《サモナーさんが行く》1290 蛇足の蛇足3 深く暗き迷宮にて

オイラの名はヘイフリック。

バンパイアデューク、即ち吸鬼の頂點。

真祖たるバンパイアがどこかにいるかもしれないッスけどね!

オイラは見た事がないッス。

だから頂點。

短時間だが真祖に匹敵する力量を発揮する事も可能。

どうだ、凄いだろ?

怖いだろ!

な?

なっ!

だからオイラを敬えっての!

でも目の前で待機する召喚モンスター達はどこか無反応。

ヒョードル様、ゼータ様、ヘラクレイオス様、それぞれの配下だ。

今、取り込み中?

いや、これから大変になる?

それもそうッスね。

確かに休憩は出來ないみたいッス。

「これで終わり?」

「いや、まだだ! ヒョードル、跳べるか?」

「ダメだ!」

「次の援軍が來てるのか? 既に捕捉されてる?」

「どっちから來る?」

「まだ分からない!」

「これってやっぱり百鬼夜行?」

「なら北東から南西に抜けるルートだ!」

ヒョードル様が慌てておられる。

ヘラクレイオス様もだがゼータ様にも余裕は見えない。

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あの、全然余裕ッス。

マスターだったらここは爽やかに笑ってます。

まあマスターの場合は窮地に陥ってからが本領発揮ですがね。

その時の笑顔はもうね、格別。

本當に格別。

野獣の闘爭本能を剝き出しにした、そんな笑顔。

凄まれたらどうなると思います?

その場で死にたくなりますから。

いえ、オイラは最初から死んでるようなもんですがね。

アンデッドなんで。

それでも怖がったりもしますから。

百鬼夜行?

それは怖くはございやせん。

もっと怖い存在が他にありやすんで。

「ッ!?」

後頭部を叩かれた。

オイラは髪型に拘りがあるんスよ。

分かってるくせに。

毎度の事ながらテロメア姐さんが酷い。

いや姐さん、ちょっと待って。

そのハンマーはダメ。

ミョルニルはダメだって!

そんなので後頭部を毆られたら死ぬから!

え?

もう死んでるからいいだろうって?

姐さん、そんなご無な!

あ、目が本気だ!

はい、やります。

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今すぐやります。

消耗が酷くなるけどやらせて頂きます!

だから姐さんも手伝ってしいッス!

オイラの切り札は真祖化に死霊生

その両方を使う。

真祖化によってオイラの能力は飛躍的に上昇する。

多分、倍以上?

そして死霊生によるアンデッド化。

素材は倒したばかりの魔達。

事切れていても死が殘っているうちなら大丈夫。

ただこれ、消耗も半端ないッスけど。

普通なら戦闘中に適當な死をアンデッドにする。

でも今はしでも戦力を揃えていた方がいいッスよね、姐さん?

ヒョードル様、ゼータ様は既に切り札を使ってしまわれた。

エルフの切り札、霊召喚は當面使えない。

消耗も目に見えてある。

マナポーションで補えきれない筈ッス。

そしてこれから襲ってくるのは、鬼達。

あいつら、大部分がタフなんスよ。

中には面倒な能力持ちもいるし。

長期戦は必至。

ヒョードル様達はマスターと違い堅実な戦い方を好まれるし。

まあオイラとしてみたら適當な奴からを吸えたらいいッスけど。

オイラの周囲に立ち上がるアンデッド達。

んな魔がいたけどいずれもゾンビにしときやした!

スケルトンの方が使い勝手はいいですゾンビの方がタフなんで。

ミストだと理攻撃が過しやすんで壁役になりやせんし。

あ、三ほどスペクターにしときましたけどいいッスか?

テロメア姐さんを見る。

あ、切り札を使いましたね?

普段からおっかない姐さんがもっとおっかなくなってる!

オイラの死霊生には弱點がある。

アンデッド達は敵味方関係なく暴れるだけなんスよ。

敵ばかりか味方も混させてしまう危険があるんス。

そこでテロメア姐さんの出番!

死霊作って切り札でしてね。

アンデッドを自在にる能力なんス。

しかも複數!

ただ姐さんのこの能力にも弱點があるんス。

複數のアンデッドをれるけどその數には限界がありましてね。

強力な奴が相手だとそんなに多くれません。

強力すぎる奴だとれない事もありやす。

だから真祖化も併用するのが常でして。

當然、消耗が伴いやす。

の中には複數の魔をアンデッド化、しかもる奴もいますがね?

オイラと姐さんには出來やせん。

多分、真祖たるバイパイアには可能な気がしやす。

いずれ姐さんもオイラも出來るようになるんスかね?

そうなればなったで寂しい気もしやすが。

アンデッド達が壁を築く。

百鬼夜行は広間のどっちの方向から來る?

ああ、北東とか言ってやしたっけ。

テロメア姐さん、仕事が早いッス!

しかも死霊結界の縁を死守する構え!

今回、マスターの厚意で同行している召魔の森の戦力は?

バンパイアダッチェスのテロメア姐さん。

スペクターロードの赤星兄貴。

ファントムのモスリン兄貴。

スカルロードの湊川。

スカルアサシンの石津。

スカルウィザードの関戸。

ここまでアンデッド軍団。

理由は単純、デスカーディナルのヘラクレイオス様と相がいいから。

で、スカルウィザードの関戸ですがね?

その切り札はアンデッドを強化する結界でしてね。

死霊結界。

ヘラクレイオス様配下のアンデッドにも有効!

勿論、オイラが死霊生でアンデッド化した連中にも有効!

能力の底上げはそう大きくないですが長時間有効!

だから結界で堅実に戦えば大抵の魔に勝てる!

そう言いたい所ですがね?

には限度って奴がありやす。

アンデッドだと相が悪い魔がいたりしやすんで。

それはアンデッド。

そして強力すぎる魔はどれも危険!

オイラ達アンデッドをも完全破壊しかねない奴でしてね?

この窟にはウヨウヨしてますんで。

だから同行する戦力はオイラ達アンデッドだけじゃないんス。

ゴールデンバットのフローリン姐さん。

アラクネダッチェスのモジュラス姐さん。

白蛇姫の清姫姐さん。

クローンサーヴァントのスーラジ姐さん。

ゴールドシープのパティオ。

流石はマスター、支援を重視した戦力ですね!

あ、スーラジ姐さんは料理番で來てるんでしたっけ?

いや、ちゃんと得を持ってる。

おかしいでやすね。

何で弓矢じゃなくてハンマーを持ってますんで?

スーラジ姐さん、後衛じゃないんですかい?

あ、前衛が足りない様子なのでハンマーですか、そうですか。

しかもそれ、ミョルニルですかい!

それに鬼を撲殺出來る機會はそう多くないから?

姐さん、マスターの薫陶が行き屆いてやすね。

鬼の皆さん、ご愁傷様。

「來たぞ!」

が來た。

やはり鬼だ!

とんでもない數だがそれでこその百鬼夜行。

ただ問題があるとしたら?

オイラとテロメア姐さんに吸する暇があるかどうか。

いや、戦いながらは吸えますけどね?

やっぱ攻撃の手數が減っちゃうんで。

を屠る機會は出來るだけ多い方がいいんで。

あ、赤星の兄貴!

また獨斷専行して突進してるし!

スペクターロードの赤星兄貴は強力なアンデッドだ。

その切り札は雲散霧消。

一時的にモスリンの兄貴のようにミスト化、実がなくなる。

その間は理攻撃をけ付けない。

過させてしまう!

魔法攻撃は有効なんで萬全とは言えませんがね?

百鬼夜行の鬼達、その大部分には有効。

とんでもなく有効!

だから単獨で突っ込んでも問題にならない。

敵を混させる効果も期待していい。

その赤星兄貴の頭上を飛び越えてモスリン兄貴が先行する!

このモスリン兄貴も理攻撃は過してしまう。

しかも常時、過させちゃう。

そして影の中に潛んだり短距離をテレポートなんて事もする!

魔法攻撃も強力で魔から々と吸い上げて厄介この上ない。

何よりも攻撃の手數が多い。

とんでもなく速いんス!

オイラが一回攻撃してる間に二回か三回、攻撃してるし!

ファントムの知り合いもそれなりの數がいやすがね?

モスリン兄貴は別格に速いッス!

味方で本當に良かった。

テロメア姐さんが石津を従えて前に出る。

あ、オイラも?

関戸の死霊結界の外になりやすけど?

ああ、先手必勝ですかい。

それに消耗してるからが吸いたい、と。

了解ッス。

異議はないッス!

広間に炎!

鬼の何かが宙吊りになってる。

モジュラス姐さん達も暴れてやす。

あ、焼死はマズいッス!

が!

焼死だとが吸えなくなるッスよ!

オイラも急がないと!

「ヒョードル、ゼータ、平気か?」

「か、かなりキツかった」

霊召喚が使えなかったのは痛かったな」

「どうにか勝てたけどね」

「キースさんのご厚意で戦力を借りてなかったら?」

「この広間に到達する前に全滅してたね」

どうやらヒョードル様達は大丈夫?

大丈夫ッスね。

大丈夫じゃないのはオイラの髪型の方ッス!

適當に糊を使ってセット。

手櫛で髪をでつける。

部は各所に鏡面のような壁があるんス。

オイラはアンデッドだけど鏡に姿が映ってくれる。

ありがたい。

そしてそんなオイラのい行は既にお馴染みらしいッス。

誰もこっちを見ていない、な?

鏡と化した地面の一角。

指で軽く、何度か叩く。

浮き上がるように小さな影が出現。

玄亀翁だ。

今日は十數いる!

玄亀翁達は土霊でここの管理人みたいなものなんス。

ノームにノッカー、スピリットモール、ストーンコロッサス達を従えている。

しかもあのマスターを一方的に毆るという猛者でもある!

正直、尊敬してるッス!

オイラ達召喚モンスターもアイテムを拾う事がある。

マスターのように頻繁じゃないけど、ある。

マスターと同行しているならまとめて回収して貰うだけでいい。

マスターがいない場合は?

手間だけど持ち帰る他にない。

今日の場合はヒョードル様達に渡してもいいけどそれも面倒。

だからオイラは玄亀翁達に渡す。

ま、召魔の森の限定ですがね。

あ、いつものこのキラキラした寶石みたいなのでいいッスか?

全員に一つ渡せたら良かったんですがね。

いや、いいって?

そう言って貰えると助かるッス。

あ、ヴォルフ団長には緒でお願いします!

「こないだマッピングした時からまた拡張されてたね」

「キースさん、また拠點の強化したのかな?」

「多分」

「いや、本當に際限ないね」

「だから挑む価値もあるんじゃない?」

「ここは愚者の石版で中継ポータル化しといたよ!」

「了解、ヒョードル」

「で、どうする? この広間から未踏の経路が更に二つあるけど」

「ログアウトするにはまだ早いけど撤退しよう」

霊召喚もまだ使えないしねー」

どうやら今日はここまで、かな?

あ、玄亀翁の皆さん。

また機會があれば來ますんで。

超兄貴のノッカーさん達にも宜しくお伝え下さい。

勿論、他の土霊の皆さんにも宜しく!

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