「お、おい……歩きにくいんだが……」

王城への道すがら。

両腕を二人のに絡まれた狀態で、俺は実に遅々たる速度で歩を進めていく。

しかも、二人とも部がめちゃくちゃでかいからな。

ふとした瞬間に當たるんだ。満なが。

「エリ。あんた、アルバートの傍から離れなさいよ」

「なに言ってんの。ルリスこそ離れなさいよ」

そのまま火花でも散らりそうな勢いでにらみ合う二人。

そしてそのたびに満なが押し付けられる――という地獄絵図と化していた。

「お、おい、なんだあいつ……」

「片方はエリ様だよな？　綺麗なに囲まれて……いったい何者だ……？」

「もしかしたら、やんごとなき分の人かもしれんな。一応、敬禮でもしておくか」

痛い。

周囲から突き付けられる視線が、妙に痛い。

ルリスは変裝しているから正がバレないにしても――

エリも抜群の知名度を誇っているだろうからな。

まず20歳でＳランク冒険者っていうのが凄すぎるし、加えてこの貌だ。

有名にならないほうがおかしいって話である。

「ふんだ。ルリス、そんなこと言うなら、もう護衛任務けてあげないよーだ」

「いいもん。アルバートにやってもらうし」

そしてやはり、二人はそれぞれの任務を通じて出會ったようだな。いくらなんでも仲良すぎな気もするが。

そして。

俺はとうとう、両手に花の狀態で、王城の手前まで到達した。

口までには大きな橋がかかっており、その橋の両側を、門番の兵士が護衛している形だな。

「な……なんだ、あんたたちは」

俺たちの様子を見て、門番の兵士が明らかに引いていた。

「去れ。観客かどうかは知らぬが――ここは一般人が來ていい場所じゃな――あ、あれ？」

そこまでを言いかけて、兵士がルリスの正に気づいたらしい。

顔面蒼白で立ち盡くした。

「ま、まさか……あなたは……」

「ごめんね。お父様に用事があって。通してもらえる？」

「しょ、承知いたしました！」

兵士は張した面持ちで敬禮すると、さっと橋の両側にを引いた。

――まぁ、そりゃびっくりするよなぁ。

目の前のが王だと知ったら、誰だって驚くはずだ。

「おい……あの三人、王城のなかにるぞ……？」

「真ん中にいる男……。マジで何者だ……？」

ああ……

があったらりたい。

「ふ、二人とも、せめてここからは腕を離さないか？」

「なんで？　私のお家だよ？　張しなくていいって！」

いやいや無理だろ！

ルリスにとってはたしかに《自宅に帰る》くらいの覚かもしれないが、一般市民にとってはめちゃくちゃ張するんだぞ……！

結局、俺は王城に足を踏みれるその瞬間まで、腕を離されなかった。

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