《サモナーさんが行く》1315 蛇足の蛇足24 籠絡
「ンーーーーッ! バァァァッ!」
「「???」」
『『・・・』』
ハヤトが雙子をあやしている訳だが・・・
我等としても々、面映ゆい。
いや、ちょっと違うか。
呆れていた。
しは魔神らしく振る舞って貰いたいものだ。
・・・
ああ、ハヤトよ、ちょっといいかな?
「・・・キャハハッ!」
「ムーッ! ムーッ!」
我が鼻先を近付けると雙子がはしゃぎ始めた。
手をばしてろうとしてくる。
無論、屆きはしないが・・・
キララの名は我に因んでいるという。
そしてコーパルの名は琥珀竜に因んでいるのだとか。
キース達からはそう聞いた。
・・・何故か誇らしかった。
我と琥珀竜は雙子に祝福を與えている。
キース達は驚いておったが・・・
友であるハヤトの子供だぞ?
不思議ではあるまい。
そもそも我等が何を贈ろうが勝手ではないか!
琥珀竜も我と同様、鼻先を寄せてきた。
キララもコーパルも上機嫌だ。
ハヤトの相好は崩れたまま。
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琥珀竜が鼻先をゆっくり左右に振ると雙子の視線も左右にく。
・・・
それでいいのか?
我も真似した。
「隨分と懐いたみたいだな」
「それ、どっちが?」
「・・・雲母竜と琥珀竜の方だ」
「・・・まあそうも見えるか」
キース達よ。
今、我等をバカにしたか?
そうだな?
そうなんだな?
我等がハヤトの子達に懐いた、だと?
逆だ!
・・・
ハヤトに抱え上げられたキララが我の鼻先を叩いておる。
見たか!
雙子の方が我等に夢中なのだ!
この楽しそうな聲を聞くがいい!
そうか・・・そんなに楽しいか?
いいぞ、もっと叩いてみるがいい!
キララとコーパルが替、今度はコーパルが我の鼻先を叩き始める。
よいぞ、よいぞ!
キララもコーパルも將來は大になるであろう。
「あんた達は後継者をどうするんだ?」
『後継者、か?』
『考えた事はない、な』
「いや、言い方を間違えた。子供はどうするんだ?」
『子供?』
『我等のか?』
『キース、汝ならば知っておるだろうに』
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「まあ知ってるけどね・・・」
我等ドラゴンは卵生だ。
通常、卵は巣に集められ子守役のドラゴンの結界に守られながら孵化を待つ。
孵化後はドラゴンパピーとなる。
長時の環境、捕食した魔などの要素で変化を伴いつつ長するのだが・・・
両親はいない。
卵は単獨で産む事になる。
巣に預けたら後はそのまま。
親子という関係は希薄を通り越して皆無だ。
人間が子供にを注ぐような覚は我等にない。
子供、いや、卵?
やろうと思えばいつでも産めるがしないだけだ。
我等は巣を設けていない。
預ける先もない。
「卵を預けるなら最長老様に頼めばどうだろう?」
『畏れ多い』
『お手を煩わせる訳にいかん』
「じゃあ金紅竜の巣とか・・・」
『『それはない!』』
「・・・えー・・・」
キースよ。
その辺りの事も汝は知っておるだろう?
金紅竜と我は同じ巣で育った。
そしてドラゴンパピーからレッサードラゴンまで、ずっと一緒だった。
ドラゴンとなり巣立ちを果たした後も暫くは行を共にしている。
琥珀竜の方は黒曜竜と柘榴竜と同じ巣で育った。
そう、我等は同じ巣で過ごした家族のようなものだった。
我等ドラゴンの場合、親子の絆は皆無だが仲間同士の絆は強い。
當然、當時の我と金紅竜の仲は良かった。
それは確かだがな・・・
だからこそ奴等は魔竜と化した我等を許しはしない。
・・・分かっている。
キース、お前は仲裁をしたいのではないか?
魔神ハヤトと同じように。
だがそうするにはもう遅い。
遅いのだ。
「巣の中にこっそり置いとくとか・・・ダメ?」
『無理だな』
『何の為の結界だと思っている?』
「召魔の森にある縦の底も使えると思うけど」
『周りの魔が強力過ぎる』
『それにドラゴンパピーが投げ込まれた邪結晶を食べるかもしれんな』
「海魔の島だったら?」
『うむ・・・いや、ダメだ。やはり魔が強過ぎる』
『そうだな・・・それに子守役が要る』
「「・・・」」
海魔の島か。
あそこはいい。
味い魔が多く飽きる事がない。
いや、良すぎる。
離れ難くなるのは必定。
・・・我等ですらそうなのだ。
それに魔が強過ぎるのは本當だ。
本當だぞ!
・・・キース達、二人揃ってその目は何だ!
「エルダードラゴンなられ替わりだけどいつもいるよな?」
「場所なら幾らでも作れるだろうし・・・」
『待て待て!』
『魔はどうするつもりだ?』
「適當に闘技場で呼び出してやったらどうかな?」
「多分、いける。魔石程度なら魔もそんなに強くないし」
・・・止めろ。
本気で言ってるように聞こえるから止めろ。
なあ、琥珀竜?
・・・おい、琥珀竜!
汝、乗り気になってないか?
『検討する価値はある。どうだ、雲母竜?』
『・・・気にらんな』
「何が?」
「海魔の島に不満でも?」
『キースよ。汝は我等ドラゴンなど、食で籠絡出來ると軽く見ておるだろうがッ!』
「「・・・」」
『何を笑う?』
「籠絡も何も・・・なあ?」
「勝手に居著いたとしか思えないけど・・・ねえ?」
キース達は互いを見て笑っている。
おのれ、我等ドラゴンを愚弄するのか?
「そう言うな、雲母竜」
『・・・ハヤト?』
「人間はな、壽命が短い。故に後生へ自らのをしたいのだ」
『『・・・』』
「故に子がいないお前達が心配になっている。厚意だと思っておけ」
『我等には分からんな』
『然り』
「それにな、無し草というのは我も心せん」
『それをハヤトが言うのか・・・』
「我ながら説得力がないか・・・」
それは當然だろう。
友よ、に手を當てて思い出すがいい。
お互い無し草のまま、放浪していただろうが!
・・・視線を逸らすな!
あ、雙子をあやすフリして誤魔化すな!
「まあ気が向いたら海魔の島に來ていいから」
「海辺にでも卵を産んどけばいい。回収しておくよ」
『・・・我等はカメではないぞ?』
橫目で琥珀竜を見る。
どうやら既に籠絡済みだな。
卵がどうこうという話ではない。
この機會に味いが食える。
汝、ただそれだけ考えているであろう?
困った奴!
『雲母竜よ、下見をしておく必要があると思うが・・・』
『あそこには何度か行っているであろう?』
『では行かぬのか?』
『・・・行く』
おのれ琥珀竜。
我の考えを見かすような、その目を止めろ!
それにキース達!
笑い聲を堪えきれておらんぞ?
ハヤト、汝もだ!
「ウーーーッ!」
「ンーーーーッ!」
おお、そうか。
キララもコーパルも我等と離れたくないのか?
汝等のように無垢な者達はいいな。
心が洗われる。
ただ今は暫しのお別れだ。
これから海魔の島に行くようなのでな。
何、お前達とはいつでも會える。
また遊んでやろう!
「これって何?」
「見て分からないか?」
「・・・いや、分かるけどな」
海魔の島に常駐しているドラゴン達、その數が倍増している。
うん、それはまだいい。
プリプレグの背中に多數の卵があるんだけど・・・
これ、ドラゴンの卵だよな?
それに子守役と思えるエルダードラゴンが八もいる。
その中には最長老様までいた。
黃晶竜もいる!
・・・これ、ちょっと多くない?
どういう経緯でこうなった?
「プリプレグのスキルには結界があるからな。巣の代わりだ」
「それでこの有様か」
「ああ。プリプレグは當面、海魔の島に常駐させる」
海上に浮かぶプリプレグは移する島だ。
中継ポータルにもなる。
安全を第一に考えたらオレだってそうするだろう。
「獲は足りているのか?」
「どうにか、ね。今日は金紅竜、蒼玉竜、柘榴竜が來ている」
「それに雲母竜と琥珀竜、か」
「・・・まあな」
ま、見てたからな。
今もプリプレグの甲羅の上から見える。
金紅竜と雲母竜が海上で取っ組み合いをしている!
淺瀬でも柘榴竜と琥珀竜が睨み合いをしていたしな・・・
一即発だったし多分、喧嘩になってる。
喧嘩の仲裁は蒼玉竜か最長老様に任せたい所だ。
オレには、いや、オレ達には無理!
『何、心配せんでもええぞ?』
「・・・最長老様?」
『味いがあればな、爭いなど自然と収まるものじゃよ』
「はあ」
ドラゴンは高潔な存在、そう思っていた時期がオレにもありましたけどね。
今や食の権化にしか思えない。
いや、黃晶竜は別かな?
この若いドラゴンはパンタナールのように食が細い。
・・・
実は問題児って事はないですよね?
これまでの言からはそうは思えないけど・・・
金紅竜も紫晶竜すらも最初の印象は瓦解している。
このドラゴンもそうなる可能は捨てきれない。
『あの元始蜃帝が數匹程度、それで當面は大丈夫じゃろ』
「はあ」
『撃針雲丹もお願いします!』
・・・ん?
黃晶竜?
・・・そうか、お前もか。
アレは喜んで食べてたしな。
撃針雲丹ならテイラーの発を使えば相応の數が寄って來る。
問題ない。
うん、問題ない。
漁を終えたらオレはオレ自を相手に対戦でもしよう。
それに夕飯はナイアスに海鮮素材で鍋を作って貰うとするか・・・
・・・そうか、オレも同類だな。
味い飯には勝てない。
そして飯を食っている間は戦えない。
ドラゴン達をどうこう言う資格なんて最初から無かった。
オレはいつ、食に籠絡されたのだろう?
思い出せない。
思い出せないけど籠絡済みなのは確かだな・・・
ちょっと小休止...
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