《サモナーさんが行く》1301 蛇足の蛇足14 告知

高速道路には廃車が延々と放置されていた。

その多くが首都圏からの下り路線。

オレはホバー機能を使って空いている上り路線を高速移していた。

それなりに廃車が転がっているけど移を阻害する程じゃない。

右手には富士山が見えている。

左手には駿河灣。

昔と変わらない風景だが余計なをたまに見掛ける。

偵察ドローンだ。

しつつレールガンで狙撃している。

無論、オレの存在は気付かれるだろう。

學迷彩は敢えて使っていない。

だから寄越せ。

オレ好みの敵を寄越せ!

格闘戦仕様のロボットを!

それも複數、寄越すがいい!

富士山の風景が徐々に遠のく。

そして高速道路の両側に靜岡の市街地が見えた。

ここもか。

思っていた以上に破壊されていない。

ただ人がいる気配は皆無。

不気味な様相だ。

ここまで立ち寄ったどの場所もそうだった。

核が使用されたと思えるのは軍事基地に港灣施設、空港だ。

それも戦略核ではなく戦核だろう。

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破壊領域は限定的だったし広範囲に高い放能量を検出していない。

では、この有様は何だ?

住民は核が使用された、という報の伝播によりパニック狀態に陥ったのだろう。

そうとしか思えない。

核兵が使用された被國であるが故に核兵の使用には敏になる。

仕方ない事だ。

だからこそ戦略核を使わなかったのか?

パニック狀態に陥らせる事で被害の拡大を狙ったとしか思えない。

その割に市街地で強奪の跡がない。

・・・まあ一部では酷い有様だったけどな・・・

に警報。

また偵察ドローンか?

照準を合わせて拡大、やはり偵察ドローンだ。

ただ形狀が微妙に異なる。

・・・

何か余計なが見えるのだが。

白旗?

撃をせずに様子を見る。

ドローンはオレと併走する形で移し続ける。

取り敢えず無視。

するとドローンが旗を激しく振り始めた!

ああ、そうかい。

止まれって?

罠か?

罠だよな?

いいぞ、罠でも。

但しオレが満足するような戦力を寄越せ!

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頼んだぞ!

ホバー機能を停止。

周囲を索敵。

敵の気配は無し。

いや、學迷彩を使用して伏兵がいるんだよな?

そうだよな?

そうだと信じているぞ!

オレの目の前で偵察ドローンが停止。

そのドローンの真下に映像が浮かぶ。

どこかで見たような印象の男。

だらしない平服姿。

サングラスに顎髭。

そして軽薄な笑み。

・・・

ああ、あいつか。

久住だな?

「相変わらずだね、君は」

『お前もな、久住』

「キース、と呼べばいいのかな? こっちの世界なら本名がいいかい?」

『キースで構わん』

「そう。ところで最近の調子はどうだい? 楽しんでくれているかな?」

『アレはお前の差し金か?』

「進言したのは僕だけどね。実行した訳じゃない」

どうだか。

アレというのは昨今の戦闘の様相が変わった事だ。

ロボットに格闘戦を挑ませるというのはいいアイデアだった。

但し問い質したい點が幾つかある。

『ロボット共のきに見覚えがあると思ったがオレのきだったな』

「まあね。結構前から使ってたみたいだよ? 不満だった?」

『狂気が足りない』

「無茶な注文だねぇ」

『で、戦闘中に自させたのはお前のれ知恵か?』

「信じないと思うけど僕じゃないから!」

『ああ、信じられんな』

そう。

ロボットと一対一での格闘戦は東京からここまでの間に六度やっている。

東京で二度、橫田、橫須賀、座間、殿場だ。

問題は座間と殿場での戦闘だった。

ロボットは格闘戦を始めて程なく、力ユニットを自させやがった!

卑怯、とは思わなかった。

寧ろ敵を排除するにはいいアイデアだと思ったものだが・・・

不満なのは格闘戦を楽しめなかった事だ!

のダメージが殘るだけで何も得られなかった。

・・・

それでも格闘戦を挑まれたらやるけどな!

実際に座間で自に逢った後、殿場でもやったし。

前に速攻で毆りにいったけど果はあった。

力ユニットを自させる前兆が知れたからだ。

敵ロボットに急激な振が生じていたのは多分そうだろう。

停滯フィールドを全開にして退避したが、被害は座間程ではなかった。

だから今後も格闘戦を挑まれたらやる。

やりたいからやる。

ただ自前に力ユニットを破壊する手段は用意しておこう。

ガラクタ相手に実証済み、殘るは実戦だ!

『核を使ったか』

「ピンポイントでね。それで十分だと判斷したんでしょ?」

『実際に効果的だったようだな』

「まあね」

『世界中でこれをやったか』

「みたいだね」

『人類同士で殺し合う構図をお膳立てしたか』

「元々、殺し合ってたでしょ?」

『加速させたのはお前達だろうに』

「否定はしない。でもね、僕はノータッチだから!」

久住の笑みが消えて狼狽した様子を見せる。

どうだか。

こいつの態度は全面的に信じていない。

それは以前から変わらない。

「大ね、この地球上に人類は増えすぎたんだよ! 間引いたと考えたらどう?」

『剪定に選定。そう言いたいのか?』

「そう言うには手段が過激だけどね。否定はしない」

『やはりお前は運営の傀儡か』

「そう見えるだろうね。君は信じないと思うけど結構快適だよ?」

毆ってやりたいが映像相手では意味がない。

分かってる。

ただ腹立たしいのは事実だ。

映像相手に高周波ブレードで薙いでやる。

やはり無意味。

ただ意思表示にはなるだろう。

「で、本題なんだけどいいかい?」

『続けろ』

「この世界、剪定保留だったけど維持が決定したんだ」

『それで?』

「運営は手を引く。今後、君を襲う予定も無くなったよ」

『そうか』

「きっと君は不満だと思うけどね」

その通りだ。

戦ってこそオレには意味がある。

どの世界でもそれは変わらない。

ただこの義表現は難しかった。

久住にオレの思考を読み取られたみたいで気味が悪い。

それも不満だった。

「納得してくれる?」

『無理だな』

「だと思った!」

『運営に伝えるがいい。ケジメはつけさせて貰う』

「うん、そうするよ」

『お前も含めてだからそのつもりで』

「怖いね、君は。まあそれも承知してるよ」

『ところで人類は滅亡するのか?』

「どうだろうね。荒廃してはいるけど地球は殘るし」

『その上で放置か』

「世界そのものが消えるよりマシだって」

うん。

そう言うと思っていた。

腹立たしいが予想通り。

報収集を続けよう。

『運営拠點はそのまま殘るのか?』

「機材はね。ただ中はいずれ、もぬけの殻だから」

『それも確かめさせて貰う』

「ただ急がないとダメだよ? 君が戦えなくなるから」

そうか。

それは殘念。

久住を信じる信じないは別だ。

いずれにしても急いだ方がいいのは確実。

「だからこれは僕からのプレゼントだよ?」

『ほう?』

に警報。

しかも途切れない。

靜岡市街地の各所にロボット達が姿を見せる。

やはり罠か。

いや、この場合は謝すべきかな?

ロボット達は全て格闘戦仕様。

そうか。

確かにこいつは特上のプレゼントだ!

「じゃあ楽しんでねー」

『そうさせて貰う』

偵察ドローンが投影していた久住の姿が消える。

では、始めるか!

手にした高周波ブレードと電子銃を手放す。

背負っていたレールガンもパージしておく。

これでいい。

では運営め、見ているがいい。

ならさせない。

する様子を見せたら、即座に力ユニットを削り取ってやる!

手段ならある。

拳に停滯フィールドを集中させて毆ればいいのだ。

リスクは當然あるが楽しめたらそれでいい。

『キィャャャャャャャャャャャャャャャッ!』

やはりこの義の発聲はダメだな。

迫るロボット達の姿を見ながらオレはそんな事を考えていた。

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