《サモナーさんが行く》1321 蛇足の蛇足30 森の番人

私は久重。

デウス・エクス・マキナという名の人形でしかない。

機械仕掛けの神?

否、ただの人形だ。

それは以前から変わっていない。

以前とは?

私は以前、文楽という名で呼ばれていた。

そして福助という名でも呼ばれていた。

その両者の記憶を引き継いでいる。

融合練

この方法で召喚された仲間はそれなりにいる。

記憶の混は誰にも生じていない。

私が久重として召喚されたのは守屋やスーラジ達よりも後だ。

でも序列は文楽の時のままで変わっていない。

故に人形組の中ではトップにさせられている。

・・・まあいい。

マスターの元でやってることは同じだしな。

そして私は多くの場合、召魔の森の番人だ。

やるべき事は多岐に及ぶ。

いや、やれる事は、かな?

私は料理もするし木々の剪定もするし農作業もする。

城館や城壁、塔の管理だってやる。

改修すら設計込みでやっているのだ。

・・・まあ改修に関しては相談しながらやるのだが。

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相談相手は玄亀翁を筆頭とした土霊達。

それに木霊達。

彼等の意見は貴重だ。

地下に関しては土霊達に丸投げだが地上部分は私の領域。

但し地上と地下は互いに強く影響し合っている。

だから相談していた。

何も相談せず拠點を強化するマスターのフォローは私の役目だ。

・・・

勿論、ある。

あるのだが玄亀翁達は直接、マスターに訴えることを好む。

私には愚癡を言う程度で大したことじゃない。

玄亀翁達は見た目に反して元気だ。

掌に乗るような小さな格でマスターに毆り込みをする程に元気なのだ。

最近、また數が増えてた。

その原因は勿論、マスターだったりする。

霊達との調整は主に森林と農地、その領域の切り分けが主だ。

その境界は大抵、果樹園になっているのだが・・・

最近、果樹園の領域がやや拡大し過ぎている気がする。

もうし農地を拡大してもいいような?

打診しているけど反応は芳しくない。

霊達からは特に異論がないのだが・・・

クーチュリエが難を示していた。

を集める花が減るのは賛しかねる、というのだ。

・・・蜂の増産はもういいような気がするんだが?

あ、クーチュリエがいた。

今のうちに聞いておこう。

何か問題でもあるのか?

え?

を喜んで舐めてくれる子がいるから是非?

お前って本當に優しいんだな。

涙が出るよ。

いや私に涙腺なんかないんだがね?

そうやってお前さんが甘やかすからいけない。

誰を?

分かってるくせに。

本來、蜂は蜂の子を育てるための食料だ。

養蜂業ではその分け前を頂いている訳だ。

そう大量に採取していいものじゃない。

あいつらの為に増産などしたって際限がないぞ?

そうだ。

ナインテイルや命婦だ。

こないだもヴォルフ団長に説教されていたぞ!

蜂の巣箱の數は知ってるか?

四つ?

それは巣箱を管理している建屋の數だ。

桁はもう一つ上だぞ?

大量生産でもして売り歩くつもりか?

もう十分だ。

ドラゴン達に振る舞うにしても多いって。

料理に使うにしても限界がある。

・・・いや、毎日のように蜂レモン作ってどうする?

確かに疲れたにはいいだろうし、マスターも好きではあるが・・・

じゃあレモンを植えてくれって?

・・・うーむ、レモンか。

何?

管理も手伝うって?

いや、お前達の手を煩わせるまでもない。

果樹園の手れは今でも十分に出來てる。

召魔の森の管理は私だけでやってる訳じゃないしな。

レモンか。

検討しておこう。

ところで既に蜂が余っていたんだが・・・

この瓶を見てくれ。

を使った新作だ。

何だと思う?

そう、梅を蜂に漬けた。

梅、だな。

殘念だが私には味見は出來ない。

クーチュリエからナインテイルと命婦に差しれしてやれ。

うん。

梅だから酸っぱいよ?

でも蜂で漬けてあるから甘いぞ?

にだっていい。

味は保証する。

私は味見しないし出來ないが料理レシピは完璧だ。

お前さんも一つどうだ?

いや、瓶ごと持ってけ!

スパークとクラックにも食べさせてやるといい。

・・・優しい?

いや、そうじゃない。

意見を聞きたい。

料理の腕ならナイアスにも負けない自信があるんだがね?

やはり味見が出來ないというのは々困るんでね。

自信ならあるんだ。

手応えがしい。

たまにならナインテイルや命婦にいい思いをさせてもいいだろうし。

あいつ等だってマスター配下の戦力として立派に貢獻している。

そこは私だって認めているぞ?

・・・ヘイフリックか?

ああ、あいつはテロメアさんに任せといていい。

評価はしない。

単純に戦力として見たら私より上なのは確実だが・・・

いや、これ以上は言わせるな。

分かってるくせに。

・・・クーチュリエ、お前って優しいだけじゃなかったんだな。

意外だ。

さて、新レシピの開発でもしようか。

気になるか?

パンタナールや黃晶竜様向けに新しい料理を作ろうと思ってな。

食が細いのをマスターも最長老様も気にしているし。

レシピにない料理となるとナイアスにも協力して貰わないと。

味見役?

アイソトープかメジアンにでも頼むさ!

間違ってもラルゴに味見なんかさせないって。

あいつは折角の料理も寢ぼけたまま食うような奴だ。

味わっている様子なんて見たことがないんでね!

サモナーさんが行くⅥ、本日9月25日発売です。

間が空きましたが宜しくお願いします。

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