《サモナーさんが行く》1299 蛇足の蛇足12 活路

海を見ていた。

水平線の先に北米大陸が見える。

・・・

ここはかつて、パナマ運河があった。

パナマ海峽とも呼ばれていた訳だが・・・

今は完全に海峽となった。

大型船の運航は完全に可能となっている。

目出度い。

そう思っておこう。

同時に北米大陸と南米大陸が陸続きでなくなった訳で・・・

陸上運送には大いに支障が出てしまう、かな?

まあその需要が今の世界にあるかどうか。

深く考えないようにしよう。

・・・手持ちの兵裝を確認。

弾に細工した力ユニットは殘り二つ。

かなり減ってしまった!

空間歪曲砲を十回以上使っているから義力ユニットは換裝。

この力ユニットは反弾に転用する予定だ。

予備の力ユニットはまだ二つある。

継続戦闘は十分に可能だ。

誰かさんの手で要塞と化していたパナマ運河だが、文字通り消滅している。

空間歪曲砲、それに反弾は惜しみなく使わせて貰った。

オレは単であり敵の戦力は膨大だったからだ。

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いや、違うな。

戦っても退屈なだけの面倒な相手と延々戦う趣味はない。

ガラクタの処理は?

殆ど殘らなかった。

まあいい。

戦果は十分に得ている。

それは様々な報だ。

膨大だが問題ない。

時間を掛けて査するだけだ。

ただ優先して時系列で戦況の推移を確認してある。

朗報ならあった。

人類はまだ滅亡していない。

悲報もあった。

人類は滅亡しかかっている。

運営は序盤、各國の中樞を破壊する事を優先していた。

続けて発電所や水道などのライフライン。

港灣や駅といった流拠點。

それで一旦、攻勢を止めている。

そこから先は?

人類は自らの手で滅亡に向かっていた。

限られた資源を巡って互いに爭ったからだ。

運営の報収集を信用するならば、急速に人口が減っている。

人口が集している所では特に顕著だ。

中國やインドは勿論、大変な事になっていただろう。

アメリカでは民間人も武裝していた。

壯絶とも言える銃撃戦が各所で発生していたようだが・・・

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オレが立ち寄ったどの都市も確かに荒廃していて無殘であった。

恐らくは日本も然り。

アラスカを通過したついでに日本の様子も見に行けば良かった。

人類は滅亡していない、というのは運営の予測に過ぎない。

地球上の全ての狀況を把握していない、というのもあるだろう。

探査ロボットもある筈だが・・・

偵察衛星?

あるだろうな。

既存の各國の衛星も接収していておかしくないし。

攻撃衛星まであるようだ。

今回の戦闘で要塞が完全に破壊された後、衛星軌道上から狙撃されいる。

恐らくはレールガン、しかも反質弾頭。

死ぬかと思った。

まあこっちもレールガンを使って狙撃させて貰ったけどね。

勿論、反質弾頭を使わせて貰った。

この義に備わっている観測モジュールは優秀だ。

探査ロボットから手した奴だが、組み込むのに苦労した。

手済みだった探査ブローブを使ったが、試行錯誤の連続だった。

何しろ頭部に手を加えるのは初めてだったし。

だがその価値はあった。

狙撃が楽になっている。

・・・

まあ狙撃で終わってしまっては戦闘が面白くないけどな!

延々と一方的に攻撃される展開は願い下げだ。

さて、これからどうしようか?

當初の予定通り、南下してみるのもいい。

運営が何を建設しているのかはもう承知している。

軌道エレベーターだ。

但し完には程遠い。

破壊してもいいが、その意味は嫌がらせにしかならないな。

オレにとっても好ましくない。

何故ならば、運営の本拠地を叩く手段が減るからな。

そう、運営の本拠地はもう把握済みだ。

宇宙にいる。

しかも分散させている。

お互いがバックアップになるように配置している!

まあいいさ。

全部叩き潰す。

問題なのはその座標が固定していない事だ。

攻撃衛星や偵察衛星とは異なり防も完備だろう。

常時、學迷彩と停滯フィールドを展開していて當然だ。

今のオレのように。

・・・

ま、ここまで來たのだ。

軌道エレベーターの見だけしておこう。

場所は?

赤道直下、エクアドルの首都であるキトの近くの筈だ。

行ってみよう。

ガラクタを見ていた。

山の向こうに軌道エレベーターが見える。

・・・

どこかで見たような?

ああ、アレだな。

絵畫で見たバベルの塔だ。

途中までしか出來ていないから形狀が似ている。

戦闘ロボット達の戦い方が変わった。

完全に変わった。

一度も反質弾頭を使って來なかった。

連中は質量共鳴砲を多數揃えていたが問題ない。

一定時間、捕捉されなければいいのだ。

その理由は明白。

被害が軌道エレベーターに及ばないようにしている!

軌道エレベーターにはどうやら、停滯フィールドが備わっていない。

理由は不明。

建設を進めるのに不都合でもあるのだろう。

どうしようか?

オレの今の武裝で簡単に吹き飛ばせるが・・・

止めておこう。

報収集でもするか?

新たな報を得られる可能はある。

だが、優先して確認してみたい事があった。

既に完している軌道エレベーターがインドネシアにある。

スラウェシ島だ。

・・・

行ってみるか?

海路で行けたらいいのだが・・・

ホバー機能を全開にして海上を移は可能。

力源は問題ない。

問題があるとしたら、今の兵裝では海中からの攻撃に対応出來ない事だ。

狹い海峽であれば何度もやっているけど、攻撃は幾度かけている。

反撃手段が無いから避けるべきだ。

いや、反弾を使えば出來るか?

・・・

無茶は止そう。

地道に陸路を行くべきだ。

パナマ海峽が問題だが、アレはオレがやった事だしな。

れるしかない。

そうだ、ついでに日本の様子も見ておこう。

日本の首都、東京を見ていた。

いや、かつての首都、かな?

首都としての機能は完全に喪失している。

オレがいるのは高層ビルの屋上だ。

観察するなら高い場所からの方がいい。

・・・

観測モジュールが捉える映像は千差萬別だが共通點ならある。

人がいない。

見事な程にゴーストタウン化していた。

野良犬すらいない!

何が起きたのか?

東京に到著するまでに運営の報は査してあった。

政府機関は全て破壊し盡くされている。

それだけだ。

確かに他の建築に攻撃の痕跡は見られない。

どうやら運営はここ東京で何かを探索していたようだが・・・

それが何であるのかはまだ分からない。

それにしてもこの荒廃合、一何が?

・・・

想像は可能だが楽しい気分になれそうにない。

いや、待て!

観測モジュールのセンサーが何かを捉えた。

即座にズームしてみると?

のロボットが大通りの中央を疾駆しているようだ。

學迷彩を展開していない。

ま、あの速度では塵を撒き散らせてしまうから意味は無いが・・・

逃げているのか?

いや、違うな。

きを止めた。

そして幾つもの條が生じる。

信號弾、かな?

自らの位置を派手に知らせているようなものだ!

撃ち終えたからなのか、手にしていたライフルを地面に投げ捨てた。

背負っていた裝備もパージしてしまう。

兵裝は手にしているナイフだけのようだ。

・・・

これは、何だ?

挑発?

挑発、だよな?

運営からの挑戦狀とけ取ったが、いいのか?

接近戦を挑む、その理由は?

學迷彩の効果は相対的に効果が薄くなる。

風景に僅かながらも歪みが生じてしまうからだ。

特に移している際に顕著になる。

迷彩の効果が追従しきれなくなるからだ。

それ以上に停滯フィールドへの影響が大きい。

互いに干渉してしまい相殺してしまうからだ。

オレの場合はこの現象を利用して接近戦をしていた訳だが・・・

そもそも停滯フィールドとは何か?

報収集した結果ならある。

エントロピーの傾斜を極度に緩やかにするものであるらしい。

・・・

分からん。

こんなんで分かるか!

ただ、実地で使ってみて分かる事ならある。

萬能とも思える防手段だが萬全ではない。

レールガンで撃ち込まれた弾頭はフィールドでも相応の速度になる。

攻撃をけ続けていたら飽和する。

しながらだと効果が薄くなる傾向にある。

まあアレだ。

完璧な防手段などありはしないって事だ。

それよりもこの狀況、どうしたらいい?

・・・

いかんな。

笑いたいのに笑えない、この義が憎い。

笑い聲なら出せるけどな!

無表なロボットが笑っても不気味なだけだ。

さて、と。

久々に面白い展開が期待出來そうだ。

罠の可能は高い。

いや、間違いなく罠だと思うべきだ。

道路の下に反弾でもあったら灑落にならないしな!

それでもオレは行く。

理由ならある。

オレがオレらしくある為に避けては通れないからだ。

単にそれだけだ。

運営の思

知ったこっちゃない。

その思と共に潰す。

絶対に潰す。

潰したいから、潰す。

それだけだ。

人類の未來?

それも半ば、知ったこっちゃない。

オレが世界を救えるなんて、そこまで傲慢じゃない。

出來る事をやるだけだ。

それは戦う事。

戦い続ける事。

それだけなのだ。

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