《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》キャスパリーグの守っていたもの
キャスパリーグがじっと僕を見つめてくる。
立て続けに繰り出されていた攻撃の波は一旦引いた。
そのとき――。
「……なぜ魔が父さんの小屋の中に……。父さん……、父さんはッ……!?」
それまでフェンに抑え込まれていたウォーレンさんが、小屋に向かって駆け出す。
まずい。
直で、止めなければいけないと思った。
「だめだ、ウォーレンさん!」
しかし、ウォーレンさんは僕の制止の言葉を振り切るようにして、小屋の中に踏み込んでしまった。
わずかな間のあと、彼の瞳が見開かれる。
「あ、ああっ……。う、うそだ……ぁあ……」
ウォーレンさんのがグラッとよろめく。
ウォーレンさんは急いで外へ飛び出すと、草むらに向かって嘔吐した。
「……」
僕は彼の脇を通って、先ほどウォーレンさんがしたように部屋の中の様子を見た。
奧の作業室に続く扉の前に、小さなベッドがある。
のない部屋だから、自然と視線はそこに向かった。
「……っ」
ベッドの上には白骨化したが橫たわっている。
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おそらく、トーマスさんのものだろう。
僕は靜かにキャスパリーグを振り返った。
「おまえがトーマスさんを手にかけたのか?」
そう問いかけた途端、キャスパリーグは明らかに傷ついたというような表を浮かべた。
その表が答えの代わりになっている。
「おまえの仕業ではないんだね?」
キャスパリーグは警戒心を剝き出しにしたまま、迷うように視線を泳がせている。
『……トーマスは、自分のを息子に知られたくないと言っていたにゃ』
そう呟き、ちらっとウォーレンさんに視線を向ける。
『でも、見られてしまったから、誤魔化しようがないにゃね……』
耳をぺたんとさせて、キャスパリーグがため息を吐く。
『この丘に現れた時點でトーマスは治らない病気に侵されていたにゃ……』
そう言って、キャスパリーグは語りはじめた。
不治の病にかかっていると知ったトーマスさんは、自分の命が長くないことを息子であるウォーレンさんに知られたくなかったらしい。
気弱なウォーレンさんが、一人で生きてくことなどできない格だとわかっていたからだ。
ウォーレンさんは自分で言っていたとおり、父親の存在に心を支えられ、安心を得ていた。
母を早くに亡くしたせいか、トーマスさんは期からそんなじで、父の姿が見えないだけで、ひどく取りす子供だったそうだ。
『私が言葉を理解できないと思っていたからか、トーマスは私の前ではとても饒舌だったにゃ。たしかに魔は人間の言葉を話さない。でも人間の言っていることは理解できるのに……』
それは初耳だ。
フェンに確認すると、キャスパリーグの言うとおりだと教えてくれた。
『まあ、そもそもトーマスは私のことを魔ではなく巨大な貓だと勘違いしていたようにゃけど』
「ええっ……。相當規格外のサイズだと思うけど……」
『トーマスは絵しか取り柄のないぼんやりさんだったにゃ』
當時の様子を思い出したのか、キャスパリーグは寂しそうに笑った。
……トーマスさんと親しくしていたのは噓じゃないな。
でなければ、こんな表をできるわけがない。
キャスパリーグはトーマスさんの話を続けた。
『この小屋に來てからずっと、トーマスは生きているふりをするための準備をしていたにゃ』
一年に一度、自分の書いた絵とメッセージを渡せば、息子に生きていると思わせられる。
そう考えたトーマスは、病のに鞭を打って、ひたすら絵を描き続けた。
家を出る前、すでに息子には、絵が完するまで會う気がないことを伝えてあった。
無理に小屋にろうとしたら親子の縁を切るという宣言もしておいた。
だから小屋で死んでいる自分のが見つかることはないと考えたらしい。
問題は、絵を渡す方法だ。
小屋の中から絵を運び出してくれる人間が必要だが、トーマスさんは小屋にくるまえから人付き合いを避けて生きてきたため、頼れる相手がまったく浮かばなかった。
すべての絵を郵便局に預けて、一年に一度配達してもらうという方法も考えたが、萬が一疑いをもたれれば仕掛けは簡単に暴かれてしまう。
その結果、高額の報酬で冒険者を雇って、毎年その役目を引きけてもらおうと考え、ギルドに依頼を出したが、何年にもわたる依頼のため、引きけてくれる冒険者が全然見つからなかった。
依頼をけてくれる冒険者からの返事を待っている間にも、どんどん弱っていく自分の。
トーマスは、不安を抱えながらも、キャンパスに向かい続けた。
『……口から出るのは、息子を気遣う言葉ばかりだったにゃ。私は……そんなトーマスを見ていたら放っておけなくにゃって……』
キャスパリーグは、トーマスの目の前で、絵を咥えて運び、それを扉の下から小屋の外へ出すという行をしてみせた。
最初はトーマスもわが目を疑っていた。
でも何度か繰り返して同じ作を見せるうち、キャスパリーグの意図が伝わったらしい。
「まさか、おまえ……この方法で一年に一度、息子に絵を渡してくれるというのか? 儂のふりをして?」
そう尋ねられたので、キャスパリーグは頷き返した。
そのときすでにトーマスのは弱り切っていて、意識混濁に陥っている時間も多かった。
それゆえ彼は、奇跡みたいな出來事をけれることができたのだろう。
「……すまんな……。……おまえにこの絵を託していくよ……」
それがキャスパリーグが最後に聞いたトーマスの言葉だった。
翌日、キャスパリーグが小屋を訪れると、トーマスはベッドの上で眠るように死んでいた。
――やがて時は流れ、約束の日がやってきた。
扉の向こうにいるウォーレンさんに向かい、無言で絵を差し出したキャスパリーグ。
しかし、ウォーレンさんは扉越しに涙聲で言った
『「一言ぐらい聲を聞かせてください」と。涙ながらに訴えられ、何か答えなければと思ったにゃ……』
キャスパリーグには、獲をき出すために使う【聲変化】という能力がある。
その能力を使って、とっさにトーマスの聲を真似た。
ただし、會話をすることはできない。
キャスパリーグにできるのは、あくまでも聲真似をすることだけなのだ。
キャスパリーグが真似できたのは、たったの三言。
『ウォーレン、おまえが心配だ』
『一人でも頑張るんだぞ』
『している』
それはトーマスが絵をかきながら、何度も何度も繰り返し呟いていた言葉たちだった。
もともとトーマスはかなり無口な人だったから、その言葉しか口にできなくても、ウォーレンは満足して帰っていった。
すべてを語り終えたキャスパリーグは、しょんぼりと項垂れた。
『今の話を信じられなければ、小屋にってみるといいにゃ……。奧の部屋にトーマスの付けていた日記があるにゃ』
そこにはトーマスさんの気持ちのすべてが書かれているとキャスパリーグは言った。
悲しみ、恐怖、息子を想う気持ち、トーマスさんが最期に殘していったもののすべてが――。
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