――聖剣レヴァスタイン。

つい先ほど《剣聖》パルア・ヴァレスタインからけ渡された剣は――妙に俺の手に馴染んでいた。

本能的に《剣聖》の戦い方が伝わってくるというか……

無意識のうちに、剣の使い方が馴染んでくるというか……

「あれ……？」

俺の様子に気づいたのか、エリが目を丸くして言った。

「アルバートさん……。剣なんて持ってましたっけ？　なんだかずいぶん凄そうな剣ですけど……」

「いえ……。これはついさっきもらった剣です」

「へ？　も、もらった……？」

「ええ。ちょっと、試し斬りさせていただきます」

たしかに魔の數は多いが、しょせんはゴブリンやウルフたちだもんな。

戦闘未経験の俺でも、充分に戦えるはずの相手だろう。

試し斬りにもうってつけなはずだ。

「ま、待ってください。あいつら、なんだか普通じゃなくて。いったん作戦を立てて――あっ！」

エリが何事かを言い終えた頃には、俺は駆け出していた。

かつてない速度で後方に流れゆく景にを覚えながら、俺はまだまだ走る速度を緩めない。

――いい？　アルバート、この世界にはね、失われし流派っていうのがあるの――

そうしながら、俺の脳裏には《剣聖》スキルを授かったネーニャ姉さんの言葉が浮かんできていた。

――「ヴァレス流」っていってね。その昔、剣の一振りで多くの魔を蹴散らしたっていう伝説の流派なんだけど……。殘念なことに、どこにもされてなくって――

――だから私、それを探してるんだ。最強のヴァレス流を――

――っていうかアルバート、「ヴァレス流」って、あなたの「ヴァレスタイン」とそっくりね……！　さすがに偶然とは思うけれど――

現代では失われし最強の流派。

そうか。

それを唯一扱えるのは、あえて名前をさなかったパルア・ヴァレスタインの流派。

つまり、俺がいま使おうとしている剣技も……

――ヴァレス流、一の型。

――無限千刃（むげんせんこうじん）！！

俺は本能のままに剣を振るい。

近くにいる魔たちを、勢いよくなぎ倒していった。

俺のきに反応する魔は、一たりとて存在せず――

數秒後には、すべての魔が倒れ伏していた。

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