《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》なんでここまで好かれているのか

數分後。

「し……死んでる……?」

「う、噓……。たったの二分で……?」

ブラックタイガーの死骸を確認した冒険者たちは、口々にそう喚き立てていた。

多くの人が、俺を尊敬の眼差しで見つめるか、畏怖の表を浮かべているか……

とにもかくにも、凄く居づらい空間なのには変わりなかった。

「本當にすごいですね……アルバートさん……。私、尊敬します……」

うっとりした様子で俺を見つめるエリ。

「普段はどこにお住まいなのですか? もし差支えなければ……教えてください」

「え、えっと……」

言うべきかどうか迷ったが、まあ、隠すことでもないしな。

貴族の息子っていうわけでもないし、伝える分には構わないだろう。

「フェミア街……というところに住んでます。このへんの近くの……」

「フェミア街……」

その言葉を聞いて、エリが一瞬だけ同の表を浮かべたような気がした。

「となると、レクドリア家の領地……じゃないですか?」

その様子に、俺は思わず苦笑を浮かべてしまう。

レクドリア家の悪評は、他の領地に住む人間にさえ伝わってしまっているようだな。

「はい……。息子のレオン様には、大変お世話になりました」

「そうですか……。心中、お察しします……」

エリが半歩だけ、俺に距離を詰めてきた。

「冒険者としても、レクドリア家の向を注視してはいるのですが……。やはり大貴族という立場上、あまり強くは出られない狀態でして……。すみません」

「はは……。わかっていますよ。ご丁寧にありがとうございます」

後頭部を掻きながら答える俺。

向を注視している……という言い回しが、しだけ気になるな。まさかとは思うが、冒険者がレクドリア家をマークしているのだろうか?

気になるところではあったが、さすがにそこまで踏みったことを聞き出すわけにはいかない。いまの俺はあくまで一般人だからな。

「で……では、アルバートさん。このあとは、フェミア街に戻るんですか?」

なぜか不安そうに訊ねてくるエリ。

「いえ……。実は所用で王都に行く予定がありまして。落ち著きましたら、またフェミア街に戻る予定――」

「えっ!? 王都ですか!?」

言いながら、エリがぱあっと表を輝かせた。

「実は私、王都に住んでるんですよ! ああ良かった! これでお別れ(・・・)だなんて、明らかに悲しいですもんね!」

「は……はあ……。たしかにそう……かもしれませんね……?」

俺たちはさっき出會ったばかりなのに、この好かれよう。

正直よくわからなかったが、まあ――別に嫌ってわけでもない。

さっきは戦闘に気を取られて気づけなかったが、エリはめちゃくちゃ人だ。年齢は俺よりしだけ上で、たぶん20をし過ぎたあたりだろうか。

そのぶんとしての気が半端なく……

抜群のスタイルに、満すぎるは、男として々と気を取られてしまう。

とても下世話ながら、それほどの人に好かれること自は、悪い気分ではなかった。

「よかったら、いつか一緒に王都を散策しませんか? フェミア街での暮らしは、きっと辛かったことと思いますし……」

「そうですね。機會があえばぜひ、お願いします」

「やった! 決まりですね♪」

無邪気に喜ぶエリだった。

その後、俺たちはそれぞれの馬車に戻ることになった。

エリにももちろん馬車があるので、王都までは別々の馬車で向かうことになる。

そしてまた、ブラックタイガーの素材についても、抜かりなく回収済だ。本當は平等に分けたかったのだが、それは斷固反対され――

素材の9割ほどを、俺が預かる形となってしまった。

まあ、これだけでもある程度は金になるはずだからな。俺にとって金はとても大事なものなので、ありがたく頂戴することにした。

そしてもうひとつ、気になることがあり――

ブラックタイガーの死には、さっきの《闇のオーラ》がなかったのである。生きていた頃はあんなに禍々しいオーラがまとっていたのに、いったいどういうことなのか……

これについては、殘念ながらエリたちにも不明らしい。

長らく魔と戦ってきた冒険者たちでさえも、《闇のオーラ》を見たことはないという。

だから気になるところではあったのだが――まあ、これ以上は考えてもわからないからな。

この件については保留という形で、みんな解散したのだった。

「アルバート様、ありがとう!!」

「あなたは命の恩人です……!」

去り際まで頭を下げてくる冒険者たちが、なんとも印象的だった。

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