《サモナーさんが行く》1326 番外編6 雙子

私の名はキーシャ。

名でキースと似ている名前を適當に付けただけだ。

特別な意味はない。

現実でもだしアバターもだし違和はないのだけど・・・

ただ、キース達からお嬢さんと呼ばれたりするのは我慢ならない。

無論、そんなキース達を相手に対戦では容赦なく報復する。

でもあいつ等、平然としてやがる!

実力差をじずにいられなかった。

全く、困った連中だわ・・・

そんなキース達の中で私の雙子の弟は異彩を放つ。

キース・インディア。

ビーストバスターズをプレイする、私の相棒。

私と共にトッププレイヤーとしてこのゲームの中で君臨していた。

だが、召魔の森に出りするようになってからは違う。

他のキース達は私達を遙かに凌駕する実力を備えていた。

特にキース・アルファとキース・ブラボー。

魔神ハヤトともなれば二人がかりでも全く歯が立たない。

・・・

より一層、対戦に力がったものだ。

私も弟も共にサモナーを選択、順調にスキルを揃え鍛え上げてきた。

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だが、大きな問題がある。

弟にはキース・アルファの記憶は存在しない。

け継いでしまったのは私の方。

そして爺さんを殺したのも私の方。

平行世界に雙子が存在しているとは誰が想像しただろう?

・・・

そしてあの日、私は爺さんを殺した。

弟の目の前で。

爺さんが私達の両親を斬殺したのは心がつく前の話だ。

そして弟を連れ去った。

私は両親と共に殺されておかしくなかったのだが、何故か私も連れ去られた。

そしての頃から弟は爺さんの元で鍛錬をけていた。

私は殆ど放置されていたようなものだ。

・・・

何の為に私を生かしておいたのか?

心當たりなら、ある。

弟の目の前で、私を殺す。

鍛錬の総仕上げ、弟の中に狂気を宿す為だったのだと思う。

だが爺さんの目論見は儚く消えた。

私が消した。

既にの頃から私にはこの世界に放たれたキースの記憶が統合されつつあった。

弟の鍛錬に邁進していた爺さんは私の僅かな変化に気付けなかった。

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否、私が気付かせなかった。

殺意、そして狂気。

抑えるのは大変だった。

でもい私では爺さんを倒せない。

だから、待った。

記憶の統合が済んでから、雌伏の時間は十年近くになったと思う。

それは私自が爺さんに悟られず鍛錬する時間でもあった。

「あら、遅かったわね」

「お待たせして申し訳ないです」

召魔の森の番人、獅子吼と雷文をでていたのは?

フィーナ・ジュリエット。

ビーストバスターズで最大のプレイヤーズ・ギルドを統括するプレイヤー。

平行世界の剪定と選定、そして管理者達に迫るには重要な存在だった。

も定期的にここを訪れるようにしている。

「貴達はこれから対戦?」

「ええ」

「頑張ります!」

「大変そうだけど頑張ってね」

私達の間でこの森は最難関として認識されていた。

森の拡大は大昔に止まっているが、それでも踏破するのは大変だ。

ビーストバスターズ勢でも外縁部で全滅を繰り返してる。

私達でも召魔の森の門まで辿り著くのが一杯だった。

・・・

もう、強化し過ぎっ!

橫目で弟を見る。

明らかに浮ついた態度。

コイツが気づいているのは明らかだった。

私達は現実でもフィーナ・ジュリエットと流がある。

弟はどうやら初対面の時に一目惚れだったらしい。

「じゃあ私も、と言いたいけどジュナ様と打ち合わせが先よね」

「ですよねー」

「・・・そうですか」

そう。

ここ召魔の森は接続された各世界の換の場となっている。

そしてジュナ様、いえ、ジュナ・アルファを中心にして平行世界との接続を行う。

出來るだけキースとフィーナさんの本が揃っている世界を選んでいた。

・・・

殘念だけど、數多ある平行世界にはキースの本が存在しない場合が多い。

大半はあの爺さんがいる世界ばかりだ。

フィーナさんの本が存在する世界は數多くある。

でもフィーナ・アルファの記憶を引き継ぐ者は數がなかった。

今、私達は數多くの平行世界の集団の中で橋頭堡を確保しつつある。

球狀星団で視覚化される、似通った世界達。

その集団の中で、私達が上位管理者として奪取したのはほんの僅か。

を許さず再奪取させないのは當然だが、徐々に拡大せねばならない。

より確実に、となれば接続するのはキースとフィーナさんの本が揃っている世界がましい。

無論、そこに魔神ハヤトやジュナ様がいたらいいんだけど・・・

その數は本當にない。

時間軸がズレているからなのか、接続出來たのはまだ一箇所だけだ。

あと二つあるそうだけど、可能になるとしてもかなり先になりそう・・・

「じゃあまた後で。食事の時にでも」

「はい」

「は、ハイッ!」

弟の様子は見るまでもない。

全く、困った子!

フィーナ・ジュリエットも弟の態度に気付いているだろう。

私にはフラれてしまう未來しか見えない。

・・・私と弟にレベル差はない。

配下の召喚モンスター達のレベルも概ね同様だ。

系のスキルではレベルに多の差はあるけどやはり似たようなものだし。

でも私達の間には明確な差がある。

それはキースの記憶をけ継いだか否か、その差だ。

爺さんを殺した後、弟を鍛えたのは私だった。

弟が言うには、あの爺さんより厳しかったそうだけど・・・

ま、傭兵キャンプの訓練メニューも追加してたから當然か。

格差もあったし弟は現実で私を上回るであろう戦闘能力を得た。

だが、能力を得ただけだ。

発揮するには実戦経験が足りない。

圧倒的に足りなかった。

何よりも狂気が伴っていない。

そこが問題だった。

・・・

傭兵稼業に手を染めようか?

そう思わなくもなかったけど、先にビーストバスターズがリリースされた。

各々の平行世界では技の進歩に差がある。

私達の世界は比較的、進んでいたらしい。

「ヨッ!」

「・・・お嬢か」

「それ、止めてしいんだけど」

「・・・だが斷る」

私が肩を叩いて挨拶したのはキース・ヤンキー。

明らかに不満げな顔だけど仕方ないでしょ?

私だってお嬢と呼ばれるのは不愉快だ。

でも貴方は止めない。

ならばこれはお互い様でしょ?

そもそも貴方は現実で誰もが羨む幸せを手にれている。

あの『彼』と結婚しているのは今の所はコイツだけだ。

剪定も免れているのだし、この程度は許容して貰いたいものだわ!

「対戦相手待ちかな?」

「・・・ああ」

闘技場ではあちこちで対戦が行われている。

様々な世界から來ているキース達。

ハヤト・アルファとハヤト・ブラボーもいる。

集団戦はキース・チャーリーがやってるのかな?

闘技場に星結晶を捧げたのか、剣豪の英霊達や夢幻放浪の英霊達と戦っているようだ。

ポータルガードの召喚モンスター達も加わり大混戦になっていた。

・・・

召魔の森の闘技場はかなり拡充されているけど、こうして見ると手狹にじる。

「ハーイ! キーシャちゃん!」

いきなり背後から抱きつかれた。

來るかな、とは思っていたけどやっぱりか。

避けるつもりは最初からなかった。

フィーナ・ジュリエットから私が來ているのを聞いたのだろう。

ジュナ・アルファ。

このは間違いなくそうだ。

「・・・ママったら、もう打ち合わせが終わったの?」

「まだメンバーが揃ってないから! だから今のうちに!」

「・・・」

今のうちに、何を?

問わずとも分かっている。

私との対戦をんでいるのだ!

何しろキース達も魔神ハヤトも、このジュナ・アルファの対戦相手をしたがらない。

これまではジュナ・ブラボーを相手にするか、星結晶を闘技場に捧げるかだったようだ。

だが、私がここに來るようになってからは違う。

私との対戦を好むようになっていた。

・・・

戦力の底上げを考えたら、悪くない。

同士なのだし、私も遠慮無く戦うようになっていた。

但し、一度も勝てていない。

余りにも実力差があり過ぎて目が眩むわ!

「・・・姉さん」

「キース・ヤンキー、弟の相手を頼める?」

「・・・いいだろう」

対戦相手が決まった。

的に決まってしまった。

覚悟するしかない。

・・・

ジュナ・アルファの朗らかな笑顔がそこにはあった。

これまで対戦で私は文字通り子供扱いにされてきた。

でも今日こそは!

ママ、一泡吹かせてやるわよ!

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