《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》単獨行開始
屋敷の外に出ると、すでに馬車が用意されていた。
侯爵の指示のもと、馬車に乗り込み、王立研究所へと移する。
王立研究所は王宮の敷地に建てられていた。
石造りの巨大な建は威圧があり、華やかな作りの王城とはまた違った意味で貫祿をじさせた。
建の周囲は三六〇度林で覆われているうえ、研究所の中にるまでに三つも門を潛らなければいけなかった。
研究所の中にった途端、薬品の香りがふわっと漂ってきた。
研究所を行きう研究員たちは皆、白を著ている。
研究員たちは侯爵を見つけるとちょっとした顔で凍り付き、それから慌てて頭を下げた。
侯爵のほうは橫柄な態度で頷き返すだけだ。
研究所のエントランスでしばらく待っていると、小柄な男が息を切らせて駆けつけてきた。
「も、申し訳ありません……! 侯爵様……! 案が遅れて……はあはあ……しまって……! こ、こちらへ……どうぞ……!!」
白についたネームプレートを見て、この息切れをしている男が研究所の所長だと知る。
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所長は腰の低い気弱そうな男で、ひたすら侯爵にペコペコするばかりだ。
僕らは所長に連れられ。レイラさんたちが研究を行っていた部屋に案された。
室は研究用の機材でごちゃごちゃしているうえ、手狹だというので、フェンとキャスパリーグには、廊下で待っていてもらうことになった。
中にると、研究室はガラス張りの壁で、三つの部屋に仕切られていた。
実験を行う部屋、データを解析する部屋、資料などが雑に置かれた倉庫のような部屋と並んでいる。
扉をってすぐがデータ解析する部屋になっていて、僕等が部屋へると研究員たちは慌てて集まってきた。
研究員は全部で三人、彼らは橫一列に整列した。
「ご苦労様。よくやっているか? 研究に遅れは出ていないだろうな?」
「も、もちろんでございます……!」
困り顔で目を泳がせた研究員の代わりに所長が急いで答える。
その返事が真実ではないことは一目瞭然だったが、侯爵はなぜか満足げに頷いた。
自分がむ結果のほうを、都合よく事実としてけれる人なのだ。
「今はデータ解析も昔に比べるとかなり早くなったからな。私が相當な額を寄付してやったのだよ。な? そうだったな?」
「は、はい! そのとおりでございます……!」
「今回二人の研究員が勝手な理由で研究所を辭めたが、特に問題はなさそうだな」
「……」
「な?」
「は、はい……!」
「この者たちは調査を頼んだ冒険者ギルドの人間だが、まあ彼らの手を煩わせることもないだろう。二人は駆け落ちしたということで、皆私と意見が一致してるのだろう?」
「……はい」
「いなくなった者たちについて何か説明したいことがある者はいるかね? といっても、単なる同僚だ。研究中に無駄話をして親しくしていたということもないはずだし、君らも二人についてはたいして知りはしまい?」
「………………はい」
「私がギルドに提出していた書類に書かれていたことが、提供できる報のすべてということだな。まったく、わざわざ時間を割いて研究所まで足を運んだというのに、何の収穫もなしとは……。まあ、仕方ない」
研究員たちは死んだ目で頷き返す。
侯爵の圧によって、自分の意見をいうことなどできないのだ。
僕は彼らの態度から侯爵の発言が間違っているのだと察する。
うーん……侯爵が同席していると、まともに報収集できそうにないな。
僕と同じことをじたらしいホランドさんが、さりげなく侯爵に言う。
「侯爵様はお忙しいでしょうし、ここから先は所長に案をお願いしたほうがよろしいのではないでしょうか?」
「そのとおりだ。私はとても忙しい。しかし、研究所の責任者である以上、無責任なことはできんからな」
空気の読めない迷な侯爵の返答によって、ホランドさんの提案は不発に終わってしまった。
僕とホランドさんは顔を見合わせうなだれた。
「さて、ここでの話は十分だろう。せっかくの機會だ。殘りの研究室も私が自ら案してやろう」
十分も何もろくな報収集ができていない。
なんのために研究所に移してきたのかもわからないまま、僕らは半ば強制的に廊下へ出されてしまった。
侯爵は自分が管理する研究所のことを自慢したくてしょうがないようだ。
ホランドさんが僕だけにわかるようにやれやれというじで首を橫に振った。
斷れないのでついていくしかないということだろう。
この調子で侯爵に連れ回されたら、無駄話を聞かされるだけでいたずらに時間が過ぎてしまう。
それでは研究所に來た意味がない。
「すみません。僕、ちょっとお手洗いをお借りしてもいいでしょうか?」
侯爵は僕を振り返ると、苦笑いを浮かべた。
「子供はこれだから……。まあ、いい。――所長、手洗い場はどこだったかな?」
所長に場所を教わりながらホランドさんのほうをチラッと確認すると、彼は何かを問いかけるように僕を見返してきた。
ホランドさんなら僕の思に気づいてくれるはず……。
そう思いながらじっと見つめ返すと、ホランドさんは一瞬肩を竦めてみせた。
「じゃあちょっと行ってきます」
「私たちはこの先の研究室にいる。あとから合流したまえ」
「わかりました」
侯爵に返事をしてから僕は、フェンとキャスパリーグを引き連れて離した。
廊下を突きあたり、T字の曲がり角に辿り著いたところで、背後を確認する。
侯爵たちの姿はもう見えない。
僕は、トイレがあると説明をけた方向へは曲がらずに、さっきの実験室のほうへと向かった。
『む? 主、道を間違えていないか?』
「大丈夫。本當にトイレに行きたくなったってわけじゃないんだ。あの侯爵がいると、研究員さんたちが自分の意見を話せそうになかったから。ちょっと単獨行させてもらおうと思って」
『あの馬鹿貴族を出し抜いてやったというわけか! ははっ、主は愉快なことを思いつく!』
フェンとキャスパリーグは痛快だというように二匹して尾を振り回した。
「ホランドさんには僕の考えがちゃんと伝わったし、しばらく時間稼ぎしてくれるよ」
『でもあの鬱陶しい貴族とやらを怒らせたら面倒なことになるのではないか?』
「だろうね。あのひと、自分ではおおらかなつもりでいるけど、沸點低そうだしな。というわけで、僕の勝手な行がばれないよう気をつけないとね」
『さすがご主人ってば大膽だにゃ!』
「大膽と言うか、他に方法がなかっただけなんだけどね」
僕は苦笑いを返して、研究室の前に立った。
さてと――。
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