《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》侯爵からの依頼

王都に降り立った僕たちは、城壁に囲まれた大きな都市の中でも、大きな邸宅ばかりが立ち並ぶ界隈へと向かった。

「すごい……。とんでもない豪邸ばかりですね」

「この辺り一帯には貴族や大商人しか住んでいないからな。いかにも王都らしい町並みだろう?」

僕は辺りを見回しながら頷いた。

しかも、貴族たちは王都に構えたこの家以外にも、領地や別荘地に何軒もの家を持っているというのだから驚く。

住んでる世界が違うというのは、まさにこういうことを指すのだろう。

地図を確認するホランドさんの案で向かった侯爵邸も、周りの建に負けず劣らずの大豪邸だった。

ホランドさんが呼び鈴を鳴らすと、しして老齢の執事が姿を現した。

執事は慇懃な態度で頷いてから、フェンとキャスパリーグのほうを一瞬チラッと見た。

「申し訳ありませんが、屋敷の中でペットをお連れになられることはできません」

「いや、ペットではない。彼は魔使いで、その二匹は彼が使役する魔だ」

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僕が反論する前にホランドさんがそう説明してくれたが、老執事はがんとした態度で繰り返してきた。

「申し訳ありませんが、魔であろうと生きを屋敷の中にお連れになられることはできないのでございます」

參ったなというようにホランドさんが僕を振り返る。

「魔使いの職種に対する理解には、まだまだ問題が殘っているようだな……。一度出直すことにして、ギルドから侯爵に連絡をれてもらおうか?」

『主、我らのことは気にせずともよい。ここで待っている』

『そうにゃ。自分のテリトリーに別の種族をれたくない気持ちは理解してあげるにゃ』

フェンとキャスパリーグはそういうと、お互いにそっぽを向いて伏せをした。

待つ姿勢にったということだ。

別の種族をテリトリーにれたくないというは、キャスパリーグのいうとおり、人間の本能の中にも宿っているのだろうか?

……世の中には、アレルギーの人もいるみたいだし、僕が二匹を仲間だと思っていても、他人にまでその価値観を強いるのはだめだよね。

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僕はフェンとキャスパリーグの頭をでてから、「できるだけ急いで戻ってくるね」と伝えた。

それから僕とホランドさんは、ふわふわの絨毯が敷かれた長い廊下の先にある応接室へと案された。

「こちらで々お待ちください」

執事はそう言い殘し、去って行った。

それからなんと一時間以上待たされた。

「……ホランドさん、まさか僕等の事、忘れられてないですよね?」

「これが貴族なんだよ……」

ホランドさんが呆れまじりの聲で呟く。

「どうせ今頃、のんびり朝食でも楽しんでるんだろう。客を待たせてるってのにお構いなしだ」

「朝食ですか……? 今もうお晝時ですよ……」

「明け方まで遊び歩いて、晝過ぎに起きるのが貴族の生活なんだよ」

「へ、へえ……」

僕ら庶民とは全然違う生活をしているんだなあ……。

そんな會話をわしてると、ようやく足音が聞こえてきた。

先ほどの執事が扉を開け、紫のガウンをにまとった男が部屋にってくる。

後ろにでつけられた黒々とした髪、口の下の整えられた髭、ぎょろっとした瞳は若干稽だったが、とにかくどこからどうみても『貴族』という風貌の人だった。

「やあ、待たせてすまないね。朝食の時間だったもので」

ホランドさんがほらなというように、視線をちらっとこちらに向ける。

しかし立ち上がったときには、うんざりした表を完全に押し殺し、大人な対応で侯爵に手を差し出した。

自分も彼に倣って立ち上がる。

「冒険者ギルドから派遣されましたホランド・ラッソです。こちらは今回の案件の擔當者候補であるディオ君です」

「よろしくお願いします」

侯爵は鷹揚な態度で頷き、座るように振りで示してみせた。

「さて、どうやら君のほうが今回の依頼を請け負ってくれる新人らしいな」

僕としてはとりあえず話を聞きに來ただけだけど、わざわざ念押しする必要もないので黙っていた。

「新人と言っても々いると思うが、君はいつから冒険者をやってるのかね?」

ホランドさんを確認すると、自分で答えて問題ないというように頷き返してくれた。

「まだ依頼を一件けただけです。それも先輩であるホランドさんに同伴のもとで、協力してもらいました」

「一件とは……!」

侯爵の顔が驚きなのか不安によるものか、険しくなった。

「問題があるようでしたら、別の者を派遣しますがどうなさいますか?」

ホランドさんが慎重に尋ねる。

「いやいや、むしろ大歓迎だよ。簡単な人探しの依頼なんでね。新人の練習がわりになればと思って依頼を出したのだから」

侯爵はふんぞりかえって葉巻に火をつけ、一方的に話しはじめた。

「私は慈善事業にも力をれていて、今回の依頼もその一環だと思っている。ノブレスオブリージュだよ、わかるだろう? 高貴なるが流れているのだから、常に弱者を気にかけてやらねばならない。まったく、大変な星のもとにうまれたものだよ、ははは」

侯爵は僕らの反応なんてまったく気にしていないようで、留まることなく話を続けた。

「とにかくそんなわけで、今回は君が私から気遣いという贈りけられる幸運の星に選ばれたというわけだ。君は実に運がいい新人だ」

僕とホランドさんは呆気にとられるが侯爵はまったく気づいていない。

「どうせ新人じゃ依頼も全然こないだろう? 運よく仕事にありつけたとしても、素材集めが関の山か。経験値のない冒険者などゴミも同然だからな」

言いたい放題な侯爵を見つめながら、ホランドさんの顔がぴくっと引き攣る。

先ほどは大人な対応をした彼も、さすがにを押し殺すのが難しくなってきたらしい。

「ああいや、儂がそう思ってるわけではなく、世間でそういう扱いをけるという話だ。でも、安心したまえ、この私の依頼をこなしたという経験によって、君をゴミ扱いする者はいなくなるよ。そんなふうに利用されても私は気を害することなどないから」

侯爵は話を終えると、鼻のからふわっと煙を吐き出した。

僕とホランドさんはたまらず咽てしまうが、侯爵は全く気にしていない。

「説明をさせられたらが渇いてしまった。酒を注がせてくれたまえ」

侯爵は席を立ちあがると、広々とした部屋の壁際に設けられたカウンターへ向かった。

「ホランドさん、どうかしたんですか?」

「……殺したくなる男だな」

ホランドさんが冗談か本気かわからない表でぽそっとこぼす。

「ディオ君が、経験値のないゴミだと……? ふざけやがって……。ディオ君の実力について、一からすべて教えてやりたいぐらいだ……」

「ホランドさん……! 侯爵が戻ってきそうなので落ち著いてください……!」

間一髪。

酒を手にした侯爵が浮かれた顔で戻ってくる。

「さて、どこまで話したかな?」

また侯爵の獨擅場になったら困るので、自ら問いかけてみる。

「依頼容について詳しく教えていただけますか?」

侯爵は話を遮られ、一瞬むっとした表を浮かべた。

「まあ、いい。依頼について話そう。私が顧問を任されている王立薬學研究所の職員二名が調査に行ったきり、數日前から連絡が取れないらしいのだ。若い男でありどうせ駆け落ちでもしたのだろうが、一応調査をれたという形は殘しておきたい。な? 新人にぴったりの単純簡単きわまりない依頼だろう?」

この人は失蹤者の心配をして依頼を出してきたのではない。

裁を取り繕うため、とりあえず探したというを裝いたいのだ。

そんな勝手な人に付き合っていられない。

話を聞きに來てよかった。

退屈そうだという理由ではなく、依頼者の人間がひどすぎるという正當な理由で斷るという決斷を下せるのだから。

僕はホランドさんのほうをちらっとみる。

彼も苛立っているのが表からよくわかる。

ホランドさんは斷っていいというように頷き返してきた。

僕が自分の意向を伝えようとしたとき――。

「そういえば、のほうは君らのギルドがある港灣都市の出らしいな。港町のというのは、に狂って男を焚きつけるような者が多いのかね?」

相変わらず失禮すぎる言いである。

でもそれより港灣都市出で王立薬學研究所で働くという部分が引っかかり、騒ぎを覚えた。

気のせいかもしれないが、侯爵に尋ねてみる。

「そのの名前を教えてください」

「名前? ……名前、名前と。ああ、ここに書いてある」

侯爵は目の前の資料をこちらに差し出してきた。

失蹤したのほうの名前を見た瞬間、僕は息を呑んだ。

「……この依頼、お引きけさせていただきます」

ホランドさんはそう答えた僕を見て、驚きの表を浮かべた。

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