早く書き上がったので更新します。今回は百合っぽいじの描寫がありますので、苦手な方はご注意ください。

想ですみれの日常生活についての質問があったので、日常生活編を。多分次か次の次ぐらいまで続きます。

――午前５時。

枕元に置いている目覚まし時計がジリジリと鳴り出したのをじた私は、他の寮生の人に迷がかからない様にパシっと叩いて止め……ようとしたが、腕がうまくかない。

まるでっかみたいなでを締め付けられている様な、そんな息苦しさを覚える。それなのになんだからかいに包まれている様な安心と溫もりもあって、不思議な覚だった。あと香水の様な匂いとしだけお酒の匂いが混じり合っている様な気がする。

「うぅん、うっさいなぁ」

頭上でそんなうめき聲にも似た呟きが聞こえてきて、締め付けがふと緩くなる。寢惚けた頭をなんとか回転させてを起こすと、そこには見知ったが目を閉じたままもがく様に左手で目覚まし時計を探していた。なるほど、きが取れなかったのは彼に抱き抱えられていたからかと小さく安堵のため息をつく。

とりあえず目覚まし時計を止めてシン、と靜かになった部屋の中を見回す。間違いなく私の部屋だ。という事は、侵者は彼の方になる。まぁ、最近いつの間にか一緒に寢ている事が多いから慣れてしまったんだけどね。

「さん、あいさーん。ちゃんと自分の部屋で寢てくださいよ」

寮生の中で最年長、優としても活躍中の東雲（しののめあい）さんのをゆさゆさと揺するが、うるさい目覚ましの音が消えたのもあってか再び眠りの世界に意識を向かわせている。シミーズといえばいいのか、それともスリップだろうか。とりあえずそんな著一枚で寢ているためか、私が揺らす度に満ながぷるんぷるん揺れているのが何故か気に障る。

「いい加減に、起きてくださいってば！」

もちろん手加減しているが平手で彼のおっぱいを引っぱたくと、パチーンといい音がした。それと同時に『いたーい！』と目の前の彼から悲鳴にも似た聲があがった。

「いたいじゃん、なんて事するのよ」

「さんがなかなか起きないからじゃないですか。それよりも、起きたなら自分の部屋で寢てくださいよ」

まだまだ寢惚けた表で抗議する彼に、私は殊更呆れた様に返した。というか、私がこんなに早く起きたのには理由があって、ユミさんとジョギングする約束があるからだ。早く支度して待ち合わせしてる玄関に行かなくちゃ、後輩が遅れて先輩を待たせるなんてよくない事だろう、常識的に考えて。

未だに寢っ転がっているさんを避けてベッドから降りると、私はさっさとパジャマをいでからＴシャツを著て、その上からジャージを羽織る。もちろんジャージのズボンも忘れずに履く。

「すみれさぁ、そうやってどこでも無防備に著替えちゃダメだよ。アンタの著替えを見るために惜しげもなく金払う奴も、この世の中には多分結構いるんだろうからね」

「何言ってるんですか、そんな事しません！　っていうか、まだ酔っ払ってるんですか？」

「當たり前よ、寢たの３時過ぎだもん。そう簡単にお酒は抜けませーん。服いだら寒かったからさ、らかくてあったかい湯たんぽ代わりのすみれを抱いて寢ようと思って」

さんの酷い言い草に小さくため息をついて床を見るが、彼がいだであろう服は見つからない。別の場所でいできたんだろうなぁ、誰かが発見してくれる事を祈る。

ブラシで軽く髪を梳いた後で、髪を簡単に頭の後ろで纏める。さすがに稚園の頃から髪のをちょくちょくいじっていれば、これくらいは片手間にできる様になる。髪ゴムで解けない様に固定すると、ベッドの上でまた夢の世界に旅立とうとしているさんに振り向く。

「あと３０分ぐらいでトヨさんがお風呂にれる狀態に沸かしてくれますから、もし起きるならお風呂にる。本格的に寢るなら自分のベッドに行ってくださいね。わかりました！？」

「はいはーい、りょうかーい」

おざなりな返事に『もうどうにでもなれ』という気分になりながら、私は部屋から出る。洗面所で軽く洗顔と歯磨きを済ませた後玄関に行くと、既にユミさんが待ってくれていた。あー、本當に申し訳なさすぎる。さんというロスタイム製造機さえいなければ、ちゃんと先に來れたはずなのに。

「ユミさん、ごめんなさい。お待たせしちゃいました？」

「ううん、今來たところ。おはよう、すみれ」

赤いジャージにを包んだユミさんに『おはようございます』と返して、二人揃って運靴に履き替える。そして玄関を出て庭に出て、まずは準備。ラジオを念りに行ってから、その場でピョンピョンと軽いジャンプを何度か繰り返す。

前世では走ったりする前はつま先を地面につけて足首をグネグネする準備が當たり前の様に行われていたが、病に伏せっていた時に見たテレビで専門家が非推奨だと言っていたのを聞いていたので、転生してからはその時に代替案として紹介されていたジャンプを行うようにしている。何やらグネグネすると捻挫したり足を痛めやすくなるらしい、信憑があるのかどうかは今ではもうわからないけど。

ふたりともほんのりが溫まったところで、門扉から出て軽く走り出す。タッタッタッと軽い足音ふたつが、まだまだ靜かな住宅街に響いて聞こえるのが心地良い。

東京での生活に慣れてきた９月下旬、そろそろ日課だったジョギングを再開しようかと思ってユミさんに相談したら、だったら一緒に走ろうかとってもらったのがきっかけだった。ユミさんもジョギングを始めようかと思ってたそうで、私の話は渡りに船だったらしい。

でも東京は騒だから、誰かと一緒でなければジョギングは止とユミさんだけではなく大島さんをはじめ寮生の皆さんにも止められている。歩幅も走るスピードも違うしユミさんにご迷じゃないかなと思ったりもするのだが、今のところお言葉に甘えていたりするのだった。

し離れた公園まで行って帰ってくる３ｋｍ弱のコースを、ゆっくりとしたペースで走る。公園にたどり著いたところで、し休憩。ユミさんと走り始めて気付いたのは、いつもより早く走らないと追いつけないという事だった。つまり、まーくんと走っていた時に彼は私のスピードに自然なじで合わせてくれていたという事なのだろう。さすが気遣いができる男、前世の私もあれくらい気遣いができたら生涯貞で過ごす事などなかっただろうに。

そんな心を表には出さず、目が覚めたらさんが私のベッドで一緒に寢ていた事を愚癡っていると、ユミさんは笑いながら『すみれは皆に可がられているからね』とめてくれた。確かにさんやユミさん、殘りの子高生ふたり組が暇があれば構ってくれるので寂しがる暇もないくらいだけど。

他ない話をしつつ息を整えると、ふたり並んで寮に向かって走り出す。大往復で４５分ぐらい掛けて戻ってくると、所に直行する。寮のお風呂は大人ふたりが湯船にっても余裕なぐらいに広いので、いつもジョギングの後はユミさんと一緒にらせてもらっている。

ジャージをいで備え付けのカゴに・タオル・下著とそれぞれ分けてれて全になると、汗をたくさんかいていた事もあってちょっと寒い。ふたりして足早に浴室にると、ユミさんは湯船のお湯を私に優しく掛けてくれた。

「私が先にを洗うから、すみれは溫（ぬく）もってていいよ」

いつもそう言って譲られてしまうので『いやいや、先輩に寒い思いをさせるなんて』と抗弁してみるが、今日も無理やり抱えられて湯船にれられてしまった。確かに同い年の平均重を下回ってる私だけど、中學１年生のの子にそうひょいひょい抱えられるとちょっぴり傷つく。ちなみに下回ってるのは重だけじゃなく長もなのだが、私の心の安寧のために口には出さないでおく。

浴槽の縁に腕を置いてそこに顎を載せてぼんやりとユミさんが頭を洗っているのを眺めていると、どうしても前世が男だったからかまだまだ膨らみかけのとか見えそうで見えないおとかに反的に目線が向くけど、だからといってムラムラしたりいやらしい気分にはまったくならない。なんだか男としてもとしても中途半端だなぁと思って、小さくため息をつくとシャンプーを洗い流したユミさんが『どうしたの？』と尋ねてきた。

「……ユミさん、おっぱいって何歳ぐらいから膨らんでくるんでしょうね」

さすがに本當の悩みは言えないので、私の中にある中ぐらいの悩みを吐き出してみた。これもそれなりに本気で悩んでいる事で、おっぱいが膨らむという事実が楽しみだったり怖かったりするのだ。としての意識としては、おっぱいは當然大なり小なり膨らむだと納得していてそれを楽しみにしているが、元男としての意識は恐怖に染まっている。

前世では過度な満だったのでに脂肪はついていたから違和はそんなにないのかもしれないが、この枯れ木の様に細いの中でだけが膨らむ変化とその違和に耐えられるのだろうかという不安が恐怖を引き寄せるのだ。

まさか目の前のい後輩がそんな事を考えているとは思ってもいないだろうユミさんは小さく吹き出して、手をばして私の頭を優しくでた。

「心配しなくてもすみれのもちゃんと膨らむから大丈夫だよ。でもすみれはちっちゃいから、他の人よりし遅いかもしれないけど」

「そうだったらいいんですけど……でもさんぐらい膨らんじゃうとバランス悪いですし」

私がそう言うと、どうやら今の私のボディにさんの巨を脳で合したらしく、ユミさんがブハッと大きく吹き出した。

「や、やめて……すみれは、私を笑い殺す気なの？」

ヒーヒーと笑いながらを洗うユミさんに『そんなに笑わなくても』とちょっとだけムッとしたけれど、それについては將來的にユミさんより巨になって見返す事にしよう。容姿では勝てないだろうけど、せめてぐらいは誰かに勝てるものを持ちたい。

ユミさんと代して髪とを洗っている時も、『洗うのに時間がかかるから髪を切ろうかな』と言った私にユミさんが勢い込んで止めてきたり、一緒に湯船に浸かっていると『將來に備えてんであげる』とユミさんが私の平たいをんできたり、キャッキャウフフしながらお風呂タイムを終えた。

ほかほかに溫められたから湯気を出しながら、所に備え付けてあるバスタオルをに巻いてお互いの部屋に戻る。ユミさんは髪が短いからいいけど、私の髪はなかなか水気が切れないのでもう一枚バスタオルを使ってそれを頭に巻いて水気を吸わせるのだ。

私のベッドにはまださんが寢ていて、その隣でパンツやシミーズをにつける。そして部屋に備え付けてあるドライヤーで髪を乾かしていると、ドライヤーの音がうるさかったのかさんがむくりとを起こした。

「お風呂ってきたの？　じゃあ、お姉さんが乾かしてあげよう」

寢ぼけ眼でそんな事を言いながら、私の手からドライヤーを奪ったさんが優しい手付きで髪を乾かしてくれる。髪を傷めない様に髪とドライヤーの距離を離している為、１５分程かけて完全に乾かすと、今度はクシと髪ゴムと持ってきてヘアアレンジまでしてくれた。

「お客様、こんなのでどうでしょ？」

鏡に映った私の髪型は、高い位置にポニーテール。でも一緒にまとめられているはずの後ろをオシャレに垂らすじになっていて、平のセンスから見ると時代をじるが非常に可らしく仕上がっていると思う。

「ありがとうございます、さん。すごいですね、ヘアメイクさんみたい」

「この間の撮影の時に、私も同じ髪型にしてもらったのよ。その時に々コツみたいなのを聞いたからね」

さんはそう言うと、上手なウインクを殘して部屋を出て行った。寢癖ついてなかったら格好良かったのに、と思いながらその後姿を見送って制服に著替える。

その後トヨさんお手製の朝ごはんを頂いて、學校指定のカバンを背負うと學校へと向かった。

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