《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》どうにかして勇者を止めないと

「ふ……はははは……」

俺の二本指(・・・)に剣を抑えられたまま、バルフレイがくぐもった笑いを発した。

「まさか私が赤子のように弄ばれるとはな……。驚いたよ。世界は広い……ということか」

「いえいえ。バルフレイさんが力を抑えてくださったおかげです」

「ふふ……」

ふいに、バルフレイが諦観の笑みを浮かべた。

「そうだな、アルバートよ。本來であればとうに合格を言い渡していたところだが――純粋に、興味が湧いてきたな」

「へ? 興味……?」

「ああ。アルバート・ヴァレスタイン。そなたの、真の力をな……!」

と。

バルフレイの様子が――明らかに変わった。

覇気が可視化した……とでも言うべきだろうか。

バルフレイそのものから巨大なオーラが発生し、その驚くべき力の胎に、試験會場そのものが大きく揺れだしている。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……‼ と。

バルフレイが力をれるだけで、試験會場が大きく振する。

壁面に掛けられていた剣や盾たちが、耐えきれなくなったというように続々と地面に落下していく。

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「っと……!」

の危険をじた俺は、ひとまずバックステップをかまし、バルフレイから距離を取った。

これは――すごい。

ブラックタイガーも、ぶだけで周囲の空気を歪めていたが……

バルフレイの気迫は、その比ではない。

頑丈なはずの王城を、こんなに激しく揺らすなんて。

「やっぱり、手加減をしていたか……」

こんなに巨大な力を持っていたなんて――さすがに予想外だったな。

いくらなんでも危ないかもしれない。

と――

「や、やめろバルフレイ! アルバートを殺す気かっ!!」

観客席で戦いを見守っていた國王が、ふいに大きく聲を張り上げた。

「命令だ! よせバルフレイ! その者は合格でいいだろう!!」

――まずい。これはまずいな。

集中しすぎているせいか、國王の聲はバルフレイにまったく屆いていない。

依然として力を高め続け、ただひたすらに、真っすぐに俺を見據えている。

「バ、バルフレイさん……」

まずい。

これはなんとしてもバルフレイを止めないと。

――國王というのはレクドリア家よりも圧倒的に地位の高い人

――命令を無視してしまえば、それこそなにをされるかわからない。

現に俺の友人たちも、レオンを怒らせたばかりに稅金を倍にされた。もともと裕福ではない友人たちだったので、それだけで家計に大打撃を與えたのだろう。

日に日に痩せ細っていく彼らを、俺は黙って見ていることしかできなかった。

「やめろー! バルフレイ! もうやめるんじゃあ!」

「…………」

やはりバルフレイには、俺しか見えていないようだ。

姿勢を低くして、戦闘の構えを取っている。

――仕方ない。

俺はもう、あんな苦しそうな姿を二度と見たくないんだ。

この試験で魔法を使っていいのかわからないが、四の五の言っていられないだろう。

――――

【全自レベルアップ】によってアルバートのレベルが急速に上がりました。

レベル:411

攻撃力:33093

力:32892

魔法攻撃力:43093

魔法防力:38593

速さ:61209

神域覚醒まで:あと589

使用可能なスキル一覧

・【鑑定】

・【闇屬魔法】

・$$$$%$

――

今回用いるのは――《闇屬魔法》というスキルだ。

全屬中、威力だけで見れば最も強い魔法とされていたはず。

もちろん、俺自は生涯で一度も魔法を使った経験がない。

だから正直めちゃめちゃ不安なのだが――スキルの恩恵か、いまの俺は本能的にわかる(・・・)のだ。

どのように魔法を使っていけばいいかを。

「いくぞ! アルバート・ヴァレスタインっっ!!」

をあげ、そのまま突進を敢行してくるバルフレイ。

その速度はさすがのもので、先ほどとは比にならない。さっきまでの戦いは、やはり相當に手加減をしたと思われる。

……であれば、俺も全力をもって応えるべきだろう。

「闇屬魔法発……。中級魔法・アビメイズ」

ぼそりとそう呟いた、その瞬間。

俺の突き出した右手から、超高速で闇の可視放が放たれた。見るも禍々しい漆黒の霊気をまとっており、あれにれるだけでも力をじわじわと削ることができる便利な魔法だ

「へ」

これに一番驚いていたのは、勇者たるバルフレイ。

しかも突進をし始めていたために、途中で避けることもできず――高速で駆け抜ける可視放に押し込められ。

「うぎゃぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!」

――ドォォォォォォォォォォォオン!! と。

試験會場の壁さえも突き破り、遠くへと吹き飛んでいくのだった。

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