《サモナーさんが行く》1305 蛇足の蛇足18 接

周囲にある機材の確認作業は報処理ユニットに一任。

無論、データのバックアップも同時進行だ。

これには時間が要るだろう。

オレは探査ブローブで久住の攜帯端末を作し中を確認した。

中にはやはり書。

いや、これは・・・

久住め。

ここにある機材も含めて大変な代を置き土産にしやがった!

・・・多分、數日が経過したと思う。

時間を気にしていられない狀況だった。

運営が現代に持ち込んだ數々のオーバーテクノロジー。

その出所は平行世界からだった。

久住曰く、數百年後の技ばかりだ。

報を一旦、査する手を止めてその一端を確かめてある。

ナノマシン群の量産設備がこの中継ステーションにはあった。

実際にナノマシンを製造してみたが、目に見えない。

うん。

見えないからナノマシンなんだけど!

このナノマシンも様々なタイプが存在した。

醫療用、製造用、探査用、改質用・・・

用途別に調整済みのナノマシンが用意されていた。

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この軌道エレベーターと中継ステーションもナノマシンが建築していた!

まるで魔法のようだ!

醫療用ナノマシンを用いて脳と脳幹のチェックを実行。

それに生命維持裝置も改質用ナノマシンでメンテナンス。

製造用ナノマシンで新たな生命維持裝置を作る。

オレの脳と脳幹は完全にリフレッシュ?

まあそういう事にしておこう。

ここまで使っていた義も新品同様になった。

・・・これを戦闘で使う日がいずれ來るかな?

無駄になるかもしれないが、一応備えておいた。

作業用ロボット達を駆使して様々な作業をこなしつつ久住の攜帯を眺める。

お前、本當は贖罪が出來たんじゃないか?

そう思うようになった。

ここは寶の山だ。

國家や企業に知れたら殺到するだろう。

中継ステーションに備わる反質製造設備だけでも必ずそうなる。

・・・國家も企業も今や地球上に存在しないけどな・・・

久住はオレが間に合わなかった、と言った。

確かに運営がここを立ち去ってしまい間に合っていない。

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だがここの機材や報が殘ったのは久住が抵抗したからだ。

処分を執拗に邪魔していた形跡があちこちに殘っていた。

・・・そうか。

もっとオレが早く、ここに來ていたら?

そう思わずにいられなかった。

最優先で進めるべき作業の進捗狀況を確認。

偵察ドローンの量産は順調。

但し用意すべき數が膨大に過ぎて當面は終わらないだろう。

そして改質用ナノマシンの量産も順調。

これは偵察ドローンに積んで各地の放能汚染地域に用いる。

土壌改善に役立つ筈だ。

これらに必要となる力ユニットも量産中。

これらも終わりが見えない。

・・・製造設備は増やせる。

実際に増やした。

ただ中継ステーションのスペースが足りないのが悩ましい!

今はオレの手足となる作業用ロボットも増やしつつある。

・・・久住、お前が言う仲間ってこれじゃないよな?

だから偵察ドローンの半分を用いて大事な作業をしていた。

生存者の捜索だ。

この荒廃した世界で、まだ生き殘っている人間を探した。

ロボットの自律行任せで遠隔作ですらないけどね・・・

同時に破棄されているロボット達から力ユニットも回収している。

危険だしな。

は頑丈で中の反質は安定して維持出來る筈だが萬全とは言えない。

さて、周囲にある機材の中に保留にしている代がある。

そろそろ確認しておこう。

バーチャルリアリティの端末。

久住が使っていた簡易タイプの奴だ。

アナザーリンク・サーガ・オンライン。

プログラムも當然、インストール済み。

サーバーは?

この中継ステーションに殘っていた。

稼働させたままにしてある。

・・・

ログインする余裕などなかった。

いや、遊んでいる暇などないと思っていた。

ただ、疲れた。

運営をこれ以上、追えないと知り後始末に追われている。

神的に、疲れていた。

・・・うん。

ちょっとだけ。

しだけなら、いいよね?

ログインしてみたいと思う。

それにこの所、戦闘がない。

まあ當然だな。

今や敵などいない。

いや、敵ならばいる。

久住、お前の言う通りだ。

復興という名の戦い、か。

難敵に間違いなかった。

『既に同じ生認証でログインされています』

・・・ログイン時にエラーが出た。

おかしい。

ログイン済み、だと?

誰が?

いや、生認証を用いている以上、オレ以外に考えられないのだが・・・

『メッセージが一件、屆いています』

何?

、誰から?

この荒廃した世界で、このゲームをやる。

そんな酔狂な奴がまだいるのか?

興味深い。

開封してみよう。

・・・え?

『ゲーム標準時間で明日の午前九時にログインされたし』

文面はこれだけだ。

差出人はジュナさん。

・・・

、どうやって?

疑問は確かにあった。

だがこれは格別な朗報だ!

時計を見る。

久し振りに時間を確認した。

・・・

こんなに日數が経過していたなんて!

そっちの方に驚いてしまった!

「・・・これは?」

翌日、指定された時間にログインしてみた。

エラーは出なかった。

そしてここはどこだ?

地面は鏡のよう。

天空は星空。

またか、と思ったがこれは凄いな。

しい。

天空に輝くのは幾つもの渦狀星雲。

互いにその輝きを競うかのようだ!

オレ自はどうか?

裝備はない。

平服姿で得は何も所持していなかった。

仮想ウィンドウでは全てのアイテムが表示されていない。

呪文リストも同様だ。

初期狀態?

そう思える。

かしてみる。

自在にく。

もちゃんと備わっているようだ。

足裏が冷たいし寒い。

それが妙に嬉しかったりする。

懐かしかった。

「來たわね」

「ッ?」

背後から聲が!

思わず距離を置いて構える。

だが、目の前に迫る笑顔。

ジュナさん?

「セイッ!」

左腕を取られた!

次の瞬間にはもう風景が反転している!

地面に叩き付けられた覚。

でもすぐにく。

右手で足首を払いに行った。

だがそこにはもう足首がない!

目の前に迫るのは謎の

いや、既に押しつけられた?

「いい反応だったわよ、キースちゃん!」

「・・・ッ!」

答えられない。

い、息も苦しい!

もう分かっている。

袈裟固めだ。

単なる袈裟固めだが押しつけられるがオレを苦しめている。

いや、心地よくさせている!

袈裟固めではなくおっぱい固めだよな、これ。

ジュナさんの背中を叩いてタップする。

抵抗は無意味。

このままでもいいかな、と思ってしまう所が恐ろしい!

「もう! しは抵抗しなさいな!」

「・・・しても無意味でしょう?」

「どっちのキースちゃんも面白くなーい!」

「・・・え?」

どっちのってどういう事?

だがその疑問に答える人がいた。

「・・・災難だったな」

「何ッ!」

見上げるとそこにあるのはオレの顔。

いや、オレが使っていたアバターの顔。

・・・

何で?

何でもう一人、オレがいるんだ?

「ジュナ様・・・」

「師匠、しは真剣に」

「もう! 軽く親子のスキンシップをしただけじゃない!」

「余計です!」

ジュナさんの頭をゲルタ婆さまが杖で小突いている。

ルグランさん、オレニュー師匠が呆れ顔を並べていた。

・・・

えっと、何で?

いや、待て。

看過出來ない奴がいる。

バカがいやがる!

「チェァァァァァァァァァァァァッ!」

跳ね起きるとそのまま魔神に迫る。

呪文も武技も使えない。

だからどうした!

一方でオレはしていた。

猿聲はこうでなきゃいけない!

「ッ?」

「シッ!」

橫合いから再び腕を取られた!

手繰られるがそのまま前へ。

腕を押し込みつつ膝裏を引っ掛けそのまま蹴り上げた!

「ムッ?」

「セイッ!」

躱された?

跳ね上がった腳をそのまま地面に叩き付け腰を落とす。

迎撃、あるのみ!

目前に迫るのは肘。

更に腰を落として右肩で腹にタックル!

いい覚だが、倒れない。

そのまま地面に転がってしまう。

いや、わざとだな?

相手の腳がオレの腰を挾み込んでいた。

ガードポジションの勢か!

誰が邪魔をしたのか?

言うまでもなかった。

もう一人のオレだ。

理由は知らない。

オレの姿を寫し取った人形なのかもしれないが・・・

いや、理由など要らない。

今は無かしていたかった。

腕を差し込んでロックされるのを防ぐ。

多分、足首を狙われている。

オレならそうするからだ!

「ッ!」

「フンッ!」

左足首を抱えられたが構わずく。

著したまま頭を抱え込んでフロントヘッドロックを狙う。

いや、ガードしてきた?

反応が、速い!

だが足首は極められずに済んだぞ?

互いに立ち上がって突き放す。

距離を置いて相手の姿を改めて確認。

そこにいるのはオレ自

間違いなく、オレ自の姿。

食獣の笑みを浮かべていた。

確信した。

こいつは姿を寫し取った人形ではあるまい。

・・・いや、待て。

唐突に爺さんの姿と重なってしまう。

嫌な事を思い出してしまった!

「「ハハハッ!」」

同時に聞こえる笑い聲。

誰が笑っていやがる?

それはオレ自だった。

いや、もう一人のオレも笑っていた。

いい笑顔だ。

狂気に駆られた出水兵児はこうでなければ!

オレもきっと同じ笑顔だ。

さて、己自とどう戦えばいい?

単純だった。

このままでいい。

ただ楽しめたらいい。

実際にいい気分になれていた!

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