《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》仮初の関係だよな?

これは……俗に言う、デートってやつだろうか。

俺と腕を組むルリスが……本當に楽しそうなのだ。

「ねーねー、あっちのアイスクリーム屋行こうよ! すっごく味しいよ!」

「あ、ああ……。別にいいが……」

俺たち、あくまで《仮初の人》だよな?

今回だけに限ったことではないが、どうも《仮初》には思えないような……そんな一幕が本當に多いのだ。

そう――まるで本當の人であるかのように。

「アルバート? どうしたの? あまり楽しそうじゃないよー?」

「え……? い、いやすまない。なんでもないんだ」

考え込みすぎていたのだろう。

ルリスに突っ込まれてしまった。

「はい、あーん♡」

「え、ちょ、むがっ!!」

なかば無理やりといった形で、スプーンを口に突っ込まれる。甘いチョコレートとイチゴの味が混ざった味が、口のなかで溶けていく。

「う、うまい……」

「でしょ♪ よくこうして食べにきてるんだ♪」

なるほど。そうなのか……

「って、ことは……」

口のなかのアイスを飲み込んでから、俺はルリスに問いかけた。

「ルリスはいつも、変裝して歩き回ってるってことなのか? 王都中を」

「そうね。王城の堅苦しい雰囲気は……あんま好きじゃないから」

「そうか……」

なるほど。たしかにそうかもな。

王城でかしこまっているよりも、こうして外ではしゃぎまわっているほうが、ルリスらしいというか……

「そっか……どうりで話しやすいわけだ」

「……え?」

「俺もまあ、裕福な暮らしをしてきたわけじゃないからな。いくら《仮初》の関係といってもうまくいくか不安だったんだが……ルリスとは、ごく自然に話せるんだ」

「え……? そう、なの……?」

「ん? ああ」

なんだ。

思いっきり顔を赤くしてるぞ。

よくわからないが、別に噓をついているわけでもない。俺はあくまで、のうちを素直にルリスに打ち明けた。

「だから、ルリスとこうして出會えたことは謝してる。本當に、ありがとう」

「な、なに言ってんのよ! もう! バカっ!」

「いてっ」

おい、テーブルの向こう側から足を踏まれたんだが。

まさに理不盡きわまりない暴力。

これもまた、リアルさを追求した人の姿……ということか。

「で……でも」

ルリスは珍しくモジモジしながら、か細い聲で呟いた。

「もう……いいんじゃないかな? 仮初じゃなくても」

「へ? どういうことだ?」

「えっと、その……」

ルリスはそこで極限まで頬を赤らめると。

「な、なんでもないですぅ! いーだ!!」

「いてぇ! なにするんだよ!」

また足を踏みつけてくるのだった。

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