《サモナーさんが行く》1307 蛇足の蛇足20 準備
本日更新1回目です。
中継ステーションから眺める地球は変わらずしかった。
心が洗われる、とはこんな気持ちなのだろう。
だからこそ思う。
いや、悩みが深くなっていた。
人類と地球はどうあるべきなのだろうか?
地球という揺り籠の中で人類だけが異の生命だと言える。
進んだ文明を築き上げ繁栄を謳歌してきた。
その一方で資源を費やしてきた。
これには環境汚染も伴っている。
無論、地球環境への配慮もあったが、地球に対して一方的な関係だった。
いずれ限界が來る。
その限界を科學技を用いて延命しようと足掻く構図だったのだと思う。
いや、それすらも唯の人類の自己満足に思えた。
誰もが手にしてしまった文明の利を手放す事など思ったりしない。
そして地球が痛みを訴える訳でもない。
意識されなくなって當然だ。
では、どうする?
人類と地球が一定の距離を置く。
これしかない。
そう思うようになった。
それには何が必要なのだろう?
答えは簡単だった。
人類の居住の地を地球以外に求めるしかない。
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現代の技では夢語だ。
だが、この中継ステーションにある技はこれを可能とするだろう。
持ち込まれた平行世界の技は優に數百年先を進んでいた。
この軌道エレベーターや反質製造設備だけではない。
技報の中にはスペースコロニーすらあったのだ。
宇宙を移する手段もある。
次元推進デバイスだが製造を可能にするにはもうし時間が要るだろう。
これらが実現した場合、地球圏の外、例えば火星にだって移住可能だ。
問題は資源になるが解決策ならある。
適當な小星をエサにしてナノマシンで再構築するだけでいい。
実際、平行世界でやっている手段だ。
この世界でも當然、可能だろう。
今はまだ、実行するには必要なが足りていないだけだ。
いずれ揃う事はもう確実。
時期をどれだけ早められるかが課題なだけだ。
その一方で危懼する事もある。
人類は地球から離れてはいけない。
いや、離れられないのだと。
地球こそ唯一の故郷。
その意識が希薄になるのはある意味危険だ。
何より勿ない。
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この景を眺めているとそう思うようになった。
まあ、これだって今は夢語だ。
人類が生き殘っている事が前提の夢語。
だから全力で探している。
生存者はどこにいるのか?
久住のした言葉を信じるなら、いるのだろう。
いや、いる筈だ。
希は捨てない。
捨ててはならない!
復興の下準備を進めつつオレは毎日、もう一人のオレに會っていた。
無論、現実世界の狀況を伝えるだけじゃない。
対戦もやっている。
・・・いや、対戦とヴォルフ達召喚モンスターに逢うのがメインだ。
気分転換、というかストレス発散だな。
ただ、不満がある。
オレ自との対戦で一つ負け越している!
筋バカの魔神には一度も勝てていない!
・・・クソがッ!
剣豪の英霊様を相手に稽古をつけて貰うのも日課になってる。
いいようにされているけどこれは腹も立たない。
こればかりは仕方ないと思う。
ああ、大事な変化もあった。
オレがアナザーリンク・サーガ・オンラインにログインした場合、その扱いが変わったのだ。
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召喚モンスター、レプリカント扱いになる。
武技や呪文は以前のまま使えるようになった。
但し例外があって召喚は出來ない。
・・・まあこれは仕方ない。
々と細工してくれたのはジュナさんだ。
謝しかない。
次に會ったらママと呼んでみようと思う。
うん、そうしよう。
もう一人のオレよ、見ているがいい。
神的なハードルを先に超えるのはこっちが先だ!
フィーナさん達に現実世界の現狀は伝えていない。
全く、伝えていない。
それでいいのだと思う。
ただ、このままでいいのかとも思う。
ジュナさんによれば、このままゲーム世界のNPCとして生きる事になると言う。
徐々に記憶が曖昧になる筈だ、とも言っていた。
いずれは現実世界の事も忘れ、ゲーム世界に同化するそうだが・・・
悲しい事だが現実を知るのとどちらが不幸なのだろう?
分からない。
オレには分からなかった。
もう一人のオレの場合はどうか。
やはりゲーム世界のNPCとして生きる事になるらしい。
但しジュナさん達と同じ立場だ。
フィーナさん達と扱いが違う、その理由は?
分かっていない、らしい。
ただ獨力であの黃金人形に辿り著いた者がそうなる、と推測されていた。
アナザーリンク・サーガ・オンラインではオレ以外にいたのだろうか?
ジュナさんでも今となっては分からないそうだ。
・・・出來ればオレの他に誰か、いてしい。
心の底からそう思う。
オレニュー師匠曰く、オレが極端に突っ走ったのがいけなかった、と言われた。
・・・オレが悪かったの?
正直そう思ったものだ。
師匠は灑落のつもりだったと思うが正座させられて説教になった。
無論、もう一人のオレも並んで説教をけた。
どちらも當事者なのだから分かる。
まあ仕方ない。
正直、現実世界の方は進捗狀況の確認だけで基本的に暇だ。
様々な作業をこなすのは人工知能に任せて十分だからな。
どこか召喚モンスター達を使役するのと似ている。
久重達、人形組とそう変わらない。
作業に用いる手段が違っているだけだ。
ナノマシンも併用していたりするからこっちの方が魔法みたいに見える。
但し最近、オレは暇じゃなくなった。
ジュナさんが提示した、積極的な手段。
その前準備をしている。
改めて久住の攜帯端末の報を査。
地球上にまだ殘っている様々な報の収拾と整理。
報ソースの大半が本だから取捨選択にやたらと時間を取られる。
迂遠だが仕方ない。
ただ押さえておく要點なら分かっている。
そう、分かっているだけに報が乏しいのが痛い。
・・・まあどうにかなる、かな?
何が最も重要なのか、既に分かっていた。
そしてその最重要な報はもう把握してある。
補足すべき報は幾らあってもいい。
萬全な準備は正直めないが、それでも出來る事はやっておきたい。
戦闘でもそうだ。
報を正確に把握しておくのは重要事項だ。
古典的だが孫子の兵法と同じだ。
彼を知り己を知れば百戦殆うからず。
・・・運営側の報は完全に把握出來ないからこれは違うな。
彼を知らずして己を知れば一勝一敗す。
これが一杯?
いずれにしても可能な限り、報は把握しておくべきだ。
・・・あ、ダメだ。
戦闘分が、足りない!
それにヴォルフ達、召喚モンスターをでたい!
いつもの時間よりちょっと早いけど、ログインしよう!
うん、そうしよう!
いや、待て。
脳に警報!
いや、この場合は朗報になる!
生存者が見付かったか?
・・・よりによって、このタイミングで?
いや、仕方ない。
この場合は喜ばしいが、正直に言って心が揺らぐ。
ただ優先順位を見失ってはいけない!
ログインするのは後回しだ。
一応、今日は行けそうにない事だけ連絡しておこう。
さあ、これから忙しくなるぞ!
最優先事項は生存者へ支援資を屆ける事。
話はそれからだ。
オレが使役するドローンやロボット達は警戒される筈。
慎重に事を進めなければならない。
そして仲間だ。
作業を手伝ってくれる人材がいてくれるといいんだが・・・
こればかりは時間を掛けて進めないといけない。
そう、ここからだ。
ここから、オレの戦いが本格的に始まる。
久住よ、見ているがいい。
そして運営もだ!
オレには負ける気など全くない。
勝つ。
いや、勝ち続けてみせる。
その上で灑落にならない反撃もしてみせよう。
家訓なのだ。
來る者は拒まず、迎撃せよ。
去る者は許さず、追撃せよ。
そしてこの続きがある。
総大將の首は獲れ。
そう、オレは単に家訓に従っているだけだ。
ただそれだけに過ぎないのだ!
『支援資を搬送中です。暫くお待ち下さい』
「・・・時間的にあとどの位?」
『想定到著時間は五分後の予定』
「資の概要は?」
『非常食に水、五名分で一週間分です。他に布、懐中電燈、救急救命キット等です』
「それだけ?」
『追加は可能です』
「こっちは十七名いるわ」
『承知しました。更に支援資を追加します』
「この後、どうなるの?」
『我々が用意している避難所への移を推奨します。移手段は既に手配しました』
「・・・そう」
リスクは承知していた。
だが背に腹は代えられなかった。
最深部のシェルターに用意してあった資は既にない。
地上に出て周辺の資も収集して延命を図ったが、これも限界だ。
移するにも燃料も底をついていたしインフラは全て期待出來なかった。
目の前にいるドローンは一?
地上を襲ったロボット達と行を共にしていたタイプに間違いない。
だがら最初は生存者への呼び掛けも罠だと思ったものだ。
正直、今だって信じ切れていない。
仕方ない。
生き延びるにはギリギリの所まで、私達は追い詰められていた。
シェルターに籠もった同僚の數は半減以下になってしまった。
家族の安否確認をする為に去る者がいた。
息苦しさに耐えられず去る者もいた。
自殺してしまった者も多數いた。
殺人を犯した者は私達の総意で追放した。
皆、大なり小なり正気でいられなかった。
今も誰かが暴発したっておかしくない。
私だって家族の安否が気掛かりだった。
沙紀、それに緒。
無事でいてしい。
心の底からそう願わずにはいられないが希薄なのだろう。
それは地上の有様を見たら分かる。
は絶対に認めたくないとんでいる。
そして私は理を保つのが難しくなっていた。
そもそもシェルターに籠もるだけでは意味がない。
外部から救助がなければ自力で現狀を打開するしかないのだ。
しかもシェルターから各地の監視カメラの映像を確認出來たのがいけなかった。
絶的な狀況ばかりだったのだ!
その機能も喪失している。
シェルターを維持する電力もまた限界に達していた。
「大丈夫かしら?」
「まだ分からないわね」
「了解。皆には待機させとく」
「お願いね」
皆、疲れていた。
私も疲れ切っていた。
ずっとまともに眠れていない。
もうすぐ日が暮れる。
寒さがに染みる。
それ以上に地上の寂寥がに染みた。
『簡易テントに暖房の用意があります。使用しますか?』
「・・・お願いするわ」
『手配しました。』
このドローンは人工知能を搭載しているのだろうか?
多分、そうなのだろう。
「質問していい? あなた方の所屬はどこなの?」
『申し訳ございませんがお答え出來ません』
「そう。じゃあ別の質問を」
『どうぞ』
「人類は滅亡したのかしら?」
『貴方達がいる限り、人類は滅亡などしておりません!』
思わず私はドローンを見た。
まるで誰かに諭されたような?
その言葉は酷く私の心を揺さぶっていた。
『何か問題でも?』
「・・・何でもないわ・・・」
『泣いておられます。何かしら問題が生じたものと判斷しますが?』
「大丈夫よ、何も問題ないわ」
頬を伝う涙のは思いの外、熱くじ取れた。
私が以前、泣いたのはいつの事だっただろう?
何故かそんな事を考えていた。
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