《《書籍化&コミカライズ決定!》レベルの概念がない世界で、俺だけが【全自レベルアップ】スキルで一秒ごとに強くなる 〜今の俺にとっては、一秒前の俺でさえただのザコ〜》凄腕の実力者に囲まれて

「「グォォォォォォォォォォォォオオオオアア!」」

突如にして魔の咆哮(ほうこう)が響きわたり、俺は肩を竦ませる。

――なんだこの聲は。

――魔はさっき、すべて倒したはずだが……!

そんな思考とともに背後を振り返ると、そこにはやはり、大勢の魔の姿が。

ゴブリンやウルフなどなど、魔の種類はさっきと変わっていないが……やはり《闇のオーラ》をそのに攜えているな。

初代國王が言っていた《闇の軍勢》……

その影響ということか。

「ひゃっは――――っ! 倒し損ねた魔がこんなにいるたぁ……アルバート、やっぱてめぇはその程度だったみてぇだなぁぁぁぁぁぁああ!」

どういうわけか、嬉しそうな奇聲を発するレオン。

「おい、あとは俺に任せとけっ! ゴブリンもウルフも、俺の手にかかりゃどうってことねえぜ!」

「……え? レオン様おひとりで倒されるんですか?」

目をぱちくりさせてそう訊ねるエリ。

……なんだろう。

ちょっと人の悪い笑みを浮かべていたのは気のせいだろうか。

「あったりめえよ! こんな奴ら、俺の《魔法の全使用可》でワンパンだぜ!」

「そうですか……! さすがはレオン様!!」

二人のやり取りを聞き流しながら、俺は黙って意識を集中させていた。

――なにかが、いる。

こちらを數人で見張っている、怪しい気配が。

俺はちらりとそちらへ視線を向けると、その気配はなんと消えてしまった。

……なんと。

俺のきを察して逃げ出した……ということか。

それが《闇の軍勢》なのかなんなのかは知らないが、さすがに放っておけないな。もちろん《勇者》としての責務でもあるし、初代國王や剣聖に後世を任されたとしても……ここはきだす必要があるだろう。

「あれ? アルバートさん、どうし――あっ!」

エリが何事か話しかけてきたようだが、その発言が終わらないうちに、俺は走り出していた。

もし相手が逃げようとしているのであれば、決して悠長にはしていられないからな。

悪いが、ここはスピードを重視させてもらった。

「アルバートさん、どうしたんですか……!?」

數秒後。

なんと俺を追いかけてきてくれたのか、走る俺の脇にエリが並んだ。

「エ、エリさん……? どうして俺についてくるんですか……!?」

「いえ。ウルフやゴブリン程度(・・・・・・・・・・)なら、俺ひとりで倒せるってレオン様が仰ってたので。大貴族様には逆らっちゃいけないなと♡」

「は、はぁ……」

なんだ。

妙に意地の悪い顔をしていた気がするが……気のせいだよな。たぶん。

「それに……そなたにはなにか、考えがあるのではないか?」

そう言って走り寄ってきたのは――なんと《勇者》バルフレイ。

驚くべきことに、彼もまた、俺を追いかけてきてくれたらしいな。

「バ、バルフレイさんまで……。俺が違和を覚えたのも《ほんのし》だけなので、正直、あまり自信がないんですが……」

「なあに問題なかろう。私にはなにもわからなかったが……達人のじる気配というのは、案外馬鹿にならぬからな。さっきのゴブリンたちの様子……私としても、気になるところだ」

……なるほど。

バルフレイも《勇者》として、なんとしても今回の騒の原因を突き止めたいらしいな。

二人に期待されるのもなんだか面映ゆいが……いまは、目の前の出來事に集中するのみだ。

そう決意を込めて、俺は走り続けるのだった。

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