《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》と會話できるだって!?

フェンの活躍によって、僕たちはゴーレム相手に勝利を収めることができた。

「倒せました」

そう言って振り返る。

ジェレマイア試験は目を丸くしたまま、口をあんぐりと開けていた。

「はっ……! ご、ごめん。……いや、まさかゴーレムを倒してしまうとはね」

「え?」

ジェレマイア試験の言葉に首を傾げる。

「先ほど説明したとおり、この模擬試験は君がどれくらい魔と連攜して戦えるかを見るためのものだったのでね。用意したゴーレムは、本來Aランクの魔使いでは倒せないはずだったんだ。本當に驚きだ。君はかなり強いんだねえ」

「僕は何もしていません。ゴーレムを倒せたのは、フェンが頑張ってくれたおかげなので。ね、フェン」

フェンに微笑みかけると、フェンは僕の足に鼻先をこすりつけてきた。

『何もしてないなんてことはない。主が魔法で飛んでくれたから、ゴーレムの首に飛びかかれたのだ。だからさきほどの勝利は、主と我の二人で摑んだものだ。我は主とともに戦えてうれしかった』

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「うん、そうだね。僕も同じ気持ちだよ」

フェンの頭をなでると、気持ちよさそうに目を細めた。

「――さて、ディオ君。魔使いの模擬試験は問題なく合格だよ。おめでとう!」

「……! ありがとうございます。やったね、フェン」

笑顔でフェンを見る。

フェンも口を開けてニパッと笑い返してくれた。

「次に挑戦するのは、明日行われる賢者の模擬試験だね。そちらにも合格できたら、賢者と魔使いの本試験をまとめてけてもらうことになるよ」

「わかりました。頑張ります」

「……ただ、賢者の模擬試験は、正直今日よりかなり難しいと思う。賢者がもともと特別上位職だってこともあるけど、何よりも擔當の試験の癖が強くて有名なんだ」

「癖が強い?」

「うん、ルカ試験って言うんだけどね。彼に心をぽっきり折られて、冒険者になることすら諦めて田舎に帰った者の數は知れない。……しかも彼がこのギルドの試験になってから、賢者の合格者は一人も出ていないんだよ……」

一人も合格者がいないなんて、かなりハードルが高そうだ。

「でもねギルドマスターと同じように、僕も君には特別な才能をじてる。君だったら、ルカ試験が認める初めての賢者志者になるかもしれないよ。とにかく、明日の試験に萬全な狀態で挑めるよう、今日は宿でゆっくり休むといい」

自分の才能についてはよくわからないけれど、気負ったって仕方ない。

ジェレマイア試験の言うとおり、コンディションを整えて明日の試験に挑むのみだ。

「宿屋は港のエリアにいくつも建っているから、予算と相談して泊まる場所を決めるといいよ。ただ、今の君はまだ魔使いのライセンスを持っていないだろう? そうなると魔と一緒に宿泊することはできないんだ」

「そっか。そういう決まりがありましたよね。じゃあ今晩もフェンと一緒に野宿します」

そう答えたら、フェンが僕の足を鼻先でツンツンと突いてきた。

『主、主』

「ん? どうしたの、フェン?」

『我を気にすることはない。主は宿に泊まってくれ。我は宿の外で眠る』

「だめだよ。フェンだけ外で寢かせるなんてできない」

『だが、主は明日大事な試験なのだし……』

「僕たち、家族だよね!?」

『むう……。……わ、わかった。主がそこまで言うのなら……』

「ジェレマイア試験、もし野宿に良さそうな場所を知っていたら教えてほしいんですが」

「うーん。ここは夜でも賑やかな街だから、正直野宿が安全とは言えないんだよね……。夜ふらふらしてる酔っ払いが本當に多いんだ。……よし、君たち二人で泊まれるように、僕が知り合いの宿にこっそり頼んであげるよ」

「え、でも……そんなご迷をかけるわけには……」

「黙ってくれれば、大事になったりもしないから。――これは言おうかどうか迷ったんだけど、數年前からこの街では、魔盜難事件が時々起きているんだ」

突然飛び出した不穏な話に衝撃をける。

「魔を盜難って……。いったい誰が何のためにそんなことをするんですか」

「魔使いによって一度人慣れした魔は、ペットとして飼育することも可能だから。金持ちの貴族なんかが闇取引で手にれたがるんだよ」

「そんな……」

「とくにフェンリルはただでさえ貴重な魔だし、人間に従屬する個なんて聞いたことがないからね。なんとなく嫌な予がするんだ。その子はフェンリルだけあって相當強いけれど、それでもまだ子供だ。道端で寢っていたりしたら、狙われる可能がある。人に従屬するフェンリルが現れたってことは、今頃街中に知れ渡っているだろうし」

「知れ渡るって、僕らのことがですか……?」

「君らは自分が思っている以上に注目の的だってことだよ。理不盡な理由で絡んできた冒険者たち相手にも、ひと騒起こしたって聞いてるよ」

「うっ……。あれは本當に申し訳なかったです……」

「ということで、今回だけは例外的に、僕が紹介する宿に泊まるといいよ」

「……フェン、そうさせてもらおうか?」

『主に任せる。我はどんな人間が襲ってこようが、ひと噛みで撃退してしまうがな』

「人間を噛むのは基本なしにしようね!?」

『主がそういうのなら守る』

「ふふ。ありがとう」

そんな僕らのやり取りを見守っていたジェレマイア試験は、何度か瞬きを繰り返した後、慎重な態度で尋ねてきた。

「……うーん。……でもまさか。……いや、うーん……。あのさ……まさかとは思うけど、君、そのフェンリルの言ってることを察せられているのかい?」

「察する、というか普通に會話ができています」

「ん!? 會話ができてるって……。それはつまり、態度からなんとなく伝えたいことが理解できるという意味ではなくて?」

「あ、いえ、普通に言葉をかわせるんです。人間相手に會話するときと同じように」

「なっ!? ほんとに!?」

「はい」

「なんてことだ……。魔と會話ができる人なんて初めて出會ったよ!?」

「そんなに珍しいんですか」

「珍しいなんてもんじゃないよ。それは君だけの特別な能力だ」

そういえば、悪喰の加護で母フェンリルを吸収したことによって、僕はフェンと會話できるようになったのだった。

……となると、もしかしたら、フェン以外でも吸収したことのある魔が相手なら言葉をかわすことができるのではないだろうか?

奈落の底で吸収したのは、どれもSSランクのレアな魔ばかりだったので、同じ魔と二度會うということがなかった。

そのせいで、この可能に今まで気づかなかったのだ。

「ディオ君のその力は、魔使いなら誰もが羨ましがる能力だよ。命令を聞かせたり、ある程度は意思疎通がはかれるけれど、結局そこ止まりだからね。自分の魔と會話ができたら素晴らしいだろうなあ」

心底羨ましそうにジェレマイア試験が呟く。

たしかにこの力のおかげで、僕はフェンと家族になることができた。

悪喰の加護の力によって、いろんな変化が僕のに起きたけれど、フェンと會話できるようになったことが一番よかったな。

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