《【書籍化決定】にTS転生したから大優を目指す!》79――オリエンテーション前半と委員會決め

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學式の翌日は、午前中はオリエンテーションで、午後は実力テストが行われる。どちらも二日間行われるということで、今日はどちらも前半戦だ。

オリエンテーションではあのいわく付きの學園長先生が學校の教育理念とか當校の生徒の心得とかお固い話をして、生徒指導と學年主任の肩書を兼任している中年の男教師が年間行事とかざっくりと3年間の予定を話してくれた。この先生は肩書だけ聞くとすごく怖そうなイメージがあったのだけれど、なかなか話し上手で面白い先生だった。講堂にたびたび新生の笑い聲が響いて、多分慣れない環境にガチガチだった子達の張もほぐれたんじゃないかな?

ちなみに私達が現在いるのは、全校生徒が全員れる講堂だったりする。すごく広くてさっき聞かされた施設の解説によると、最大で1300席の座席を用意する事ができるらしい。これが中等部専用というのは、さすが私立ってじがする。前世の公立中學では育館が講堂代わりで、さすがに全校生徒全員がるとぎゅうぎゅうだった記憶がある。この學校には他に育館もあるので、本當に私立って設備への投資がすごいなぁと思う。

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殘りの時間はクラスごとに分かれて、學校の中を案してくれるらしい。私達Aクラスがトップバッターみたいで他のクラスはまだ座っている中、擔任の先生の導に従って講堂を出た。

長順に二列に並んで、學校を練り歩く。殘念ながらクラスでは私は一番小さいみたいなので、先生の後に続いて列の先頭を歩いている。隣の二番目に小さなの子は、大人しそうな雰囲気の可らしい子だった。先生の後ろだからあんまり大っぴらにおしゃべりはできないけれど、でもできれば仲良くなりたいかな。多分これから列で移する時は隣とか前後になって、接は多そうだからね。

「さっきの視聴覚室、まるで映畫館みたいですごかったね」

こしょ、と小聲で緒話するように話しかけると、彼はビクッとしだけ肩を震わせてからおそるおそる私を見た。え、なんでそんな風に怯えたじなんだろう。『こ、怖くないよー』とアピールするようににっこりと微笑むと、今度はちょっとだけほっぺが赤くなった。どうしたんだろう、調でも悪いのかなとし心配になる。

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「そ、そうですね。あの、松田すみれさんですよね? ドラマ、毎週観てます!」

「それはすごく嬉しい、ありがとう。でもとりあえず、もうちょっと靜かにお話しようか」

擔任の先生の視線がこちらをチラリと向いたので、人差し指をそっとに當てながら聲を落とすように促す。聲が大きくなっている自覚がなかったのか、彼は自分の口を手で抑えながらコクコクと頷く。ええと、昨日の自己紹介の記憶を必死に引っ張り出して、確か彼の名前は森田宇(もりたみう)ちゃんだった事を思いだす。

「あの、いつも最後に刑事のお父さんに出す料理って、あれは松田さんが作ってるんですか?」

「うん、お料理の先生が隣で監督してくれてるけれど、大わたしが作ってるよ。というか、別に敬語じゃなくていいよ。普通に話そ?」

「あ、ごめんなさい! そうですよね、同級生に敬語なんて使われたら気まずいですよね」

なんだろう、引っ込み思案というか気遣い屋さんなのかな? でもこうして他人を尊重できる人は好が持てる、こういう子とは是非友達になりたい。別にたくさん友達を作ろうと意気込んでいる訳ではないけれど、學校にひとりでも仲良しな友達がいればふたり組を作ったりする時に孤立しなくていいもんね。

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もちろんそういう打算だけじゃなくて、自分以外の人を尊重できる人と一緒にいると、すごく居心地がいい空間を作ってくれる。もちろん私もそういう一緒にいると居心地がいい人みたいな印象を持ってもらえるように、日々心掛けていきたいと思っている。

ですますが時々混ざるけれど、話しているうちにリラックスしてきた宇ちゃんと楽しくおしゃべりしながら、學の見學を終えることができた。宇ちゃんの趣味は読書と料理らしく、話題が合ったのが話がはずんだ一因だと思う。やっぱり同好の士だと盛り上がるよね、他にも蕓能界にも興味があるらしくて、ダニーズのアイドルのファンなんだって。私の事も石さんとの映畫を観て知って、毎週家族で観ている刑事ドラマに出ているのに気づいて二度びっくりしたらしい。そして昨日同じクラスに見知った蕓能人がいて、さらにもう一度びっくりしたんだとか。

直接的に『友達になろう』なんて言うと押し付けがましいから、『また話しかけてもいい?』と教室に戻ってから控えめに聞くと『喜んで!』と答えてくれた。ぎゅうっと両手を握ってくれたその強さが、その言葉に噓がないことを教えてくれた。この一年でもっと仲良くなれたらいいなと思う、私は欠席することもたまにあるだろうから、ノートとか見せてもらえたら助かるし。

全員が戻ってきたら10分間の休憩の後、委員會決めが始まった。さすがに一度に全員が何かの委員會に所屬するというのは人數的に無理なので、前期と後期で分かれるみたい。

まだクラスメイトの人となりもわからない前期よりも、ある程度クラスの雰囲気を理解できている後期の方がやりやすい気がする。という訳で靜観することにした。なんだかんだで仕事もコンスタンスにもらえてるから、學校に全力投球するのは難しいもんね。

同じ理由でクラス委員長や副委員長はできないと思う。だって仕事がってるのに放課後に委員會があった場合、絶対に仕事の方を選んで委員會は欠席するでしょ。委員長と副委員長のどちらになったとしても、同じ委員會に自分以外のクラスメイトがもうひとり出席している訳だから、心苦しいけどその子に任せて次の日に連絡事項を聞けばなんとかなるでしょ。でも仕事の場合は私にオファーが來てるんだから、他の人に任せる訳にはいかないもの。そんな未來が明確に見えているのだから、無責任に引きけられない。

案の定みんなもクラス委員長はやりたくないのか、手を上げる人は皆無だった。擔任の先生が小學校の時に委員長とか副委員長をやっていた子に聲を掛けるけれど、答えは芳しくない。でもここが決まらないと他の委員が決められないということもあって、やりたくないを多分に出しながらさっき先生に聲を掛けられていた子が渋々引きけていた。

もうひとりは小學校からの友達なのかな? 強制的に『副委員長は阿笠(あがさ)ね』と、彼の答えを聞かずに決めてしまう。アガサさんは『ええーっ』と嫌そうな聲を上げたけれど、力関係的に逆らえないのかそれとも友達のワガママをれたのか、トボトボと教壇へと歩き始めた。

「前期クラス委員長になりました巖井(いわい)です。後ろにいるのは小學校の時のクラスメイトの阿笠で、去年もこのふたりでクラス委員をしていました」

「去年も巖ちゃんに無理やりやらされてました、阿笠です」

ふたりで揃って『よろしくお願いします』とぺこりと頭を下げる姿に、確かに慣れている雰囲気をじた。うまくクラスを回してくれそうだなという頼れるじに、私も含めたクラスメイト達がパチパチをお義理ではないそれなりに熱のった拍手を送る。

「早く終わったらその分晝休みが長くなるそうなので、ササっと決めちゃいましょう。ええと、委員會の種類は黒板に書いてもらった通りです」

巖井さんが振り向いたタイミングで、ちょうど阿笠さんがチョークれにチョークを置いた。阿笠さんは書き慣れているのか、それなりにキレイな字で素早く書いていたのがすごいなと思う。

書き出された委員會名には風紀委員、図書委員、保健委員、育委員、化環境委員などの聞き慣れたものがあった。多分これが常設で、期間限定で忙しいのは選挙管理委員會とか文化祭実行委員、育祭実行委員じゃないかな。期間限定の委員會は前期後期じゃなくて、年度の最初にもう一気に決めちゃうみたいで、他の人に迷を掛けないようにここで立候補しちゃうのも一手かもしれない。

個人的には晝休みと放課後に図書室の貸出し業務が主な仕事である図書委員か、忙しいだろうけど短期間でお仕事が終了する選挙管理委員が狙い目だと思う。學式の予行練習の時に學園長先生から生徒會の手伝いを勧められたけど、私の蕓能活を邪魔する意図しかじられなかったので斷ったんだよね。生徒會長さんに挨拶した時に、放課後はほぼ毎日生徒會室で何かしらの仕事をしているそうだから、どう考えても私には無理だ。というか、そこまで忙しいなら業務の効率化とかした方がいいと思うんだけどね。

そんな事を考えていると、いつの間にか楽そうな委員會からどんどんと立候補で埋まってしまっていた。あー、図書委員が埋まっちゃった。こうなったら、選挙管理委員會にるしか無い。

「では、次は選挙管理委員會。定員二人、立候補はいませんか?」

「はいっ」

ちょうどいいタイミングで巖井さんが選挙管理委員の立候補を聞いてきたので、ちょっと食い気味で手をスッと上げた。でも私以外に立候補者はいなかったみたいで、ちょっと張り切って手を上げた人に見えるんじゃないかと恥ずかしくなってしまう。だって今の私って他の人から見たら、よっぽど選挙管理委員になりたかった人じゃない?

「えーっと、松田さんっと」

阿笠さんが教壇にられている座席表を見ながら、私の名前を黒板に手際よく書いた。『他にいませんか?』と巖井さんが訊いているのを他所に、擔任の先生が靜かに私のすぐ傍に移して、こっそりと耳元で囁いた。

「松田さん、選挙委員會って期間は結構居殘りとか多いけど大丈夫?」

「常設の委員會だと一緒にった人に迷を掛けると思いますし、前もって選挙期間を教えておいてもらえれば事務所に相談しますから大丈夫です」

自分のクラスの生徒達の報は前もって頭の中にれているのか、先生が心配そうな表をしていた。かと言って全部を不參加で済ませることが出來ないなら、どこかで妥協するしかないと思う。幸いにして、私には洋子さんというスケジュール管理をしてくれるマネージャーがいるのだ。忙しくなる期間を早めに伝えることができたなら、仕事にが開かないようにうまく調整してくれるだろう。

私が自信満々に言ったからか、先生も安心したように頷いて納得してくれた。なるべく迷掛けないようにしないとね、仕事での欠席についても手間を掛ける予定なんだもん。先生にもクラスメイトにも迷を掛けずに、なるべく一般生徒として埋沒してのんびりとした學生生活を過ごせたらいいな。

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