《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》初めての合格者

「試験を続けます。私から模擬試験合格の言葉をもらいたければ、賢者として認められるほどの人間を示してみてください」

どういう意味だろう……。

僕は戸いながら、ルカ試験の顔を見た。

「制限時間は五分としましょう。五分以に、あなたの人間が賢者にふさわしいものだとわからなければ、落第とします」

人間という象的な言葉に対する説明はなされないまま、カウントダウンがはじまってしまった。

人間を示すってどうやって……?

そもそも賢者にふさわしい人間ってなんなのだ。

「何もしないでいるうちに五分経ちそうですね」

を起こせないでいる僕を観察しながら、ルカ試験が言う。

「この試験をける者は、悪あがきをするか、あなたのように何もできずにいるかのどちらかです」

「その結果、これまで誰もからなかった?」

「そうです」

「……」

し考えてから、僕は肩の力を抜いた。

「……すみません。賢者にふさわしい人柄なのか、僕は自分でもわかっていません。だから、自分のどんな部分をあなたに見せればいいのか、考えがまったく浮かびません。せっかく時間を割いてもらったのに、こんな答えしか出せなくて申し訳ないです。――今日はありがとうございました」

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ルカ試験に対し、ぺこっと頭を下げる。

微かにため息をつく気配が伝わってきた。

「自分のことを客観的に見て、潔くれられるのはよいことだと思います。……わかりました。――ところで、これは試験とは関係ないのですが、ひとつ聞いてもいいですか? どうして寢不足の狀態で試験をけに來たのですか?」

あれ?

試験で気を張っていたから眠気はじていないし、欠などをした覚えもない。

「どうして寢不足だってわかったんですか?」

「賢者ならばそのぐらい見抜けるものです」

そうなのか。

すごいな。

眠れなかった理由は魔盜難事件に巻き込まれたり、ジェレマイア試験を捕まえに向かったせいだと説明をすると、試験に備えてしっかりコンディションを整えてこなかったことの言い訳をするみたいで憚られた。

そもそも、試験を捕まえたのが自分だということを広めたくはなかったので、僕はただすみませんとだけ返した。

「まあ、いいでしょう」

ルカ試験は立ち上がる。

『……主、殘念だったな』

僕の腕の下に顔を突っ込んできたフェンが、めの言葉をかけてくれた。

「ギルドマスターたちをがっかりさせちゃうね……」

実力不足だったのは仕方ない。

でも、期待をかけてくれたギルドマスターやマーガレットには心底申し訳ないと思った。

試験は奧の部屋に続く扉へ、僕らは付のある扉の方へ向かおうとした時――。

突然、ギルドマスターが室に飛び込んできた。

「おい、ディオ君!!! ジェレマイアたちを捕まえたのは君だったそうじゃないかっっ!!!!!」

「え……」

「先ほど、憲兵隊の詰所に呼び出されて行ってきたんだ! そこで君の活躍をすべて聞かせてもらったぞ!!!!」

あちゃー……。

できれば知られたくなかったけれど、ばれてしまったようだ。

「……どういうことですか? 詳しく話してください」

その聲に振り返ると、闘技場を出ていこうとしていたはずのルカ試験が足を止め、こちらを見ていた。

の眼差しから、初めてこちらに興味を持ってくれたことが伝わってくる。

「今、ギルドマスターが言っていたことは本當ですか?」

適當な事を言って誤魔化せるような狀態ではない。

『主の大活躍を教えてやるのだ!』

「フェン……」

フェンは得意げに鼻を上げて、ぱたぱたと尾を揺らしている。

こんな予定ではなかったけれど、仕方ない。

僕はできるだけ大げさに伝わらないよう気を付けながら、昨晩のことを話した。

僕の説明を聞き終えたギルドマスターとルカ試験が顔を見合わせる。

「ギルドマスター、ディオさんの活躍で騒ぐ前に、まずは迷をかけた謝罪をすべきでは?」

「た、たしかに……!! ディオ君、すまなかった……。部下の悪事に何年も気づかず、君を巻き込んでしまった……。このとおりだ」

ギルドマスターは深々と頭を下げ、謝罪をしてきた。

「わ! ギルドマスターのせいじゃないので、頭を上げてください」

「いいや、本當に申し訳ない。それと同時に、ジェレマイアの罪を暴いてくれてありがとう。君がいなければ、まだ數多くの犠牲者が出ていたはずだ……」

顔を上げたギルドマスターが、握手を求めてきたので、ごつごつしたその手を握り返した。

「ディオさん、どうしてさきほど、寢不足の理由を正直に話さなかったのですか?」

僕らのやり取りを見守っていたルカ試験が、靜かな聲音で尋ねてくる。

責めているわけではなく、純粋に疑問だという瞳で彼はじっと見つめてきた。

「……すみません。言い訳を並べるようなことはしたくなくて」

あのとき自分が思ったことを伝えると、ルカ試験の目が大きく見開かれた。

「そう、でしたか……」

頬に手を當てて、何かを考え込むような仕草をする。

「……どうやら不合格にする理由がなくなってしまったようです」

「え?」

「ディオ・ブライトさん。あなたの賢者模擬試験は合格とします」

「えっ」

「んなんだってええええええええ!?!!!!!」

腰を抜かしそうな勢いでギルドマスターがぶ。

當事者である僕よりも、ギルドマスターのほうが明らかに驚いている。

「いや、確かにディオ君には期待していた。だが、まさか本當に合格してしまうとは……! やはり君はとんでもない才能の持ち主だな……!!!!」

「才能もそうですが、ディオさんの場合、人間がとても優れているので合格にしました」

「僕は人間を示すというお題に対して、何もできませんでしたよ……?」

「あなたは間接的な方法で示してくれたではないですか。竊盜団を捕まえた善行、それを自慢しない利口さ、ギルドマスターを責めなかった優しさ、さらに言い訳をしなかった謙虛さ。賢者というのは賢ければいいわけではありません。狀況を冷靜に判斷したり、パーティーメンバーの神的な支えになったり、いろんな場面で人間と人柄がとても大事になる職種です。あなたはそのための資質を十分持っています」

その時々で當然だと思うことをやってきただけなので、そう言われても実がわかない。

「賢者は、難易度の高い依頼を功させるキーパーソンになることも多い職種です。賢者の能力によって、パーティーメンバーの生存率はかなり変します。あなたはきっと良い賢者になるでしょう。初めて心から推薦できる人に出會えてとてもうれしいです」

信じられないことに、ルカ試験は僕に向けて微笑んでくれた。

ずっと冷たくて完璧な人形みたいだったのに。

ふにゃっと笑うと、ものすごくあどけなくて、とてもかわいい。

「まさか氷の賢者を微笑ませるとは……。……ディオ君、君はどこまで底が知れないんだ……」

ギルドマスターもルカ試験の笑顔を初めてみたらしく、そんな言葉を零したのだった。

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