《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》僕、幻も持ってるんで

「こっちだ」

匂いを頼りに夜の街を進んでいく。

商店街を通り過ぎ、川を渡り、下町にった。

途端に治安が悪くなった。

深夜にも関わらず、大勢の酔っ払いが騒ぎまくっている。

そんな景を橫目に先を急ぐ。

匂いは、半地下の酒場へ続いていた。

僕が先頭に立ち、そのあとをフェンを抱っこしたアリシアがついてくる。

薄暗い階段の奧からは、淀んだ空気と共に酒の匂いが漂ってきた。

もちろん、僕が追っている香水のかおりも。

広々とした店を真っ直ぐ進んでいく。

一番奧の一段高くなっているビップ席に、その男は座っていた。

両脇には、出の激しいドレスを著たがずらっと並んでいる。

晝間の溫厚な人像はどこへやら。

こうしてみると、意味もなく浮かんだ笑みがとんでもなく胡散臭い。

僕はその席に向かうと、低いテーブルを挾んで男の真正面に立った。

テーブルの上には高価そうな酒や、フルーツ、オードブルが所狹しと置いてある。

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「冒険者ギルドの試験って、そんなに稼ぎがいいんですか?」

そう。

僕の目の前に座っているのは、今日、魔使いの試験で擔當教だった男ジェレマイアだ。

ジェレマイアは、じることなくにっこりと笑って見せた。

「これはこれは、奇遇だね。でも君みたいな若い子にはまだこのお店は早いんじゃないかな?」

「僕が何をしに來たかわかっていますよね?」

「さあ?」

「とぼけても無駄ですよ。僕らはあなたの紹介で、魔竊盜犯の経営する宿に泊まることになった。あなたの紹介だからといって、食事を大盤振る舞いした宿の店主。その食事に盛られていた睡眠薬。偶然だと主張するのは無理がある。まあもしあなたが認めなくても、すでに捕まった殘りの仲間に自白させればいい」

「冤罪で僕を憲兵隊に差し出すつもりかい?」

「冤罪だというのなら、憲兵隊の前で証明すればいい。僕が間違っているのなら、そのときちゃんと謝罪します。憲兵隊のもとまで同行してくれますね?」

僕の質問には答えず、ジェレマイアが口元に歪んだ笑みを浮かべる。

そして、彼の加護である幻魔法を発させた。

「ひっ、地震だあああああ」

「きゃあああああ!?」

周囲の人々が取りしながら、床に倒れ込む。

立っていられないほど室が揺れている、と思いこまされているのだろう。

酔いして、酒を勢いよく吐いている者もなくない。

ジェレマイアは、ひどい混狀態に陥った人々を蟲けらのように眺めた後、悠々とした足取りで店を出ていこうとした。

「どこに行くつもりですか?」

その肩に手をかけて引き留める。

直前まで余裕のある態度を取っていたジェレマイアの顔に、初めて焦りのが浮かんだ。

「……!? おまえ、どうして幻で酔わない!?」

「僕、幻も持ってるんで。逃げようとしたってことは、罪を認めたってことですよね?」

「……っ、くそ……!」

が効かないと分かった途端、ジェレマイアは走って逃げだそうとした。

……無理があるって。

僕は彼の肩を摑んで振り返らせると、すべての怒りを込めて、ジェレマイアの顔に拳を叩き込んだ。

「ぶへッッ……!!」

拳を強化することもしっかりと忘れなかったから、慘めな聲をあげたジェレマイアは部屋の隅から隅まで吹っ飛んでいってしまった。

それと同時に奴の幻魔法が解除された。

幻を見させられていた人々が我に返って、きょろきょろと辺りを見回している。

「え……? なに? 地震は……?」

「壁や地面が割れてたはずなのに、全部元通りだぞ!?」

「いったいなにがあったの!? って、ぎゃああ、この男私の上に吐いてるううう」

僕は座り込んだまま混している人々の間を通って、ジェレマイアのもとへ向かった。

ジェレマイアは鼻を流しながら、ぼこぼこになった左頬を掌で覆っている。

「あぐぁあああ……いだいいいぃいい……いだいよおおおおお」

「今のはまたたび酔いで苦しんだフェンの分です」

倉を摑んで、ジェレマイアを起こす。

「魔使いであるあなたが、魔使いと魔を強引に引き離すようなことをするなんて」

「うぐっ……。き、きれいごとを言いやがって……っ……。あぐっ……うう……ま、魔は人間様に利用され使われるだけの存在だ……っ。道を売りはらって何が悪――」

勝手な主張をペラペラと並べているところに、もう一発。

倉を摑んでいた手を離すと、完全に力の抜けたジェレマイアのが壊れた人形のように床に倒れ込んだ。

「今のはこれまであなたに傷つけられた魔使いと魔の分です。こんな一発では到底足りないだろうけれど」

完全にびているジェレマイアを見下ろし、ため息を吐く。

何発この男を毆ろうと、奪われた命は戻らない。

「もっと早く僕がこの街に來ていれば……」

そう呟き立ち盡くしていると、後ろから優しく肩を叩かれた。

「ディオ、あなたは未來の犠牲者を救ったのよ」

振り返ると、アリシアが微笑みかけてくれた。

勵ましてくれたことへのお禮を込めて、僕も笑みを返す。

それから、アリシアの腕の中にいるフェンに視線を向けた。

「……フェン、人間に幻滅した……?」

フェンは目を丸くした後、首を橫に振った。

『我はまだフェンリル以外の生きのことを詳しくは知らぬ。だが、どこにも善と悪の両方が存在することを理解している。人間もそうだろう? 善人もいれば悪人もいる。我は主が人間である限り、人間を憎みはしない』

こちらにきたいというようにいたフェンを、アリシアが差し出してくる。

白くてもこもこの塊をけ取ると、顔中ペロペロと舐められた。

僕は人より溫かいフェンの溫をたしかにじながら、ふわふわのをぎゅっと抱きしめた。

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