《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》レオンとの婚約破棄

レベルオン王城。

その《謁見の間》において。

「レ、レオンとの婚約破棄をむ……!?」

玉座に座り込んだ國王が、ぎょっとしたように大聲を発した。

「ル、ルリスよ。それは本気で言っているのか……!?」

「ええ。もちろんですわ。私の婚約相手はレオンなどではなく……ここにいる、アルバートでございます」

――バルフレイとの試合後。

晴れて《勇者》として認められたあと、俺やルリス、そしてエリは《謁見の間》に戻ることになった。

改めて、全員で話したいことがあるのだという。

ちなみにだが、さっき俺がぶっ壊してしまった壁については不問となった。そもそもバルフレイが「試験としての戦闘を逸し始めた」のが事の発端であり、俺に関しては不問に処すとのこと。

そのぶん、弁償代はバルフレイにかかることになってしまったのだが……

でもまあ、稅金を何百倍にされなかっただけでもマシだろう。心、ほっとしているところだ。

「ま、待て。話が追いつかん」

國王が慌てたように片手を振った。

「アルバートよ。ルリスはこう申しておるが……お主は承諾しているのか?」

「お、俺は……」

そこでちらりと隣のルリスに目を向けると、可らしくウィンクされた。

話に乗ってほしい――ということか。

「ええ、もちろんです。ルリス王殿下を守るためなら、どんな困難をも乗り越えてみせましょう」

「あら♪ アルバートったら♪」

嬉しそうに頬を染めるルリス。

いやいや、あんたが言わせたんだろ……などとは言えるはずもなく。

「うーむ……」

と國王が難しい顔で唸っているのを、ただ聞いているだけしかできなかった。

「たしかに、アルバートはバルフレイをも倒した《勇者》……。たしかに婚姻相手としては申し分ないかもしれんがなぁ……」

「……やっぱり、難しいですか? お父様」

「うむ……。そう一筋縄にはいかんのだよ。お主も事はわかるじゃろう」

「ええ……。それはもちろん」

なんだろう。

なんだかのっぴきならない事があるみたいだな。

「……じゃが、レクドリア家の悪評は余も聞き及んでおる。なるべくルリスとアルバートの意見を聞きれる形で進めたいとは思っているが……」

「ふふ♪ であれば、ご心配には及びませんわ♡」

そこでふいに、ルリスがにこやかに笑ってみせた。

「私から婚約破棄を告げるのではなく――向こうから告げてもらうのです。いかがですか?」

「ほ……? 向こうから……?」

國王が目を丸くした。

「であれば別に構わんが……。なにか策でもあるのかの?」

「うふふ、もちろんです♪」

「…………」

二人の會話を聞きながら、俺は心では疑問をじていた。

レオンに婚約破棄をしてもらう……そううまくいくだろうか……?

レオンもたしか……噂によると異経験がなかったはずだ。

大貴族とはいっても、あの見た目だしな。しかも格も悪いときたもんだから、結局はに逃げられてしまい、怒り狂って稅金を倍にする……というのがよくある流れだった。

言い寄られたにとっては、稅金を上げられてでもレオンと関係を持ちたくなかった……ということだろうな。

だからこそ、レオンはこの婚約を心から楽しみにしている。

の立場が上がるのもそうだし、男としてもな。

だからレオンみずから婚約破棄するのはありえないと思うのだが……ルリスにはなにか策があるっぽいな。

であれば、それにできるだけ付き添うのが《仮初の人》としての務め。

ルリスは恩人でもあるんだし、一杯の協力だけはさせてもらうか。

そう決意を新たにするのだった。

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