《【書籍化決定】にTS転生したから大優を目指す!》☆18――ともだち

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次の日の朝は母の腕の中で目が覚めた。姉と決裂した現在の狀況で姉を除いた家族3人で寢るのは、姉の孤立をさらに深める事になるかもしれないが俺も自分のが可い。

姉と同じ部屋で二人だけで寢るというのは、ある意味自殺行為に等しいだろう。何しろあちらは冷靜さを欠いているのだ、危害を加えられる可能だってある。

そんな俺の懸念をあざ笑うかのように、その日の朝に顔を合わせた姉はまるで俺の事など見えていないかの様に、自然に俺の事を無視した。どうやら一番最初に父に窘められた以前の様に、俺をいない者として扱うと決めたらしい。

姉と同居するのはとりあえず最大で3か月前後ぐらいと予想しているので、俺としてはそれで姉が問題を起こさずにいてくれるならありがたい話だ。できるだけ刺激しない様に、こちらも関わらないでおこう。薄と思うなかれ、多分今はその時ではないのだと自分自に言い聞かせる。

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両親としてはもうすぐ離れ離れになる娘とできるだけ一緒に過ごしたいという気持ちが強いのか、この後も俺が引っ越す日までずっと川の字で寢る事を譲らなかった。個人的にはこうして過ごす事で姉の家族での孤立が深まるのではないか、悪手なのではないかと思って何度か両親と話もしたのだが、気にしないでいいと言われてしまえばそれ以上は口を挾めない。俺がいなくなった後に両親には頑張ってもらおう、何度めかの定型文を思い浮かべて強制的に気持ちを逸らす。

「おはよー、ゴールデンウィークどうしてた?」

「おばあちゃんちに行ってたよ、そっちは?」

登校した學校では教室でそんな會話があちこちでされている、俺もなおとふみかのふたりと同じ様な容の會話をしていた。なおは祖父母の家で従兄妹達と遊んだらしい、ふみかは家族旅行で京都と兵庫に行っていたらしい。

俺も東京であった事を面白おかしく話したりして、始業前の時間は過ぎていく。もちろん、まだ東京に引っ越す話はしていない。ないとは思うけど、ふたりが泣いちゃったら大変だ。放課後に遊ぼうとうと、なおもふみかも嬉しそうに頷いてくれた。

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どんな風に話を切り出そうかとか、もしも泣き出したらどうやってめようかとか、萬が一もらい泣きして一緒にないちゃったらどうしようとか。そんな事を考えていたせいで気もそぞろなじで授業をやり過ごして、いつのまにか放課後になっていた。

一旦家に帰ってお土産をれた紙袋を持って、待ち合わせ場所であるふみかの家に向かった。チャイムを鳴らして、出てきたおばさんに挨拶をしながらお土産を渡す。

「あらー、すみれちゃん。いつもふみかと仲良くしてくれてありがとうね」

「いえいえ、むしろわたしの方が仲良くしてもらってる方なので」

なんて定型文の挨拶をお互いわしながら、家の中に上げてもらった。勝手知ったる親友の家、そのままふみかの部屋まで向かう。軽くノックすると、ドアがし開いておずおずとふみかが顔を出した。そして俺の顔を見るとパァッと笑顔を浮かべる。小みたいですごく可い。

っても良い?」

「……うん、いらっしゃいませ」

ドアを開けて部屋に迎えれてくれる。中にると、すでになおも來ていてブンブンと楽しそうに手を振っていた。相変わらずの元気っぷりだ。

「ごめん、わたしが一番最後だったね。待たせちゃった?」

俺が手を合わせながら言うと、ふたりはふるふると首を橫に振った。用意されていたクッションの上に座って、ふぅと一息つく。はもうすぐ9歳という若さなのに、中がおっさんだと作もジジ臭くなるのだろうかと自嘲しながら、真正面にいるなおに向き直った。

「これ、東京で買ってきたおみやげ。荷になっちゃうけど、ご家族でどうぞ。ふみかも同じものをおばさんに渡してるから、またおやつにでも食べてね」

膝立ちになりながら紙袋を渡すと、なおは嬉しそうに『ありがとう!』と笑顔でけ取った。ちょっとだけ羨ましそうなふみかにフォローすると、彼も同じ様に笑顔を浮かべる。

「えっと、それであの……」

どう話を切り出すべきか、言い淀んでいる俺を不思議そうに見るふたり。なんとなく室に微妙な空気が流れ始めたが、それを破るかの様に部屋にノックの音が響いた。

ふみかが開けるとそこにはおばさんがいて、人數分のオレンジジュースがったコップと俺が持ってきたサブレが載せられたお盆を持ってってくる。ふみかの學習機の上にお盆のまま置いて、『すみれちゃんのおもたせで申し訳ないけど』と一言言い添えて部屋を出て行った。

ふみかにコップを手渡されて、ストローを口に含んでしだけを潤す。なんとなく空気がリセットされた様な気がして、もう一度意を決して口を開いた。

「あのね、なおとふみかに話しておきたい事があるの」

「……それって、いやな話?」

小首を傾げるふみかに尋ねられて、なんとなくギクリとしてしまう。それで何かを察したのか、ふたりは居住まいを正した。

「お姉ちゃんに勝手に応募されて、オーディションをけに東京に行ったって話はしたよね」

ふたりがちゃんと正面から向かい合ってくれてるのに、中おっさんな俺がいつまでも逃げている訳にはいかない。俺は覚悟を決めて、そう言葉を切り出した。話し出してしまうと、スラスラと言葉が出てくるのは不思議なものだ。この連休中にあった事を、順番に話していく。面接で演技をしたら映畫監督の神崎さんに気にられた事、そこから優の大島さんへと縁が繋がって、彼の下で演技の勉強をしないかとわれた事をなるべく明るいトーンで語った。

でもそれで誤魔化されてくれるふたりじゃない、この子達は他人のにも敏いし空気を察する能力も高い。

「すーちゃん、ここからいなくなるの?」

なおがいつもの明るさのない、淡々とした聲で呟いた疑問に、俺はこくりと頷いた。

「でもすぐじゃないよ、多分夏休みぐらいに……」

その後に繋げた言い訳は、途中で空気に溶けるみたいに消えてしまった。だって目の前にいるなおの瞳からただ一筋、涙が零れ落ちるのを見てしまったから。

畫:endrou様

泣かれるかもとは思っていた、自惚れかもしれないけどわんわんと泣いて行かないでしいと引き止められるかもしれないって。でもいつも元気で明るいなおが、聲もあげずにポロポロと涙で頬を濡らしている景を見ていると、想像していたよりも何倍も重い罪悪がのしかかってくる。

でも、今更全部ひっくり返してやめる訳にはいかない。演技の勉強を諦める、なおとふみかのふたりを置いて転校する、どちらの選択肢を選んでも後悔するだろう。でもふたりとは距離が開いても繋がりを持とうと思えばずっと繋がっていける、ふたりがそれをんでくれるなら。でも片方の選択肢は選ばなければそこで道が潰えてしまう、こんなチャンスはそうそう舞い込む事などないのだから。

「やだぁぁぁ、すーちゃんいなくなっちゃやだぁ」

意外にも泣きながら聲をあげたのは、いつもは大人しいふみかの方だった。大きくかぶりを振って泣きじゃくるふみか、絶したかの様にただ涙を零すなお、いつもとキャラが逆じゃないかとかそんなしょうもない考えが頭をよぎる。でもは俺の意思を無視して勝手にき出して、気がついた時にはふたりを抱きしめていた。

俺のは小さくて、俺よりも背が高いなおはもちろん、同じぐらいの型のふみかだってしっかり抱きしめる事はできない。それでも衝に任せてふたりの頭を許に抱え込むと、ふたりも俺のに手を回してぎゅうっとしがみついてきた。

さっきから目頭が熱くて、それでも泣くまいと思って我慢していたけど、俺の涙腺も決壊して涙がボロボロ溢れ出す。嗚咽がれて喋りづらいけど、自分の気持ちははっきり伝えなくちゃ。

それから俺はふたりに訥々と、自分の想いを話した。とりとめなかったかもしれないけど、一生懸命に。ふたりの事が大好きで、できれば一緒に過ごしていきたかった。でもやりたい事が見つかって、今やらないと次に始めようと思ったらすごく大変で。だから引っ越しする事に決めたのだと、新しい場所でチャレンジしようと決心したんだとなるべくゆっくり心を込めて語る。

だんだんとふたりから嗚咽が聞こえなくなって、鼻をすする音が時々聞こえる以外に反応はない。どうだろう、俺の気持ちは伝わったのだろうかと不安に思いながら、俺も鼻をスンとすする。

もぞもぞと許で顔をかしてから、なおとふみかがほぼ同時に顔を上げた。目は赤く腫れぼったくなってて痛々しい、多分俺も同じじになってるんだろうけど。

「……すーちゃん、わたし達これからもともだちだよね?」

「これでずっとお別れじゃないよね?」

不安げにそんな事を言うふたりに、俺は力強く頷く。何度も言うが、俺はふたりがイヤって言うまで彼達と友達をやめるつもりはない。

「ずっと友達に決まってるよ! お手紙も書くし、あんまり頻繁にはできないけど電話だってするし。お正月とか長いお休みをもらえたら、こっちにも戻ってくるよ。だからその時は、一緒に遊ぼうね」

そう言うと、ふたりはホッとしたのかしだけ笑顔を浮かべて、またギューっと俺のにしがみついてくる。だが殘念ながら非力な俺では、ふたり分の重はとてもじゃないが支えられない。3人でもつれ合う様に、カーペットの上に倒れ込む。

何にも面白くないのに何故か笑いがこみあげてきて吹き出すと、ふたりもそれにつられて小さく笑う。俺達はしばらくそのままの勢で、笑い合ったり他のないお喋りをしたりして過ごした。なんとなくふたりと離れ難かったのだ。ふたりの溫をじられなくなるのが怖かったのかもしれない。

でも何の拠もないけれど、これからもふたりとは友達として繋がっていける様な気がする。もちろん、繋がり続ける努力は必要だろうけれど。

伝えられてホッとしたのも大きかったのか、それともふたりのぬくもりに安心したのかはわからないけれど、俺達はいつの間にか眠りの世界に落ちていた。目が覚めた時には夕暮れ時で、俺となおは慌てておばさんに挨拶して家路を急いだ。家に著いた途端、母から目の腫れぼったさを指摘されたのは言うまでもない。恥ずかしいから詳細は話さなかったけどね。

カーペットにジュースが溢れて大慘事になってそうな予

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