《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》とデート

翌日。

俺は両親に見送られ、故郷フェミア街を出た。

もちろん徒歩で行くのは大変なので、馬車を使ってだ。

――ありがとう、ありがとう。

――アルバートには期待してるけど、辛くなったらいつでも戻ってきていいからね――

涙ながらにそう語る両親の姿が、いまでも脳裏にこびりついている。

これで……一応は親孝行を果たせたと思っていいんだよな……?

狙ったわけじゃないとはいえ、一年分の稅金は免除されたわけだし。多くの金貨を両親に渡すこともできたし。

――本當にありがとう、アルバート。

――いつでもご飯用意して待ってるからね。

「…………」

両親の嬉しそうな表に、しだけ心の重荷が取れたかのような笑顔。

人ってあんな屈託のない笑顔を浮かべられるものかと、改めてじた瞬間だった。

であれば、レクドリア家の悪政がなくなった先。

フェミア街には、どんな幸福が訪れるのだろう――

そんな見果てぬ夢を想像しながら、俺は馬車に揺られるのだった。

「アルバートっ!!」

「ル、ルリス……」

數時間後。

王都の馬車屋に著いた俺を、第二王のルリス・ラ・レベルオンが出迎えてくれた。

もちろん帽子を目深に被っており、服裝も全的に地味なじだ。だから王と思われることはないだろうけど――

「おいおい……まさかずっと待ってたのか?」

「うん。それが人(・・)として當然の務めでしょ♪」

「そ、そうだな……。ははは」

今回だけに限らないんだけど、俺たちって本當に《仮初の人》だよな?

たまに、とても《仮初》とは思えない瞬間があるんだが……まあ、それだけルリスが役者ということだろうか。彼が俺に惚れるなんて、天と地がひっくり返ってもありえないことだし。

「エリさんはどうしたんだ? 俺に王都を案してくれるって言ってたけど」

「んー。なんかね。急に強い魔が現れたらしくて……至急、そっちに向かってるみたい」

「そ、そうなのか……」

急に強い魔

なんだか心配だな。

またブラックタイガーのときみたいに、大混に陥ってなきゃいいんだが……

「大丈夫だって。バルフレイさんも一緒に行ったみたいだし」

「そっか。バルフレイさんも……」

バルフレイ。

《勇者試験》のときに並々ならぬ力を見せつけてくれた彼であれば、きっと心配の必要もないだろう。むしろ魔のほうを心配したくなるまである。

「それよりも、アルバート!」

ふいにルリスが俺に腕を絡めてきた。

「今日はお休みでしょ!? 一緒に王都を歩きまわろうよ♪」

「ル、ルリス……當たってるんだけど」

「當たってる? なにが?」

「い……いや。なんでもない……」

駄目だ。

もうなにを突っ込んでも無駄な気がする。

――まあ、いいか。

俺自も、昨日の今日でめちゃくちゃ疲れたし。

今日くらいは、思いっきりリラックスしたい気分だ。

「わかった。一緒に行こう、ルリス」

「やった♪」

そう言って満面の笑みを浮かべるルリスは、やはり《仮初の人》とは思えないのであった。

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