《【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔なら、僕が食べ盡くしましたよ?~》たとえ世界の果てでも
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僕は急いでレイラさんのを掘り起こし、地面の上に寢かせた。
「しかし、ディオ君、土の中に埋められていたのに生きてるなんてことが……?」
ホランドさんが信じられないというような表で尋ねてくる。
僕だって、逆の狀況だったら疑いを抱いただろう。
普通だったら、土の中で生き続けていられるわけがない。
しかし、現に今、レイラさんには溫もりがあるのだ。
「普通ならそうなんですが、まだレイラさんのには溫もりがじられるんです」
「アリシア、確かめてみて!」
「……っ」
呆然と立ち盡くしていたアリシアは僕の言葉で我に返る。
アリシアの震える手がレイラさんの頬にばされ、そっとれる。
「溫かい、ああ、神様……!」
潤んだ瞳を急いで拭うと、今度はレイラさんの手首に指を當てた。
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「……っ。……脈は止まってる……どういうことなの……」
獨り言のように呟いたアリシアが、レイラさんのにガバッと覆いかぶさる。
「心臓の音もしないわ……」
アリシアはわけがわからないという表で、僕を見上げてきた。
「アリシア、レイラさんからは死臭がまったくしないんだ。ただ、微かに薬品のような香りがして……」
「……! それ、どんな香りか教えて……!」
「ハーブ……というかミントのような? しスーッとする匂いかな。決して不快なものではないよ」
アリシアが急いでレイラさんの口元に鼻先を近づける。
「本當だわ、微かに香りがする……。この匂いは夜眠草のもの……! 姉さんは仮死狀態なんだわ!!」
アリシアは興した様子で聲を上げる。
「仮死狀態!? 薬品の香りがするってことは、そういう調合薬が存在するのか?」
そう尋ねたホランドさんと僕に向い、アリシアが説明してくれる。
「仮死化の薬は一般に出回ることがほぼないけれど、確かに存在はするわ。フェン君のまたたびのときと同じで、仮死狀態を解除するための薬がすごく貴重なのよ。それに毒薬と一緒で、普通の薬師店では取り扱いをじられているの」
「仮死狀態だったら、土の中に埋められていたのに、溫もりがあるのも納得だな」
「レイラさんは自らを仮死狀態にすることで、死んだと思わせ、自らの命を守ったのかもしれませんね……」
僕が推測を口にすると、ホランドさんとアリシアは同時に頷いた。
「とにかくすぐ蘇生薬を用意しよう。アリシア、必要な材料を教えてくれる?」
僕の問いかけに対し、アリシアが深刻な表で眉を寄せる。
「ディオ、さっきも言ったとおり蘇生薬はとても貴重な薬なのよ。調合に使う材料はどれも特別な素材ばかりだし……。素材集めにはかなりの危険が伴うわ」
姉を目覚めさせるために、僕らを危険な目に遭わせていいのか。
そんなふうに考えているのだろう。
アリシアは躊躇したまま、黙り込んでしまった。
「アリシア、思い出して。フェンの解毒薬を作ってもらった時のことを」
「……でも」
「必要な材料を教えて。たとえ世界の果てにあると言われたって、僕が取ってきてみせるから」
「ディオ……。……っ……。あなたは本當に私のヒーローよ……」
アリシアは涙を目に溜めて僕の顔を見つめてきた。
「おいおい、俺たちがいることも忘れないでくれ」
ホランドさんがわざとおどけながら、僕の肩に手を乗せてくる。
アリシアは涙を流しながら笑って、もちろんみんなのことも頼りにしていると答えた。
『主、我はアリシアに助けてもらった恩がある。だから、どんなことでも協力すると伝えてくれ』
『私もご主人の為なら協力するにゃ! 子犬やスライムには負けてられないにゃ』
『アタシも役に立てるかなあ? 山の素材探しなら得意だよー』
みんなの言葉をアリシアに伝えてから、僕は改めて宣言した。
「全員で素材を集めよう。レイラさんを何としても助けるんだ!」
◇◇◇
まず、アリシアに集める素材をすべて教えてもらい、そのうち、調合に使うなどは、アリシアが道屋に仕れにいくこととなった。
肝心の素材は、役割分擔を決め、それぞれ採集に向かう手はずだ。
ホランドさんはキャスパリーグが背に載せて、採集場所付近まで運ぶことに決まった。
帰りも同様、採集を終えたキャスパリーグが拾ってくる。
フェンと僕も同じような段取りで、それぞれの採集ポイントへ移する。
憲兵隊員たちは、貴族の自殺者が出た家から仮死狀態のが見つかったということで、先ほど以上に大騒ぎをしている。
僕らが追い出されず、ある程度自由に行できているのは、冒険者ギルドを通して、ホランドさんが話を通してくれたおかげだ。
ただし、後々、長時間の事聴取をける事態は避けられないらしい。
侯爵が自殺したと思われていなければ、さすがにこんな好き勝手はできなかっただろうけれど……。
侯爵のことも気になる。
でも、今優先すべきはレイラさんの回復だ。
それに侯爵の一件に関して、僕には考えがあった。
ただし、行を起こすのはレイラさんを助けてからの話だ。
段取りが決まったところで、さっそく全員、目的地に向けて出発することとなった。
「ホランドさん、キャスパリーグ、くれぐれも安全第一で!」
『ご主人、心配しなくてもこのおじさんの面倒は私が見とくにゃ』
『キャスパリーグ、ホランドに迷かければ、主が困ることになるのだからな』
『うるさい子犬だにゃ! 人の事より自分の心配するにゃ!』
「みんな気をつけて……! 無茶だけは絶対にしないでね……!!」
心配そうに見送るアリシアを殘して、僕らは上空へと舞い上がった。
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