《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》相変わらずハチャメチャな奴だ

「はぁぁぁあ!? おい、てめぇ、アルバートじゃねえか!?」

ふいに下品な喚き聲を放ってきたのは、忘れもしないあいつ(・・・)――

レオン・レクドリアその人であった。

先日も會ったばかりなのに、今日も會う羽目になるとはな。嫌な縁もあったものだ。

「なんだぁてめぇ! てめぇみたいなカスが、なんでこんなところにいやがる!?」

「……前もお話したでしょう。いまの俺は《勇者》。ただ職務をまっとうしにきただけですよ」

「けっ、勇者だなんだって……ムカつくな……!」

そう言って特大の唾を吐き捨てるレオン。

汚い。

めっちゃ汚いな。

護衛でも連れてきたのか、レオンの背後には剣士と思わしき男が二人控えている。

名前までは知らないが、たしかフェミア街の出者で……ことあるごとに、レオンと一緒に俺をけなしてきた連中だな。

「ふん、おまえごときが《勇者》などと……不正を犯したに決まっている……」

だからこうして、相も変わらず俺に悪態をついてきている。

まあ、いわばレオンの取り巻きのような男たちだな。

「おい……あの人は……」

「まさかレクドリア家の……!?」

レオンの登場は、良くも悪くも場の雰囲気を大きく変えてしまった。戦いが終わって、せっかく和やかな雰囲気にりかけていたのに。

「おぉい! おまえら! 騙されるなよ!」

その微妙な空気を、レオンの高らかな聲が切り裂く。

「こいつは【全自レベルアップ】っていう外れスキルの所持者だ! そんな奴が魔を一網打盡にできるわけがねえ! なにか汚ねえ手を使って、名をあげようとしてるんだ! そうに決まってる!」

おい。

おいおいおい。

隨分な言いようじゃないか。

なんの確証があってそんな出鱈目(でたらめ)を……

「レオン様? なにをおっしゃっているのです?」

そう詰め寄ったのは、Sランク冒険者のエリ。

レオンの発言などまるで信じている様子もなく、し怒ったような表でレオンににじり寄っている。

「アルバートさんは不正なんてしていません。正々堂々、剣で戦いました」

「あん? なんだぁてめぇは?」

「申し遅れました。私はエリ・ファーラス。Sランクの冒険者として活させていただいております」

「エ、Sランク……!?」

さすがにたまげたようだな。

ぎょっとしたように目玉が飛び出ている様子は、正直みっともないといったらない。

「ふ、不正だ! ア、アルバートにあんたみたいな人の知り合いがいてたまるかぁぁ……!」

「……あら。それは一応、お褒めの言葉ですかね♡」

そう言って妖艶に笑うエリ。

うん、當然っちゃ當然なんだけど、彼のほうが一枚上手だな。

レオンは一応領主の息子だし、エリも形式上は敬語で話しているようだけど。

「むぅ……」

「Sランク、冒険者……」

普段は俺をなじってきている男たちも、さすがにエリには反発できないんだろう。悔しそうな表で歯噛みしている。

「くそ……俺の名譽が……。これじゃ骨折り損じゃねえか……!」

……なるほど。

おおかた、ここに《魔が出沒している》ことを聞いて、急いで駆けつけてきたんだろうな。

もちろんそれは正義のためではなく……自分の名聲を高めるため。

何度も言うが、あいつのスキルは《魔法の全使用可》。

魔法の訓練をしていようがしていまいが、すべての魔法を扱うことができるぶっ壊れスキルだからな。

だからいっちょここで魔を蹴散らして……自の名を上げたかったんだろう。

先日はたぶん、父のユーマオスにめちゃくちゃ叱られただろうしな。汚名返上の意味もあると思われる。

と。

「「グォォォォォォォォォォォォオオオオアア!」」

なんと……

驚くべきことに再び魔の聲が聞こえ、俺は肩を竦ませるのだった。

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