《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》命の恩人

フェンはソファーに寢かされ、をすっぽり覆うように丁寧に布がかけられていた。

布から頭だけを覗かせたフェンは、短く苦しそうな呼吸を繰り返している。

「フェン……。今、アリシアさんが薬を作ってくれるからね」

アリシアは薬瓶や素材の並べられた棚の前を行ったり來たりして、ソファーのすぐ傍にある作業臺に必要なものを並べていった。

素人の僕から見ても、かなり手際がいい。

まずはすり鉢を使って、僕の獲ってきた白蓮魚の鱗を々に砕いていく。

ゴリゴリゴリゴリという音が靜かな部屋の中に響く。

末狀態になった鱗はガラスの容に移され、棚から取り出された薬瓶の中のが何種類も混ぜられた。

の中のは薄紫をしていて、ときどき、パチパチッと火花のようなものが弾けている。

アリシアはその上に手を翳して、呪文を唱えはじめた。

アリシアの手のひらがぽうっとる。

何度か同じ作が繰り返されたあと、の中からぷかぷかっと紫の小さな雲が浮かびはじめた。

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雲ははじめ紫をしていたのだけれど、次第に変化していき、最後はピンクになって消えた。

気づけば、容の中のも薄桃に変わっている。

「――よし、完! ディオくん、フェンちゃんの口を開けてくれる?」

「わかりました。フェン、しだけごめんね」

フェンに呼び掛けて、両手で彼の口を開く。

「そのままにしていて」

ぐったりしているフェンはされるがままだ。

アリシアは容の中の解毒薬をスポイトで掬うと、フェンの舌の奧に三滴垂らした。

「今度は口を閉じて押さえて。すごく苦いから暴れちゃうと思うの」

アリシアに頷き返し、待つこと數秒。

突然、フェンがぱちっと目を開いて暴れ出した。

『……うげえええっっ……』

「大丈夫よ。フェンちゃん、落ち著いて。苦いけど、その分、効果は絶大だから。安心して」

アリシアがなだめるようにフェンに話しかける。

フェンはバタバタと両足をかしていたが、しすると大人しくなった。

何回か瞬きを繰り返し、それから不思議そうに僕を見上げてきた。

『……主、僕あれ?』

「フェン! よかった、もう大丈夫だよ!」

『僕、どうしたの……?』

きょとんとした顔で目をパチパチとさせる。

意識が戻ったばかりだからか、口調がいつもに比べて子供っぽい。

いや、もともと子供なのだから、見た目どおりのしゃべり方になっているといったほうが正しい。

何が起きたのか理解できていないフェンに、竊盜団のことやまたたびを嗅がされて意識を失っていた事を説明する。

『……! ……僕、そんなことに……。ごめんなさい、主。迷をいっぱいかけちゃって……。主の役に立ちたくてついてきたのに、これじゃあ僕ただの足手まといだ……』

「何言ってるんだ。昨日の試験でだってすごく活躍してくれたじゃないか。それにフェンは何も悪くない。悪いのは君を盜もうとした奴らなんだから」

『主……。……助けてくれてありがとう。主は命の恩人だ……』

「君を助けたのはここにいるアリシアだよ。彼が解毒薬を作ってくれたんだ」

アリシアをフェンに紹介する。

「治ってホッとしたわ」

『主、この人にお禮伝えてくれる……?』

「もちろん。――アリシア、フェンがお禮を伝えてほしいって言ってるんだ」

「ふふ、ディオは仕草からこの子の気持ちがわかるの? でも私は薬を作っただけよ。ディオが調合に必要な白蓮魚の鱗を必死になって取ってきてくれたのよ」

フェンに向かってアリシアが微笑みかける。

大人しく話を聞いていたフェンがその瞬間、ピッとを逆立てた。

『白蓮魚!? そいつら種族は狂暴すぎて、大昔に奈落の谷を追放になったって母さんが言ってたよ!? 僕を助けるためにそんな奴と戦ってきたの!?』

「白蓮魚も奈落の谷にいたのか。だけど、追放された後、弱くなったんじゃないかな? たしかに狂暴そうな見た目をしてたけど、全然大したことなかったから」

『そんなことないと思う……。きっと主が強すぎたんだ……』

白蓮魚の話をフェンとしていたら、アリシアが「そう、白蓮魚!」と聲をあげた。

「ちゃんと聞きたかったんだけど、ほんとに君ってどうなってるの!?」

「え?」

「白蓮魚のことよ! あんな短時間であいつを生け捕りにしてくるなんて、普通じゃないわよ!?」

「フェンをどうしても助けたくて、かなり急いだから。その気持ちが結果に繋がっただけだと思う」

「気持ちの問題でどうにかなることとは思えないんだけど……!?」

アリシアの言葉に、フェンも激しく頷いている。

「でもとにかくフェンが元気になってくれてよかったよ」

フェンを抱き寄せて頬ずりする。

『主、くすぐったいよお』

「えへへ。うれしくって。――ところでフェン、その口調だけど」

『口調? …………………………ハッ!!!!!!!!!!!!!」

途端にフェンの目が泳ぎはじめる。

『い、いいいい、今のは忘れてくれ……!!!!!』

「え? どうして?」

『どうしても!!!!!!』

フェンはよっぽど恥ずかしかったのか、尾を丸めて、背中を向けてしまった。

『我としたことが、寢ぼけてとんでもない醜態をさらしてしまった……』

「そんなことないって。すごくかわいかったよ。見た目の印象通りのしゃべり方だったし」

『くっ……こんな威厳のないコロコロ、我は早く卒業したいのだ……!!!』

ぺたんとしてしまった両耳を押さえて、フェンがさらに小さくなる。

アリシアにフェンが言っていることを伝えると、彼は「かわいすぎる!」と言って笑い出した。

アリシアがフェンを治してくれたおかげで、僕らはそんなふうに和気あいあいとした雰囲気に包まれることができたのだった。

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