメンバーの戦いぶりも心配がないのである。

そりゃダメージをける事もある。

3割ほどにHPバーが減ったあたりでオレがウィンド・ヒールを使ってやるようにしていた。

アクア・ヒールと比べても屆く範囲が広くて使い勝手がいいのだ。

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パーティメンバーでなら制限はないのだが『ユニオン』だと使用範囲が狹まるようである。

でもウィンド・ヒールは有効範囲が広い分、安心して使えている。

支援は大切だな。

アリに対する排除能力が意外に高いのでアリが全滅しないように調整する方が大変でした。

特に虎のみーちゃんが強いのですよ。

下手するとアリの頭を一撃で噛み砕いちゃうし。

どれだけ戦い続けていただろうか。

一応、タイムスタンプを押してあった。

戦い続けて30分といった所になっている。

フィジカルエンチャント・ファイアとアースも2回目でそろそろ効力が切れる頃だ。

さすがにここまで戦い通しなのは厳しいだろうから一回全滅させておこう。

意図して手抜きさせていたヴォルフと黒曜に全力排除を通達しておき、オレも本気でアリと戦うことにする。

10匹ほどいたアリはあっという間に排除できていた。

《只今の戦闘勝利で【打撃】がレベルアップしました!》

《只今の戦闘勝利で【蹴り】がレベルアップしました!》

さすがにこれだけ使いまくっていたらレベルアップもしますよね。

でも武技は覚えないのか。

そこはちょっと悲しい。

「じゃあ分擔してアイテムを剝ごうか。矢も回収しておこう」

「す、済みません。し時間いいですか?」

「アデルちゃんもレベルアップしてた?」

「うん、イリーナちゃんも?」

「ええ」

「ゆっくりしてていいぞ」

まああれだけ狩ったらレベルアップもするよな。

アリは集られたらどうしようもなくなって詰む可能が高いけどこういったメリットもある。

今のはいいじでした。

無限増技って素敵。

「あ、みーちゃんもレベルアップしてる!」

「トグロもレベルアップしてるわ」

二人とも互いの顔を呆然と見合っている。

その視線が同時にオレを見た。

「手早く、な」

「「は、はい!」」

さすがに疲れたかな?

達のMPバーは半分をし割り込んでいる。

まだレベルが低いのだから無理もない。

でも彼達の顔は明るかった。

まあこれが楽しいんだし當たり前か。

「終わりました!」

「こっちもです」

「そうか。ところで召喚魔法はレベルアップしたかな?」

「あ、はい。してます」

「こっちもです」

「じゃあもう1匹召喚できるようになったか。同時召喚はまだ先だが」

「「はい!」」

うん、嬉しそうな表だな。

正直で宜しい。

「何を新しく召喚するかは今日ログアウト前に互いに相談して決めておいてしい」

「「はい!」」

「明日の朝に私の目の前で召喚して貰おうかな?」

「「分かりました!」」

「じゃあアイテムを剝いで行こう」

そう、結構な數のアリの死があちこちに散しているのだ。

手分けしていかないと時間がかかりすぎるからな。

ヴォルフ達に周囲を警戒させながらアイテムを剝いで行く。

果たして何匹狩ったのか。

概ねイビルアントは針を落とす事が分かっている。針の數イコール倒した數と思えばいい。

アデルとイリーナとオレとで次々と剝いで行くのだが、結構時間がかかった。

三人で集めたアイテムを數えてみる。

175本の針に102個の甲がとれていた。

十分過ぎる果だろう。

それにしても1分間で6匹弱のペースで狩り続けていたのか。

効率良過ぎだろう。

針を束ねて甲は重ねて背負い袋に放り込んだ。

數は多いが軽いので楽でいい。

裝備をいくつか買い與えるのに十分な原資になってくれるだろう。

ようやく一段落がついた所で二人が話し込もうとしていた。

早速相談しようかって勢いのお二人さんですが。

まだ狩りの途中ですよ?

「こらこら。相談はレギアスに戻ってからだよ。まだ狩りの途中だし」

「え?まだ戻らないんですか?」

「もう一狩りいってみようか?」

「「ええー??」」

「大丈夫。回復アイテムもあるからな」

全員分のダメージはポーションで全快にしておく。

空き瓶はリサイクルで。

ギルド厳命のお約束だからな!

「それに回復呪文もあるから心配するなって」

オレのMPバーも6割って所だ。

まだまだ宵の口ですが何か?

師匠ほどではないにせよスパルタで行こう。

「アリはもう十分ですけど」

「まあそう嫌わなくてもいいじゃない」

アリだって集られると厄介だが、今やいい相手になりつつある。

嫌わなくたっていいじゃないの。

いずれ喜んで狩るようになるかもしれないんだぜ?

結局、アリ100匹程度をもう2セット繰り返して今日の分の狩りを終えた。

最後の方では二人とも能面のような顔をしてたような気もする。

甘いよ。

ブラック企業の酷さはこんなものじゃ済まないのだから。

レギアスの村でアデルとイリーナが宿屋にるのを見送るとオレも師匠の家に戻ることにした。

まあ初日から々とあったものだ。

さすがに戦闘には飽いていたので、アリと遭遇しても仲間を呼び寄せる前に倒すようにした。

まあ彼達の気持ちも分からなくもないな。

妙に肩に力がりすぎてしまう。

さっさと倒したくなってるようだ。冷靜にならないといかん。

家に戻ると早速地下に向かう。

するとその途中でメッセージがあったようだ。

《フレンド登録者からメッセージがあります》

メッセージはサキからだった。

あれ?鞍の出來上がりは明日じゃなかったっけ?

『野暮用ができたので今日のうちに鞍を完させました。現はフィーナに預けてあります』

もう出來たんですか。

早過ぎると思うんですが。

添付された鑑定結果も見てみる。

【裝備アイテム:鞍】野生馬の鞍 品質C+ レア度3

重量3 耐久値120

野生馬の皮製の鞍。皮はらかく乗りやすい。芯地は換が可能で手れも簡単である。

※【馬】スキル+1判定、馬上行プラス判定微上昇、馬上行マイナス判定微軽減

ほう、これは有難い。

今では馬スキルが上がってきているおかげでフィジカルエンチャント・アクアなしでも乗馬には問題はない。

でも乗馬戦闘ともなるとファンブルが起き易いので使っていないとまだ厳しいのが現狀だ。

それが僅かながらも助かりそうである。

お禮のメッセージを返信しておいて就寢前の一仕事だ。

消費したポーションを補充しておく。

まだMPバーは半分をし割り込んだ程度なのでさっさと錬金を使って終わらせておきたい。

さすがにし眠かった。

空き瓶は16本あった。

殘っていたポーションは7本になっている。

人數が増えると結構使ってしまうようだ。

自前で調達できるのだからあまり気にしないせいかも知れない。

おっと、作を済ませておこう。

水魔法のリキッド・ウォーターで水を満たす。

一回に作するポーションは6本分、傷塞草は3本を使って短再現を使った。

全て品質Cだ。

さらにもう1回行う。

全て品質Cである。

安定してるな。

殘りポーション4本分もついでに短再現を使った。

品質C+が4本となった。まあまあだな。

最後に傷塞草の殘骸を集めて回復丸を作する。

これまでに溜まっていた分と合わせて短再現で2個分を作できた。

《これまでの行経験で【薬師】がレベルアップしました!》

ん?

錬金しか使ってないけど薬師がレベルアップしてしまった。

錬金を通じてではあるがポーション作のスキルを使っているものと見做しているのだろうか。

なんか不思議だ。

明日に向けて荷を整理していく。

ちょっと売りが多い。

それで何かしらいい裝備を買えるようならいいんだが、邪蟻の針も甲もそう高く売れるものではない。

ゴボウは問題外だ。

まあ売れないよりははるかにマシだ。

あと呪文の確認でもしておくか。

共通呪文も覚えていたっけ。

ディスペル・マジック、エンチャンテッド・ウェポン、キーロック、アンロックの4つだ。

ディスペル・マジックは魔法の効果を打ち消す呪文だ。

永続的な魔法がかかっているマジック・アイテムには通じないようだが。

ただ汎用は高いのは間違いないだろう。

エンチャンテッド・ウェポンは一時的に裝備している武に無屬の魔法をかける呪文だ。

攻撃力や防力が上がる訳ではない。

だが、魔法しか通じない魔にダメージを與えたり、魔法によるダメージの抵抗判定にプラスがあるようだ。

キーロックは扉や窓を魔法で封印する呪文だ。

なんと永続があり、ディスペル・マジックが通じない。

これを解除するのがアンロックの呪文だ。

但し高位の者がかけたキーロックを解除できない場合もあるようだ。

再度挑戦するには種族レベルがアップするまで不可能とか厳しすぎる。

キーロック、アンロックはあまり使いそうにないが、他の2つの呪文は出番があるだろう。

忘れないように呪文リストを編集しておいた。

そしてオレにも最後のお楽しみがある。

今日は朝の時點で召喚魔法がレベルアップしている。

5匹目の召喚モンスターを今日のうちに決めておきたい。

とはいえ、前々から何にするかは決めてあった。

いずれは同時召喚は3匹になるだろう。

晝3匹、夜3匹で候補を挙げていくと、その両方で活躍できるのは狼のヴォルフになる。

晝の3匹は既に十分な戦力が手元にある。

馬の殘月、鷹のヘリックス、狼のヴォルフでいけるだろう。

だが夜となると足りない。

馬の殘月、鷹のヘリックスでは相が悪すぎる。

夜に特化した召喚モンスターにすると決めてあった。

本命はバットだ。

しかし召喚モンスターのリストを眺めると悩んでしまうのも事実だ。

何しろ候補が増えているし。

新規召喚リストを呼び出してみる。

ウルフ

ホース

ホーク

フクロウ

ウッドパペット

バット

ウッドゴーレム

ビーストエイプ

赤狐

タイガー

バイパー

虎と蛇の戦い振りは今日直に見たとおりだ。

どちらもなかなかの魅力がある。

まずは説明を確認しておこうか。

【タイガー】召喚モンスター 戦闘位置:地上

虎。主な攻撃手段は噛み付き。

攻撃力に優れ、晝夜を問わず活躍できる猛獣。

【バイパー】召喚モンスター 戦闘位置:地上

蛇。主な攻撃手段は噛み付きと締め上げ。

は無音に近く奇襲力が高い。晝夜を問わず活躍できるが寒さは苦手。

うむ、予想通りだな。

バットにしようと心に決めていたのに揺らいでしまいそうだ。

だがここは初志貫徹、新たな召喚モンスターはバットにしよう。

早速、召喚してみよう。

ヴォルフと黒曜を帰還させて新たに召喚できるようにしておく。

召喚モンスターのリスト5行目の空欄を指定して召喚する。

候補が並ぶ中からバットを選択した。

「サモン・モンスター!」

地面に描かれた魔方陣の中にコウモリが出現する。

オレのMPバーはかなり減っているのだが、問題なく召喚できた。

コウモリの様子はどうか。

近くで見るとネズミのような風貌にも見えるが、口からはみ出ている牙は剣呑な雰囲気を生んでいた。

はヘリックスや黒曜よりも明らかに小さい。

翼を広げて飛び立つとオレの腕カバーに摑まるようにして止まった。

翼は実に大きくて薄くとなっている。

は艶消しの黒といった所だろう。

そうそう、名前も付けておかないとな。

召喚モンスター

ジーン バットLv1

用値 15

敏捷値 17

知力値 11

筋力値 8

生命力 8

神力 10

スキル

噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 吸

ステータスは総合的に見てこれまでの召喚モンスターに比べたら低めだと思う。

だが注目點はスキルの方だ。

反響定位に吸って。

説明を見ると、指向高周波による生レーダーと理解した。

そして吸なんだが。

相手は選ぶものの、を吸う事でHPの回復をするのと同時にダメージも與えるものらしい。

怖いって。

狂犬病でも拾ってきたら困るんだが大丈夫だよね?

なんにせよステータスの低さが気にはなるが、その分はスキルでカバーできそうである。

これは明日以降も楽しみだ。

コウモリのジーンを帰還させるとベッドのある部屋に戻って就寢する。

そのまま速攻でログアウトした。

主人公 キース

種族 人間 男 種族Lv5

職業 サモナー(召喚師)Lv4

ボーナスポイント殘17

セットスキル

杖Lv4 打撃Lv3(↑1)蹴りLv3(↑1)関節技Lv3 投げ技Lv3

回避Lv3 けLv2 召喚魔法Lv5

魔法Lv2 風魔法Lv3 土魔法Lv2 水魔法Lv3

火魔法Lv1 闇魔法Lv1

錬金Lv3 薬師Lv3(↑1)ガラス工Lv3

連攜Lv5 鑑定Lv4 識別Lv4 耐寒Lv2 摑みLv3

Lv4 作Lv3 跳躍Lv1 耐暑Lv3

裝備 カヤのロッド 野兎の當て+シリーズ 雪猿の腕カバー

野生馬のブーツ+ 雪猿の革兜 背負袋

アイテムボックス×2

所持アイテム 剝ぎ取りナイフ

稱號 老召喚師の弟子(仮)、家畜の守護者

召喚モンスター

ヴォルフ ウルフLv4

殘月 ホースLv3 お休み

ヘリックス ホークLv3 お休み

黒曜 フクロウLv3

ジーン バットLv1(New!)

用値 15

敏捷値 17

知力値 11

筋力値 8

生命力 8

神力 10

スキル

噛付き 飛翔 反響定位 回避 奇襲 吸

同行者

アデル&みーちゃん

イリーナ&トグロ

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