《サモナーさんが行く》1309 番外編1 家族の風景2

本日更新3回目です。

番外編です。

本編、そして蛇足とはまた違った世界のお話・・・?

またあの頭痛だ。

でも短い時間で済んだ。

そしてオレは全てを思い出した。

何度も夢に見た幻の數々、それが前世の記憶と知った。

いや、前世という表現は違うのかな?

平行世界から送り込まれた、オレ自の記憶。

この場合、どう表現したらいいのだろう?

難しい問題だ。

なくともオレが理解する乏しい語彙の範疇にはない。

壁掛けのカレンダーを見る。

・・・まだオレは中學生の時代だ。

父さんも母さんもまだ帰宅していない。

そう、この世界でオレの両親は健在だ。

爺様が既に亡くなっている世界だ。

仏壇には寫真が飾られている。

・・・どういう経緯で亡くなったのか、オレはまだ知らない。

出來ればオレ自が仕留めたかった。

不意にそう思ってしまった。

ところでいつ、以前の人格がこの世界のオレに宿ったのだろう?

それは分からない。

心がついた頃には偏頭痛に悩まされていた。

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繰り返し同じ夢を見ていた。

これらは人格統合に伴う記憶の混が原因だろう。

多分、相當い頃だったのだと思う。

さて、と。

今、最初にすべきなのは?

現狀確認で一杯、だな。

運営はまだ出資すらけていない時期の筈。

そもそも中學生の分で何かが出來るとも思えない。

ゲームタイトルだって同じとは限らない。

インターネット環境も一昔以上前の代

攜帯端末も普及し始めた頃だし、それだって一昔以上前の段階だ。

出來る事は限られている。

元の世界と非常に似通った世界、か。

それは間違いない。

但しオレの周辺が激変しているのも確実。

爺さんがいない、というのはその証拠だ。

「お買いから帰ったわよー!」

「はーい!」

母さん達が帰宅したようだ。

玄関に向かう。

いつもの景。

なのに僅かな違和

オレ自が極度に張していた。

今、ここから運営を追う日々が始まるのだ!

「凄い量だね、母さん。今日はご馳走でも作るの?」

「・・・あら?」

母さんはそう言うとオレを凝視する。

どうかした?

おかしな事は言っていない筈だけど・・・

「そうね、今日はお祝いした方がいいかも? ね、ハヤトちゃん!」

「え?」

玄関に父の姿があった。

見慣れている筈の父の姿。

普段通りに見えて、大きな違和

何故か居心地が悪かった。

「父さん・・・」

「・・・ほう、父さん、か」

「え?」

「朝はパパ、それにママって呼んでくれたのにねー」

え?

そうだっけ?

記憶の統合に失敗でもしたのだろうか?

そうも不安に思ったがこの場合、別の疑問がある。

何故、お祝いなんだ?

「やはり違うな」

「・・・何が?」

「姿勢が・・・いや、構えが違う。自然のまま理想的な力。見事だ」

「雰囲気も全然、違っていたものねー」

目の前に何かが飛んで來た!

多分、缶詰。

続いて掌底。

上にけ流すと父の懐にる。

左肩を押しつけつつ、右の拳を顎に向けて撃ち込んだ!

・・・やり過ぎたか?

いや、不発だ。

放った拳は完璧にけ止められていた!

「やはり、な」

「うん、そうね!」

父と母は嬉しそうに見えた。

、何がそんなに嬉しいのか?

母さんに至っては目に涙を浮かべている!

その母が両手を差しべ父が摑んだオレの拳を優しく包む。

そして急に捻られた!

いや、オレの見る風景が回転する!

投げられた?

そう気付く前にが反応していた。

自ら跳んで母の手を摑む。

勢いはそのままに母の勢を崩し、投げた!

・・・いや、投げた覚が異様に軽い?

そう思った時にはもう、玄関先の三和土に背中から叩き付けられていた!

まさか、今のを返されただって?

「いい反応だったわよ? キースちゃん!」

「・・・ッ?」

答える事が出來なかった。

全くが取れていなかったから、息が苦しい!

急いで整息。

いや、焦っているからなのか上手く出來ない!

「息子相手に容赦ないな・・・」

「いいのよ、これで。キースちゃん相手なら手加減しても意味ないでしょ?」

「まあ、そうだ。でもなぁ・・・」

大きく息を吸う。

そして大きく息を吐く。

腹の底を意識して整息。

これなら大丈夫。

その一方で頭の中は大混だ!

全く整理出來ていなかったが言葉なら出た。

「ジュナさん・・・? それに筋バカの魔神・・・?」

「あらあら、キースちゃんってばダメじゃない!」

「そうだぞ! 我の事はパパと呼ぶのだ!」

「私の事はママって呼んで!」

・・・どうしたんだろう。

急に涙が出てきた。

どうやらこの世界でオレは孤獨じゃないらしい。

それだけは確かなようだった。

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